双極性障害患者とその家族に対するアンケート結果から新たな薬物による治療の必要性が認められた。 [2002-10-29]

Survey on opinions of patients with bipolar disorder and their families shows need for new drug treatments
双極性障害を有する患者の75%が新たな薬物治療の必要性を感じ、25%がうつを悪化させずに躁病エピソードをコントロールする薬物の必要性を明記していた、という調査データがEuropean College of Neuropsychopharmacology学会で発表された。約75%の患者が初診の段階で誤診され、しばしばそれは1年間に渡って継続したままであると述べていた。20%以上の患者が内服を副作用のために中止したと述べた。この報告は2001年11月から2002年2月にわたって患者238人、その家族233人に施行された調査結果である。研究者らは、躁病エピソードに対する非定型抗精神病薬投与が治療に役立ち、双極性障害患者のquality of lifeが向上することを期待している。
 

両親の離婚後に家庭技能治療を受けた成人は、自習カリキュラムに組み込まれた10代の子供よりも予後がよい [2002-10-29]

Adolescents in a family skills intervention after parental divorce had significantly better outcomes than teens who were in a self-study group
両親が離婚したことによる重度の感情障害を有し、11週間の治療プログラムに組み込まれた成人は、自習プログラムに組み込まれた10代の子供と比較しその影響が36%軽減した、という報告がJournal of the American Medical Association 10月16日号に掲載された。この研究は過去に施行された研究の追跡調査を同じメンバーが行ったものである。過去の研究では、米国の研究チームが9歳から12歳の子供を有する離婚した母親240人を、子供の自習グループ、母親に対する親教育グループ、および母親子供両者に対する教育グループ3群に割り付けた。6年後、自習グループに組み込まれた子供の状態は母親が教育を受けた群あるいは子供と母親の両者が教育を受けた群と比較し、有意に不良であった。

収縮期高血圧の高齢患者の血圧を降下させることにより痴呆のリスクを軽減できる可能性がある [2002-10-22]

Blood pressure reduction in older patients with systolic hypertension may decrease risk for dementia
収縮期高血圧に対し降圧剤を約4年間投与された患者は痴呆のリスクが軽減した、という報告がArchives of Internal Medicine10月14日号に掲載された。ベルギーの研究者らは、過去の降圧療法と痴呆に関する研究の対象となった患者から2,902人を登録し、追跡期間を2年から3.9年に延長させた。ベースラインの時点では痴呆を有する患者は1 人もいなく、全員60歳以上であった。3.9年後、降圧療法を長期間受けていた患者は痴呆を発症する確率が55%軽減した(年間1000人中7.4から3.3人)。2,902人の追跡期間中に64例の新たな痴呆の発症が認められた。そのうち43人がコントロール群であり、治療群は21例であった 。
 

注意欠陥多動性障害患者にみられる脳の縮小は薬物療法が原因ではない [2002-10-22]

Brain shrinkage in pediatric patients with attention deficit hyperactivity disorder is not caused by medication
注意欠陥多動性障害の小児または成人の脳は健常人と比較して3〜4%小さいが、薬物治療が原因ではない、という報告が Journal of the American Medical Association10月9日号に掲載された。磁気共鳴画像法(MRI)を使用し、5歳から18歳の患者152人と139人の年齢と性を調整した対象群を10年間追跡した。投薬群の白質の容積は対象群のそれと違いがなかったが、投薬を受けていない患者群49人のそれは有意に小さかったことから、白質の縮小化は投薬によるものではないと思われた。ほとんど全ての脳区域の発達速度は患者と健常人とで同等であったが、患者の脳の大きさそのものはやや小さい傾向にあったことから、脳の発達の初期段階で発達の遅れがある可能性のあることが示された 。

脳卒中後の重度の悲観主義者はうつを発症する率が有意に高い [2002-10-15]

Stroke survivors with a high level of pessimism are at significantly increased risk to develop depression
脳卒中後の重度の悲観主義者は有意にうつを発症しやすい、という報告がStroke誌10月号に掲載された。オランダの研究者らは190人の患者において初回脳卒中からの回復期1,3,6,9、そして12ヵ月後を追跡調査した。12ヵ月後、38.7%の患者がうつ病を有していた。神経症傾向スコアの高い者は低い者と比較し、うつを発症する率が4.6倍高くその影響は女性よりも男性により強く認められた。筆者らは、脳卒中患者においてはこれらのうつ発症危険因子を評価し早期の治療をするよう薦めている。
 

