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大動脈弁狭窄の程度を評価するためのカテーテル検査は不顕性または臨床的に明らかな脳梗塞のイベントのリスクを増加させる [2003-04-30]

Catheterization to determine degree of aortic stenosis increases risk for silent and clinically apparent cerebral embolic events
大動脈狭窄に対する逆行性のカテーテル検査法は脳塞栓のリスクを増加させる、という報告がLancet 4月21日号に掲載された。研究者らは大動脈狭窄症患者152人をカテーテルを左心室内に挿入する(大動脈弁を通過させる)群とさせない群に無作為に割り付け、全員に対しカテーテル検査後48時間以内に核磁気共鳴画像(MRI)にて神経学的な評価を行った。さらに大動脈弁疾患を有さず冠動脈造影を施行された患者32人をコントロール群とした。逆行性カテーテル検査を施行された101人中22人(22%)においてカテーテル検査後のMRI検査で急性脳塞栓の所見が認められ、3人において臨床上明らかな症状が認められた。一方他の患者においては急性の脳塞栓イベントを示唆する所見は認められなかった。筆者らは、大動脈弁狭窄症患者に対する逆行性のカテーテル検査は超音波検査において解決できない重要な問題のある患者のみに控えるべきであると主張している。
ロスバスタチンは他のスタチン系薬剤と比較し用量効果が高い [2003-04-30]
Rosuvastatin has high dose efficacy in lowering cholesterol levels compared with other statins
ロスバスタチンは1日10〜40mg内服することによりLDLコレステロールを46〜55%低下させることができる、というデータがAmerican College of Cardiology学会で発表された。Statin Therapies for Elevated Lipid Levels compared Across doses to Rosuvastatin (STELLAR)研究において高脂血症患者2,431人は6週間のオープンラベル法による15の治療群のひとつに無作為に割り付けられた。LDLコレステロールの低下はアトルバスタチン(10〜80mg)群において37〜51%、シンバスタチン(10〜80mg)群において28〜46%、プラバスタチン(10〜40mg)群において20〜30%であった。HDLコレステロールレベルはロスバスタチンで7.6〜9.6%、アトルバスタチンにおいて2.0〜5.7%、シンバスタチンにおいて5.3〜6.8%、プラバスタチンにおいて3.2〜5.5%上昇させた。
スタチン系薬剤はU型糖尿病の発症のリスクを軽減する可能性がある [2003-04-22]
Statin treatment may decrease risk for development of type 2 diabetes
スタチン系薬剤はU型糖尿病のリスクを軽減することにより心血管系疾患のリスクを軽減する可能性がある、という報告がAmerican Physiology Societyによる研究会Experimental Biology 2003で発表された。NO合成を不完全に障害させたマウスに高脂肪食を摂取させた実験結果によると、シンバスタチンはインスリン耐性および高血圧の発症を予防した。血管内皮のNO合成活性がないものにおいては、シンバスタチン群またはプラセボ群に関わらず、高脂肪食を摂取することによってインスリン耐性や高血圧の発症が認められた。筆者らは、スタチン系薬剤は一部の患者においてはインスリン耐性を低下させ、U型糖尿病のリスクを軽減させることにより効果を発揮している可能性がある、と述べている。
疾患の原因となる遺伝子のある特別な変異によって日本人に発症しやすいある種の不整脈が説明できる可能性がある [2003-04-22]
Specific mutations within a disease-causing gene may account for prevalence of certain arrhythmias among Japanese
SCN5A遺伝子の変異と不整脈には関連があり、この遺伝子配列の多様性により発症の人種差が説明できる可能性がある、という報告がAmerican Physiology Society主催の研究会Experimental Biology 2003で発表された。日本の研究者らはQT延長症候群type 3およびBrugada症候群の患者、そして健常者のDNA配列を調べ、コード領域やエキソン・イントロン境界を評価した。その結果、National Center for Biotechnology Informationのデータベースと比較し、コード領域に13個、エキソン・イントロン境界に1つの新たな塩基変異が発見された。筆者らは、他の集団の遺伝子を検査することにより、疾患を引き起こす遺伝子の変異の違いにより臨床的な表現型の違いの少なくとも一部を説明できることが確認できるであろう、と述べている。
穀類に含まれる繊維質を多く摂取することにより高齢者の心血管リスクを減少させることができる [2003-04-15]
Increase in dietary fiber from grains can decrease risk of cardiovascular disease in older adults
穀類に含まれる繊維質を多く摂取することにより高齢者の心血管疾患発症のリスクを減少させることができる、という報告がJournal of the American Medical Association 4月2日号に掲載された。米国の研究者らは65歳以上の男女3,588人を平均8年間以上追跡したデータを解析した。ベースラインの時点では明らかな心血管疾患を有する者はなく、対象者全員が食事に関する情報を報告した。解析の結果、穀類、特に黒パンから摂取した繊維質の量が多少でも多いことにより、心血管系疾患の発症が低下した。果物や野菜から摂取する繊維では同様の結果は得られなかった。
高齢狭心症患者の症状コントロールにはカテーテル血管形成術や薬物療法よりも冠動脈バイパス術が有効である [2003-04-15]
Coronary artery bypass surgery is more effective than angioplasty or drugs in relieving angina in elderly patients
高齢の狭心症患者における、症状コントロールや日常生活動作の向上のためには、カテーテル冠動脈形成術や薬物療法よりも冠動脈バイパス術の方が有効である、という報告がAmerican College of Cardiology学会で発表された。米国の研究者らは大学病院で冠動脈有意狭窄を有すると診断された患者1,058人(平均年齢76歳)の診療記録を評価した。全体の41%に冠動脈形成術、22%に冠動脈バイパス外科手術、37%に薬物療法が施された。ベースラインおよび1年後のデータを変数で補正して解析した結果、冠動脈バイパス術群の患者において狭心症の軽減、健康効用率(health utility rates)や運動機能の向上が他の群よりもより多く認められた。筆者らは、医師は高齢者に対する治療を考える際にQOLを考慮に入れるよう主張している。
冠動脈疾患患者の脂質レベルを減少させる治療は脳卒中のリスクも低下させる [2003-04-08]
Therapy that decreases lipid levels in patients with coronary artery disease also reduces risk for stroke
冠動脈疾患患者に対する有効な脂質低下療法は脳卒中のリスクも低下させる、という報告が Archives of Internal Medicine 3月24日号に掲載された。フランスの研究者らが計83,161人を対象とした38の臨床研究結果を解析した結果、有効な脂質低下療法により治療の方法に関わらず脳卒中のリスクが17%低下した。最も効果が認められたのはスタチン系薬剤で、相対リスクが26%低下した。また、総コレステロール230mg/dL未満に低下させることによりリスク軽減効果は最大であった。
心房細動に対する抗不整脈薬治療は脳卒中のリスクを低下させない [2003-04-08]
Anti-arrhythmic therapy for atrial fibrillation does not reduce risk for stroke
ワーファリンは心房細動患者の虚血性脳卒中のリスクを低下させるが、抗不整脈薬はリズムコントロールとしての心拍数調整と比較して脳卒中のリスクは低下させない、という報告がAmerican Academy of Neurology学会で発表された。その結果は6年間にわたるAtrial Fibrillation Follow-up Investigation of Rhythm Management (AFFIRM)研究に登録された患者4,060人の解析から得られた。脳卒中は抗不整脈群の8.9%、心拍数調整群の7.4%に認められた。患者は全員ワーファリンによる治療を受けており、研究者らはワーファリンにより脳卒中のリスクが70%低下すると述べている。
 

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