脳神経変性疾患に伴う症状の多くは治療できる可能性がある[2002-08-27]

Treatable psychiatric symptoms may be very common among patients with certain neurodegenerative diseases
動作や協調運動が障害される神経変性疾患に伴う精神症状の多くは治療が可能である、という報告がAmerican Journal of Psychiatry 8月号に掲載された。研究者らは小脳変性疾患患者31人、ハンチントン舞踏病患者21人、および脳疾患の兆候の認められない29人(患者の介護者、多くは配偶者から選ばれた)に問診を行い、脳の画像を解析した。ハンチントン病または小脳変性疾患を有する患者の80%にうつがみられ、思考の障害や性格の変化が認められた。筆者らは、彼らの発見によってより多くの患者がその精神状態に対し適切な治療が受けられるようになることを望んでいる。
 
痴呆を有する配偶者や両親の介護を家庭でする者に対し簡単な運動が効果的である可能性がある[2002-08-27]
A simple exercise program may significantly benefit adults who are caring for impaired relatives at home
痴呆を有する配偶者や両親の介護をする者に対し簡単な運動が効果的である可能性がある、という報告がPsychosomatic Medicine 5/6月号に掲載された。研究者らは、週に最低10時間は自宅で介護をしている女性51人を研究に組み入れた。対象者は全て50歳以上の女性であり、定期的に運動を行っていなかった。対象者は各々インストラクターから定期的な運動計画を供給された。約70%の女性が運動を1年間継続し、その結果、運動強度は増加し健康状態は改善した。筆者らは、今回の研究における対象者と研究のカウンセラーのように連絡を取り合ったり介護者を中心とした健康活動を維持したりすることにより、介護者らの身体的精神的健康が維持されるであろうと述べている。
 
精神的ストレスの多い日本人女性は脳卒中および冠動脈疾患のリスクが有意に高い[2002-08-20]
Japanese women with high levels of mental stress have significantly increased risks for stroke and coronary heart disease
精神的ストレスの多い日本人女性はストレスの少ない女性と比較し脳卒中および冠動脈疾患のリスクが優位に高い、とCirculationオンライン速報 8月13日版に掲載された。研究者らは成人73,424人のデータを解析した。その結果、男性778人および女性643人が心血管性疾患で死亡していた。ベースラインの時点で対象者のうち女性8,656人、男性6,891人が精神的ストレスが多いと報告した。心血管系危険因子および心理学的変数で補正したところ、ストレスの多い女性はストレスの少ない女性と比較し脳卒中のリスクが2.24倍、冠動脈疾患のリスクが2.28倍高かった。同様の関連が男性でも認められた。筆者らは、ストレス軽減療法により心血管系リスクを減少させることが可能であるかを調査する臨床試験を薦めている。
 
うつ症状の重症度はアルツハイマー病のリスクと関連がある[2002-08-20]
Severity of depressive symptoms associated with higher risk for Alzheimer's disease
65歳以上の高齢者を対象にした7年間にわたる研究結果から、うつ症状の重症度とアルツハイマー病発症のリスクに関連があることが示された、という報告がNeurology 8月13日号に掲載された。このスタディには650人以上の高齢者が登録され、神経学的評価および認知機能検査が毎年施行された。ベースライン時の検査では約半数はうつによる症状を呈しておらず、大うつ病の診断基準を満たしたのは1%に過ぎなかった。追跡調査をしている間に108人にアルツハイマー病が発症した。ベースライン時にうつ病の症状を最も多く呈していた人々においてアルツハイマー病が発症しやすく、認知機能の急速な低下が認められた。さらなる研究を行うことによりこれらの関係の本質が明らかになるかもしれない。
リスペリドンは小児自閉症の深刻な行動異常の治療に有望である[2002-08-13]
Risperidone shows promise as treatment for serious behavioral problems in autistic children
非定型抗精神病薬リスペリドンは、小児自閉症に伴う深刻な行動障害の治療に有効であり忍容性の点においても優れている、という報告がNew England Journal of Medicine 8月1日号に掲載された。5〜17歳の自閉症小児101人を対象に施行されたプラセボ比較試験において、リスペリドン群ではプラセボ群と比較し有意な行動の改善が認められた。8週間にわたる研究の後、学説的定義を用いて評価したところ、リスペリドン群に割り付けられた小児の69%に、よりよい、あるいは非常によい改善が認められたのに対し、プラセボ群におけるその割合はわずか12%であった。これは、小児自閉症に対するこれまでの薬物療法の中で最も優れた結果である。
「遅れた満足感」に関わる脳回路の発見により強迫神経症の研究が進む[2002-08-13]
Discovery of brain circuit associated with delayed gratification may boost research into obsessive compulsive disorder
猿において、報奨を期待する(つまり遅れた満足感)脳の回路が発見されたことによって動機や期待に関わる状況の解明が進む可能性がある、という報告がScience 5月30日号に掲載された。米国 National Institute of Mental Health の研究グループは、猿の脳において、ジュースを報奨としてもらえる課題が終了に近づいたときに帯状回前部におけるシグナルが強くなるのを同定した。強迫性障害の患者においては皮質の同部位の活性異常が認められている。
電話による精神衛生上の補助は脳梗塞後患者本人およびその介護者のサポートに役立つ[2002-08-06]
Mental-health support by telephone shows promise both for caregivers of stroke survivors and for patients themselves
電話による精神衛生上の補助は退院直後の脳梗塞後患者本人およびその介護者のサポートに役立つ、という報告がStroke 8月号に掲載された。研究者らは74人の介護者を、電話により問題を解決する積極的介入群、問題の解決はしないが電話によりアドバイスを受けられる消極的介入群、および全く電話による介入のない群の3群に割り付けた。4週間後、積極的介入群においてはうつに関して平均56%(スコアにしてベースライン15.4から6.8)、陰性要因の方向性に関して50%(12.2から6.1)の改善を認めた。また感情的な健康状態および活気の面でも改善が認められた。この方法は他の状況の家庭介護に関しても有効であろう。
積極的な社会経験のある生涯は、老年期における疾患や死のリスクを軽減すると思われる[2002-08-06]
A lifetime of positive experiences seems to decrease the risk for disease and death in old age
積極的な経験の影響は、老年期においてよりよい生理学的な健康をもたらすようである、という報告がPsychosomatic Medicine5/6月号に掲載された。58〜59歳の106人と70〜79歳の間の約1,200人がこの研究に含まれ、よい小児期とよい結婚生活を送り、親しい友人を多くもち、さらに他人との相互関係を報告した男女は、概ねよい健康状態にあった。著者らは、社会的経験の認知的感情的な質は、徐々に生理活動へと変えられていった可能性がある、と主張している。乏しい人間関係にある人々を同定し介入することは、精神的な健康と身体的な幸福に有益である可能性がある。
 


 
 

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