交通事故で外傷を負った子供の家族における急性ストレス症状は少なくない [2002-10-15]

Acute stress symptoms common in children and parents after a child is injured in a traffic injury
交通事故で外傷を負った子供の家庭の約80%においてはその子供あるいは親が少なくとも1つの有意な急性ストレス症状を体験し、25%の子供あるいは親は臨床的に治療に値する症状を有していることがPediatrics誌 6月号に掲載された。米国の研究チームは97人の子供とその家族に対し急性ストレス症状やその後の外傷後ストレス障害の発症を調査した。その結果によると、約40%の家族が精神的補助を必要とするほどであり、その補助は有効であった。筆者らは、被害者の家族に対して日常的に評価することにより早期の評価が可能であり適切な介入ができるであろう、と述べている。

虚血性心筋症に対し心臓移植を受けた患者においてうつ病は死亡率を上昇させる [2002-10-08]

Depression is associated with significantly increased mortality rate after heart transplantation for coronary heart disease
虚血性心筋症に対し心臓移植を受けた患者でうつ病を有する者は同様の条件でうつ病を有さない患者と比較し術後数年以内の死亡率が約5倍高い、という報告がPyschosomatic Medicine 9-10月号に掲載された。このドイツの研究は103人の患者(虚血性心筋症 40人、拡張型心筋症 63人)を平均4年間追跡調査した。筆者らは移植待機リスト上の患者の心理的検討を行い、移植前にさらなるサポートが必要な者を同定することが必要である、と主張している。
 

急性の躁病に対してはリスペリドンと精神安定剤の併用が安定剤単独投与よりも有効である [2002-10-08]

Combination of risperidone and mood stabilizer more effective than stabilizer alone for treatment of acute mania
急性躁病に対しリスペリドンと精神安定剤を併用された患者は、安定剤を単独投与された患者よりも急速およびより大きな効果が得られたとAmerican Journal of Psychiatry 7月号に掲載された。この3週間の研究で、156人の患者はリスペリドン、ハロペリドール、あるいはプラセボと安定剤をそれぞれ併用する群に無作為に割り付けられた。リスペリドンおよびハロペリドール群においてはプラセボ群と比較し有意に良好な症状の改善が認められた。しかし錐体外路症状はハロペリドール群においてはるかに多く認められた(ハロペリドール28%、リスペリドン13%、プラセボ4%)。これらの結果は非定型抗精神病薬が従来の薬剤よりも有効で忍容性に優れていることを示している。

非定型抗精神病薬は初期アルツハイマー病患者の行動をコントロールするのに有効である [2002-10-01]

Atypical antipsychotic shows promise in controlling behavior in patients with early Alzheimer's disease
非定型抗精神病薬クエチアピンは初期アルツハイマー病患者の精神病的行動をコントロールするのに有効である、という報告がjournal Alzheimer Disease and Associated Disorders 4〜6月号に掲載された。10人の患者において、同薬を1日50〜150mg投与することで、攻撃的な行動や精神病的行動を副作用なく十分にコントロールすることが可能であった。認知能力は、おそらく精神症状のコントロールによるためか、ベースラインと比較し6週間後には上昇した。12週の研究期間終了時には結果的に認知機能の低下が認められたが、それは本疾患の自然経過から予測される認知能力低下の範囲内であった。
 

痴呆および軽度認知機能障害の患者において神経精神症候は多くに認められる [2002-10-01]

Neuropsychiatric symptoms are found to be common in patients with dementia and mild cognitive impairment
痴呆および軽度認知機能障害の患者において神経性精神症候は多くに認められるが、それらは認知能力低下の悪化を示す可能性がある、という報告がThe Journal of the American Medical Association 9月25日号に掲載された。あるコホート研究に登録された682人中、軽度認知機能低下が認められた患者の43%がその前の月から神経精神的兆候を示していた。痴呆患者においては、75%の患者が前月に兆候を認め、55%が2つ以上の症状を示し、44%が3つ以上の症状を示した。最も一般的な症状は、無気力、抑うつ、および興奮/攻撃的行動であった。筆者らは認知機能低下患者の精神的評価を行い、症状に対する早期の治療を行うことを薦めている。
 


 
 

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