法的に拘留された青年男子のうち3分の2近く、および青年女子の4分の3以上が最低ひとつは精神障害を有しているとの米国の研究結果がArchives
of General Psychiatry 12月号に掲載された。研究者らは、大規模な層別抽出無作為法を使用して10〜18歳の青少年1,829人を抽出し構造的面接を行った。筆者らは特に抑うつおよび気分変調が少年の17.2%、少女の26.3%と多くみられることを強調し、精神科医らは、法律上拘留されているまたはそのような過去のある若年者に遭遇した場合にそれらの事実を念頭に置き疑ってみる必要がある、と述べている。
20年間にわたる研究結果から飲酒は小児、青年、および早成人期の脳に対し、これまで考えられていた以上に多大な悪影響を及ぼすというAmerican
Medical Associationの特別報告が発表された。研究者らは14歳から21歳のアルコール中毒患者と同世代の飲酒歴のない者の脳のMRI画像を比較した。アルコール中毒患者の海馬の大きさは正常人と比較しおおよそ10%の低下が認められ、学習や記憶力の点数が低く、自殺企図を含む情緒の問題を有していた。
精神的治療およびプライマリケアを組み合わせた治療法が高齢の抑うつに対して有効であるという報告が、Journal
of the American Medical Association 12月11日号に掲載された。研究者らはうつ病の高齢者1,801人を組み合わせ治療(プライマリケアと精神治療を組み合わせたもの)あるいは従来の治療(ひとつの治療法を頻回に行うか両者を別々に行う)を行う群に無作為に割り付けた。患者は大うつ病および気分変調性障害のいずれかまたは両者を有していた。治療開始から12ヵ月後、組み合わせ治療群患者の45%にうつ症状の50%以上の軽減を認めたが、一方、通常の治療群の患者ではその割合が19%であった。組み合わせ治療群の患者はさらにQOLおよび治療に対する満足度の点数が高かった。
Rhマイナスの母親から生まれたRhプラスの子供は若年期に統合失調症を発症する確率がその因子が一致している子供と比較し倍である、という報告がAmerican
Journal of Human Genetics 12月号に掲載された。研究者らは、家族の誰かが統合失調症を有するフィンランドの181家族の遺伝子型をマッピングすることにより、免疫に由来する胎児の溶血が脳の発達を妨害するという仮説のもとに研究を行った。3例を除き、全ての子供はRh不適合妊娠対策が導入された1970年以前に生まれた。さらに研究者らは1970年代から開始されたRh不適合妊娠対策により統合失調症の発症が減少したか否かを調べることになっている。
長期ホルモン補充療法はアルツハイマー病のリスクを軽減させる可能性がある、という報告がJournal
of the American Medical Association 11月6日号に掲載された。研究者らは米国の同じ地域社会で生活する高齢の、男性1,357人と女性1,889人を比較した。その結果、ホルモン補充療法を10年以上持続している女性はホルモン補充療法を全く受けたことのない女性と比較し、アルツハイマー病を発症する確率が2.5倍少なかった。長期ホルモン補充療法を受けていた女性のその低い発症率は男性の発症率と同様であった。この結果は、特にそれまでに有意な神経の損傷を受けたことのない比較的若年の女性に関しては、ホルモンに神経保護作用がある可能性があることを裏付ける新たな情報である。
術前評価の結果によると、根治的消化管バイパス術を希望する患者には精神疾患またはその既往を有することが有意に多い、という報告がObesity
Surgery 10月号に掲載された。この研究の対象となった115人の手術希望者のうち70%が現在または過去に精神疾患を有しており、一生涯におけるうつ病の有病率は一般の集団で17%のところこの集団では56%であった。問診の際に患者の17%は不安性障害を有していた。筆者らは消化管バイパス術希望者には日常的に精神的な評価を行い必要に応じて治療を行うべきである、と述べている。