冠動脈形成術術前にスタチン系薬剤を投与することにより、高感度C反応性蛋白(CRP)が高度に上昇している患者の予後が改善する [2003-03-31]
Presurgical statin use improves outcome after angioplasty for patients with highly elevated levels of high-sensitivity C-reactive protein
冠動脈形成術術前にスタチン系薬剤を投与することにより、高感度C反応性蛋白(CRP)が高度に上昇している患者の術後の心筋梗塞、再狭窄、および死亡率が改善するとCirculation オンライン速報3月25日版に掲載された。研究者らはベースラインでCRPの計測を施行され,待機的経皮的冠動脈形成術を施行された患者1,552人を前向きに調査した。全体で39.6%が術前にスタチンを内服していた。1年後、CRPレベルが高度に上昇(1.11mg/dL以上)していた患者群においてはスタチンを内服することにより死亡、心筋梗塞、および血行再建術施行率が40%低かった。筆者らは、術前のCRP測定、およびスタチン系薬剤の内服を開始していない患者においてはスタチンの内服を開始し、血行再建術を内服開始から2週間以降に施行するよう推奨している。
左右両心室を補助する新たな埋め込み型人工心臓の人間に対する臨床治験が米国において開始される [2003-03-31]
New implantable device capable of supporting both ventricles moves to human trial in the United States
片側心室または両心室に対して使用可能な埋め込み型心室補助人工心臓の始めての人に対する臨床治験が、米国の10の医療機関で開始される。この治験段階の人工心臓は、重量が1パウンド(0.45kg)未満で体外のコントロールラインとブリーフケース位の大きさのバッテリーに接続されている。ひとつのポンプで左右どちらの心室でも補助でき、両心室の補助が必要な場合にはポンプを2つ埋め込むことが可能である。さらに小さな新たなポンプができたことにより従来の人工心臓では大きすぎて埋め込みが不可能であった患者にも使用することが可能となる。しかしこの新たな人工心臓は、短期間の心室補助に適していた従来の大きな外付け(体外式)の人工心臓に取って代わる物ではない。
僧房弁弁輪の石灰化が1mm増えるごとに心筋梗塞または死亡のリスクが10%上昇する [2003-03-25]
Each millimeter of mitral annular calcification appears to increase risk for myocardial infarction or death by ten percent
僧房弁弁輪の石灰化が1mm増えるごとに心筋梗塞または死亡のリスクが10%上昇するとのFramingham Heart Studyのデータに基づく結果が、Circulation オンライン速報3月11日版に掲載された。高齢の男性445人および女性752人に心臓超音波検査で16年間追跡調査した結果、14%に僧房弁弁輪 の石灰化が認められた。追跡期間中に新たな心疾患が307例発症し、621人が死亡(そのうち213人が心疾患による死亡)したが、この研究結果から筆者らは、初回心臓超音波検査で僧房弁弁輪の石灰化が認められると、石灰化のない者と比較し、心疾患の発症率が50%、心疾患による死亡率が60%上昇する、と結論付けている。
アスピリンの抗血小板作用に対する耐性は心筋梗塞および脳卒中のハイリスクと関連がある [2003-03-25]
Resistance to the antiplatelet action of aspirin is linked to higher risk for myocardial infarction and stroke
アスピリンを内服していてもアスピリンの抗血小板作用に対する耐性を有する者は 心筋梗塞、脳卒中、および死亡のリスクが高い、という報告がJournal of the American College of Cardiology 3月19日号に掲載された。安定性の心疾患患者326人に対し、彼らがアスピリン325mgを少なくとも1週間内服した後、光学血小板凝集検査が施行されたところ、17人(5.2%)がアスピリン耐性を有していた。約2年間の追跡期間中に死亡や心筋梗塞、脳卒中を発症した率は、アスピリン耐性を有する患者ではアスピリン反応性の患者の3倍以上高かった(24%対10%、ハザード比 3.12)。筆者らは、アスピリン耐性の根拠を立証するさらなる研究や実践的なスクリーニング検査および経済的な代替薬の開発が必要である、と述べている。
運動負荷試験および画像検査により、心疾患を有する患者の家族で心疾患のリスクの高い者を見極めることが可能である [2003-03-18]
Exercise stress test with imaging study identifies siblings of patients with heart disease who are themselves at high risk for adverse cardiac events
運動負荷試験およびタリウムシンチグラフィーを組み合わせることにより、心疾患を有する患者の兄弟で心疾患のリスクの高い者を見極めることが可能である、という報告がCirculation 2月11日号に掲載された。米国の研究者らが心疾患患者の兄弟734人を評価した結果、そのうち153人(21%)が運動負荷試験またはシンチグラムの片方または両者において異常を示した。また、冠動脈造影を施行された105人のうち95%において心疾患が認められた。運動負荷試験、シンチグラムの両者で異常が認められた30人のうち、70%は冠動脈に50%以上の狭窄を有し、53%において70%以上の狭窄を有していた。筆者らはこのスクリーニングにより疾患を有する患者の兄弟を見極め予防に役立てられることを期待している。
パーキンソン病に対する長期のレボドパの使用は血中ホモシステインレベルを上昇させ、心疾患のリスクを高める [2003-03-18]
