双極性障害を有する患者の75%が新たな薬物治療の必要性を感じ、25%がうつを悪化させずに躁病エピソードをコントロールする薬物の必要性を明記していた、という調査データがEuropean
College of Neuropsychopharmacology学会で発表された。約75%の患者が初診の段階で誤診され、しばしばそれは1年間に渡って継続したままであると述べていた。20%以上の患者が内服を副作用のために中止したと述べた。この報告は2001年11月から2002年2月にわたって患者238人、その家族233人に施行された調査結果である。研究者らは、躁病エピソードに対する非定型抗精神病薬投与が治療に役立ち、双極性障害患者のquality
of lifeが向上することを期待している。
両親が離婚したことによる重度の感情障害を有し、11週間の治療プログラムに組み込まれた成人は、自習プログラムに組み込まれた10代の子供と比較しその影響が36%軽減した、という報告がJournal
of the American Medical Association 10月16日号に掲載された。この研究は過去に施行された研究の追跡調査を同じメンバーが行ったものである。過去の研究では、米国の研究チームが9歳から12歳の子供を有する離婚した母親240人を、子供の自習グループ、母親に対する親教育グループ、および母親子供両者に対する教育グループ3群に割り付けた。6年後、自習グループに組み込まれた子供の状態は母親が教育を受けた群あるいは子供と母親の両者が教育を受けた群と比較し、有意に不良であった。
注意欠陥多動性障害の小児または成人の脳は健常人と比較して3〜4%小さいが、薬物治療が原因ではない、という報告が
Journal of the American Medical Association10月9日号に掲載された。磁気共鳴画像法(MRI)を使用し、5歳から18歳の患者152人と139人の年齢と性を調整した対象群を10年間追跡した。投薬群の白質の容積は対象群のそれと違いがなかったが、投薬を受けていない患者群49人のそれは有意に小さかったことから、白質の縮小化は投薬によるものではないと思われた。ほとんど全ての脳区域の発達速度は患者と健常人とで同等であったが、患者の脳の大きさそのものはやや小さい傾向にあったことから、脳の発達の初期段階で発達の遅れがある可能性のあることが示された
。
虚血性心筋症に対し心臓移植を受けた患者でうつ病を有する者は同様の条件でうつ病を有さない患者と比較し術後数年以内の死亡率が約5倍高い、という報告がPyschosomatic
Medicine 9-10月号に掲載された。このドイツの研究は103人の患者(虚血性心筋症 40人、拡張型心筋症
63人)を平均4年間追跡調査した。筆者らは移植待機リスト上の患者の心理的検討を行い、移植前にさらなるサポートが必要な者を同定することが必要である、と主張している。
急性躁病に対しリスペリドンと精神安定剤を併用された患者は、安定剤を単独投与された患者よりも急速およびより大きな効果が得られたとAmerican
Journal of Psychiatry 7月号に掲載された。この3週間の研究で、156人の患者はリスペリドン、ハロペリドール、あるいはプラセボと安定剤をそれぞれ併用する群に無作為に割り付けられた。リスペリドンおよびハロペリドール群においてはプラセボ群と比較し有意に良好な症状の改善が認められた。しかし錐体外路症状はハロペリドール群においてはるかに多く認められた(ハロペリドール28%、リスペリドン13%、プラセボ4%)。これらの結果は非定型抗精神病薬が従来の薬剤よりも有効で忍容性に優れていることを示している。
痴呆および軽度認知機能障害の患者において神経性精神症候は多くに認められるが、それらは認知能力低下の悪化を示す可能性がある、という報告がThe
Journal of the American Medical Association 9月25日号に掲載された。あるコホート研究に登録された682人中、軽度認知機能低下が認められた患者の43%がその前の月から神経精神的兆候を示していた。痴呆患者においては、75%の患者が前月に兆候を認め、55%が2つ以上の症状を示し、44%が3つ以上の症状を示した。最も一般的な症状は、無気力、抑うつ、および興奮/攻撃的行動であった。筆者らは認知機能低下患者の精神的評価を行い、症状に対する早期の治療を行うことを薦めている。