ハイリスク患者における経皮的冠動脈形成術あるいは冠動脈バイパス術後のQOLは同等である [2003-05-27]

High-risk patients report similar postoperative quality of life ratings for angioplasty and coronary bypass
ハイリスク患者を経皮的冠動脈形成術または冠動脈バイパス術に無作為に割り付け治療したところ、6ヵ月後の生存率は両者間で差がなく、身体的および精神的QOLも実質的には同様であった、という報告がJournal of the American College of Cardiology 5月21日号に掲載された。米国の研究者らは無作為割付後6ヵ月間生存した患者389人(全体の92%)を調査した。多枝病変を有する患者および術前に薬剤抵抗性の症状を有していた患者全員が術後の情報を、QOLの評価法として確立されたShort Form-36形式を使用し報告した。
ドキソルビシンは従来考えられていたよりも高頻度にしかもより少量の蓄積量で心不全を引き起こす。 [2003-05-27]
Doxorubicin causes congestive heart failure more often and at lower cumulative doses than previously thought
ドキソルビシンは従来考えられていたよりも高頻度にしかもより少量の蓄積量で心不全を引き起こす、という報告がCANCER プリント版6月1日号に掲載された。この報告は、5月19日からオンライン掲載されていたものである。研究者らは3つのphase III臨床治験を受けた患者計630人を解析し、その結果5.1%が、400mg/m2の薬剤蓄積量で心不全を発症したと報告した。一方過去に報告された心不全発症率は2.2%であった。しかも、従来考えられていたよりもより少量の蓄積(300mg/m2)で心不全が発症すると結論付けた。さらに、薬物療法開始前の心駆出率は従来考えられていたよりも予測因子としての正確性に乏しいことから筆者らは、特に65歳以上の高齢者においては患者の観察をより強化する必要がある、と述べている。

カルシウム拮抗薬は心臓手術後の心筋梗塞やその他の合併症のリスクを有意に減少させるようである [2003-05-19]

Calcium channel blockers appear to significantly reduce risk for myocardial infarction and other complications after heart surgery
カルシウム拮抗薬は心臓手術後の心筋梗塞やその他の合併症のリスクを有意に減少させるようである、という報告がJournal of the American College of Cardiology 5月7日号に掲載された。41の無作為前向き試験(計3,327人)のメタアナリシスの結果、術直前、術中、または術後のカルシウム拮抗薬の投与により心筋梗塞および心筋虚血のリスクが明らかに軽減した。また非ジヒドロピリジン系のカルシウム拮抗薬は上室頻拍性の不整脈を有意に予防した。筆者らは、手術を受ける患者に対するカルシウム拮抗薬使用の効果を評価するさらに大規模な前向き試験が必要である、と主張している。
遺伝的に一次性高血圧に罹り易い小児に対する早期治療は終末臓器損傷を減少させる可能性がある [2003-05-19]
Early intervention may decrease risk for end-organ damage in children genetically predisposed to primary hypertension
遺伝的に一次性高血圧に罹り易い小児に対する早期治療は終末臓器損傷を減少させる可能性がある、と米国Pediatric Academic Societies学会で発表された。研究者らは腎臓病クリニックの小児276人およびその家族のデータをもとに一次性高血圧の遺伝性を調査した。その結果、一次性高血圧を有する小児の49%の親が一次性高血圧を有していたが、二次性高血圧を有する小児におけるその割合は24%であった。さらなる遺伝子学的研究やリスクを有する小児を同定することにより、一次性高血圧およびそれに付随する疾患のより優れた予防につながるであろう。

カルシウム拮抗薬は高血圧患者の心血管系イベントのリスク軽減に関して他の薬剤に勝っているわけではない [2003-05-13]