Long-term levodopa use for Parkinson’s disease can increase blood homocysteine levels and risk for heart disease
パーキンソン病に対しレボドパを内服し血中のホモシステインレベルが上昇している患者は心疾患のリスクが高い可能性がある、という報告がArchives of Neurology 1月号に掲載された。米国の研究者らはがパーキンソン病患者235人(そのうち201人はレボドパを内服)の血漿ホモシステインレベルを測定した。ホモシステインレベルはレボドパを内服している患者群で、レボドパを一度も内服したことのない患者群と比較し有意に高かった。ホモシステインレベルが最も高い四分位の患者においては心疾患の既往を有する確率がより高かった。筆者らは、レボドパで治療されている患者で、特に他の心血管疾患のリスクファクターを有する者においては血液中のホモシステインレベルを監視する必要がある、と述べている。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療によって心血管疾患のリスクが上昇することはないようである [2003-03-11]
Treatment for Human Immunodeficiency Virus infection does not appear to increase risk for cardiovascular disease
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の成人患者に対する高活性の抗レトロウイルス療法の頻度が増加しているにもかかわらず、同疾患患者の心血管疾患及び脳血管疾患による死亡率は低下している、という報告がNew England Journal of Medicine 2月20日号に掲載された。同疾患に対する治療を1993年から2001年の間に受けた患者を解析した結果に基づくと、抗レトロウイルス療法は血管疾患のリスクを上昇させなかった。薬剤によっては、今回の追跡期間よりもさらに長期間経過した後に心血管系疾患が明らかとなる可能性もあるため、筆者らは、糖尿病のように心血管系疾患のリスクを上昇させる薬剤関連性の代謝異常などについても患者をよく観察するよう提案している。
新生児期にはやせていて小児期に明らかに体重が増加した男児は、思春期に高血圧を発症するリスクが高い [2003-03-11]
Boys who are lean as newborns but gain significant weight during childhood are at increased risk for hypertension as teenagers
新生児期にはやせていて8歳から15歳の間に明らかに体重が増加した男児は、思春期に高血圧を発症するリスクが高い、という報告がHypertensionオンライン速報2月11日版に掲載された。研究者らは、1983〜1984年の間に産まれた子供2,000人以上を追跡調査したフィリピンのCebu Longitudinal Health and Nutrition Surveyと呼ばれる長期研究のデータを使用した。その結果、明らかな性差が認められた:つまり、小児期に明らかな体重増加が見られた女児は思春期に高血圧を発症するリスクが高かったが、出生時体重とリスクに相関は認められなかった。筆者らは、胎児期に十分に成長することが、特に男児においてはその後の健康に重要な役割を果たしていることを強調している。
ペースメーカーを用いた再同期療法は心不全患者の死亡率を半分に減少させる [2003-03-04]
Resynchronization therapy with pacemakers cuts mortality by half among patients with heart failure
ペースメーカーを用いた再同期療法は心不全患者の死亡率を半分に減少させ入院率を約3分の1減少させる、という報告がJournal of the American Medical Association (JAMA) 2月12日号に掲載された。研究者らは、心不全患者(ほとんどが63〜66歳の中等症から重症の男性)計1,634人を対象とした4つの信頼できる研究結果を解析した。3〜6ヵ月の追跡期間中の死亡率はペースメーカー療法群で1.7%であったのに対し、ペースメーカー療法を受けなかった群では3.5%であった。さらに、ペースメーカー療法により入院率は29%減少し、全ての原因を含めた総死亡率も減少の傾向を示した。筆者らはこれらの研究の追跡期間が3〜6ヵ月と短いため死亡率が低いことを指摘している。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬はハイリスク患者における初発の心不全リスクを有意に減少させる [2003-03-04]
Angiotensin converting enzyme inhibitor therapy significantly reduces the risk for new-onset heart failure in high-risk patients
アンジオテンシン変換酵素阻害薬ラミプリルはハイリスクの患者における心不全の発症を有意に減少させる、という報告がCirculationオンライン速報 2月25日版に掲載された。カナダの研究者らはラミプリル10mgとプラセボを比較した大規模無作為化試験に組み込まれた患者9,297人のデータを解析した。4.5年にわたって、ラミプリルは心血管疾患を有する心駆出率の正常な心不全の既往のない患者において、 心不全の発症を23%減少させた。ラミプリル投与群の患者においてはまた、心不全による入院または死亡率もプラセボ群と比較して低かった。この効果は高齢(65歳以上)、女性、高血圧や糖尿病の有無に関わらず一貫して認められた。
 
 

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