ハイリスク患者を経皮的冠動脈形成術または冠動脈バイパス術に無作為に割り付け治療したところ、6ヵ月後の生存率は両者間で差がなく、身体的および精神的QOLも実質的には同様であった、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 5月21日号に掲載された。米国の研究者らは無作為割付後6ヵ月間生存した患者389人(全体の92%)を調査した。多枝病変を有する患者および術前に薬剤抵抗性の症状を有していた患者全員が術後の情報を、QOLの評価法として確立されたShort
Form-36形式を使用し報告した。
カルシウム拮抗薬は心臓手術後の心筋梗塞やその他の合併症のリスクを有意に減少させるようである、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 5月7日号に掲載された。41の無作為前向き試験(計3,327人)のメタアナリシスの結果、術直前、術中、または術後のカルシウム拮抗薬の投与により心筋梗塞および心筋虚血のリスクが明らかに軽減した。また非ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬は上室頻拍性の不整脈を有意に予防した。筆者らは、手術を受ける患者に対するカルシウム拮抗薬使用の効果を評価するさらに大規模な前向き試験が必要である、と主張している。
高血圧患者の心血管系疾患罹患率または死亡率軽減に対するカルシウム拮抗薬の効果は利尿剤やベータブロッカーと同等である、という報告が
Journal of the American Medical Association 4月23日号に掲載された。研究者らは高血圧および他の心血管系危険因子を1つ以上有する患者16,602人をcontrolled-onset
extended releaseベラパミル(早朝の血圧上昇をコントロールすることを目的に時間薬理学的に開発された薬剤)180mg群(8,179人)、またはアテノロール50mg、ハイドロクロロサイアザイド12.5mgいずれかを内服する群(8,297人)に無作為に割り付けた。平均3年間の追跡期間の後、研究者らはこれら3剤の治療効果が同様であることを見出した。例えば、心筋梗塞の発症率はベラパミル群で18%低かったが、脳卒中の発症率は同群で15%高く、その効果は相殺された。
若年成人の糖尿病患者においてはインスリンの分泌状態よりも高血糖の方が冠動脈疾患との関連が強い、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 4月16日号に掲載された。研究者らは、T型糖尿病患者18人、U型糖尿病患者17人、およびコントロールとして健常者11人に対しアデノシンおよび寒冷ストレスを与え、それに対する冠動脈の反応をポジトロンエミッション断層撮影にて観察した。T型およびU型の糖尿病患者の結果は健常人と異なっていたが、糖尿病二群の結果は非常に似通っていた。糖尿病患者群と健常者の差は糖尿病有病期間、インスリン療法、代謝異常、および自律神経障害の有無等の因子で補正しても依然として認められた。
減量、運動、減塩、および健康的な食事を組み合わせることにより血圧を劇的に低下させることができる、という報告が
Journal of the American Medical Association 4月23日号に掲載された。800人以上の成人を3群に割り付けた:すなわち、最初の群は運動、減量、減塩に関するカウンセリングを1回受け、二つ目の群は6ヵ月間に18回にわたりカウンセリングを受けた。三つ目の群は二番目の群と同様のカウンセリングを受けた上に食事の特別指導を受けた。1回のみのカウンセリング群と比較し、三つ目の群の患者においては血圧が倍以上低下し、血圧コントロール不良の患者の割合は37%から12%にまで減少した。また最大限の血圧コントロール(最高血圧120
mmHg以下、最低血圧80mmHg)が得られている患者の割合は0%から35%に増加した。