No advantage for calcium channel blockers in reducing risk for adverse cardiovascular events in hypertensive patients
高血圧患者の心血管系疾患罹患率または死亡率軽減に対するカルシウム拮抗薬の効果は利尿剤やベータブロッカーと同等である、という報告が Journal of the American Medical Association 4月23日号に掲載された。研究者らは高血圧および他の心血管系危険因子を1つ以上有する患者16,602人をcontrolled-onset extended releaseベラパミル(早朝の血圧上昇をコントロールすることを目的に時間薬理学的に開発された薬剤)180mg群(8,179人)、またはアテノロール50mg、ハイドロクロロサイアザイド12.5mgいずれかを内服する群(8,297人)に無作為に割り付けた。平均3年間の追跡期間の後、研究者らはこれら3剤の治療効果が同様であることを見出した。例えば、心筋梗塞の発症率はベラパミル群で18%低かったが、脳卒中の発症率は同群で15%高く、その効果は相殺された。
新薬エゼチマイブとアトロバスタチンの併用はどちらか単剤内服よりもLDLコレステロール低下作用が強力である [2003-05-13]
New agent ezetimibe plus atorvastatin is more effective than either drug alone for reduction of low-density lipoprotein cholesterol
コレステロールの吸収を低下させる薬剤エゼチマイブおよびアトロバスタチンの併用はどちらか一方の単剤内服よりもLDLコレステロール低下作用が強力である、という報告がCirculation オンライン速報4月29日版に掲載された。薬剤の洗い流し期間を設けた後、628人の患者はエゼチマイブ10mg、アトロバスタチン(1日内服量10mg、20mg、40mg、80mgのいずれか)、および両者の併用群のいずれかに無作為に割り付けられた。その結果、併用群においては平均のLDLコレステロールレベルの低下率がアトロバスタチン単独群と比較して12%高かった。エゼチマイブおよび最小用量のアトロバスタチン(10mg)併用による効果は最大用量のアトロバスタチン(80mg)内服と同様であった。HDLコレステロール上昇、中性脂肪およびCRP低下作用に関しても併用療法はスタチン単独内服よりも優れていた。

若年成人の糖尿病患者においてはインスリンの分泌状態よりも高血糖の方が初期の冠動脈疾患との関連が強い [2003-05-06]

High blood glucose level rather than insulin status is linked with early coronary artery disease in young diabetic adults
若年成人の糖尿病患者においてはインスリンの分泌状態よりも高血糖の方が冠動脈疾患との関連が強い、という報告がJournal of the American College of Cardiology 4月16日号に掲載された。研究者らは、T型糖尿病患者18人、U型糖尿病患者17人、およびコントロールとして健常者11人に対しアデノシンおよび寒冷ストレスを与え、それに対する冠動脈の反応をポジトロンエミッション断層撮影にて観察した。T型およびU型の糖尿病患者の結果は健常人と異なっていたが、糖尿病二群の結果は非常に似通っていた。糖尿病患者群と健常者の差は糖尿病有病期間、インスリン療法、代謝異常、および自律神経障害の有無等の因子で補正しても依然として認められた。
食事に関連する生活習慣の変化と運動による心血管系に対する負荷を組み合わせることにより、劇的に血圧を低下させることができる [2003-05-06]
A combination of lifestyle changes affecting diet and cardiovascular work load can dramatically lower blood pressure
減量、運動、減塩、および健康的な食事を組み合わせることにより血圧を劇的に低下させることができる、という報告が Journal of the American Medical Association 4月23日号に掲載された。800人以上の成人を3群に割り付けた:すなわち、最初の群は運動、減量、減塩に関するカウンセリングを1回受け、二つ目の群は6ヵ月間に18回にわたりカウンセリングを受けた。三つ目の群は二番目の群と同様のカウンセリングを受けた上に食事の特別指導を受けた。1回のみのカウンセリング群と比較し、三つ目の群の患者においては血圧が倍以上低下し、血圧コントロール不良の患者の割合は37%から12%にまで減少した。また最大限の血圧コントロール(最高血圧120 mmHg以下、最低血圧80mmHg)が得られている患者の割合は0%から35%に増加した。
 

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