アスピリンを内服していてもアスピリンの抗血小板作用に対する耐性を有する者は
心筋梗塞、脳卒中、および死亡のリスクが高い、という報告がJournal of the American College
of Cardiology 3月19日号に掲載された。安定性の心疾患患者326人に対し、彼らがアスピリン325mgを少なくとも1週間内服した後、光学血小板凝集検査が施行されたところ、17人(5.2%)がアスピリン耐性を有していた。約2年間の追跡期間中に死亡や心筋梗塞、脳卒中を発症した率は、アスピリン耐性を有する患者ではアスピリン反応性の患者の3倍以上高かった(24%対10%、ハザード比
3.12)。筆者らは、アスピリン耐性の根拠を立証するさらなる研究や実践的なスクリーニング検査および経済的な代替薬の開発が必要である、と述べている。
パーキンソン病に対しレボドパを内服し血中のホモシステインレベルが上昇している患者は心疾患のリスクが高い可能性がある、という報告がArchives
of Neurology 1月号に掲載された。米国の研究者らはがパーキンソン病患者235人(そのうち201人はレボドパを内服)の血漿ホモシステインレベルを測定した。ホモシステインレベルはレボドパを内服している患者群で、レボドパを一度も内服したことのない患者群と比較し有意に高かった。ホモシステインレベルが最も高い四分位の患者においては心疾患の既往を有する確率がより高かった。筆者らは、レボドパで治療されている患者で、特に他の心血管疾患のリスクファクターを有する者においては血液中のホモシステインレベルを監視する必要がある、と述べている。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の成人患者に対する高活性の抗レトロウイルス療法の頻度が増加しているにもかかわらず、同疾患患者の心血管疾患及び脳血管疾患による死亡率は低下している、という報告がNew
England Journal of Medicine 2月20日号に掲載された。同疾患に対する治療を1993年から2001年の間に受けた患者を解析した結果に基づくと、抗レトロウイルス療法は血管疾患のリスクを上昇させなかった。薬剤によっては、今回の追跡期間よりもさらに長期間経過した後に心血管系疾患が明らかとなる可能性もあるため、筆者らは、糖尿病のように心血管系疾患のリスクを上昇させる薬剤関連性の代謝異常などについても患者をよく観察するよう提案している。
新生児期にはやせていて8歳から15歳の間に明らかに体重が増加した男児は、思春期に高血圧を発症するリスクが高い、という報告がHypertensionオンライン速報2月11日版に掲載された。研究者らは、1983〜1984年の間に産まれた子供2,000人以上を追跡調査したフィリピンのCebu
Longitudinal Health and Nutrition Surveyと呼ばれる長期研究のデータを使用した。その結果、明らかな性差が認められた:つまり、小児期に明らかな体重増加が見られた女児は思春期に高血圧を発症するリスクが高かったが、出生時体重とリスクに相関は認められなかった。筆者らは、胎児期に十分に成長することが、特に男児においてはその後の健康に重要な役割を果たしていることを強調している。
ペースメーカーを用いた再同期療法は心不全患者の死亡率を半分に減少させ入院率を約3分の1減少させる、という報告がJournal
of the American Medical Association (JAMA) 2月12日号に掲載された。研究者らは、心不全患者(ほとんどが63〜66歳の中等症から重症の男性)計1,634人を対象とした4つの信頼できる研究結果を解析した。3〜6ヵ月の追跡期間中の死亡率はペースメーカー療法群で1.7%であったのに対し、ペースメーカー療法を受けなかった群では3.5%であった。さらに、ペースメーカー療法により入院率は29%減少し、全ての原因を含めた総死亡率も減少の傾向を示した。筆者らはこれらの研究の追跡期間が3〜6ヵ月と短いため死亡率が低いことを指摘している。