動作や協調運動が障害される神経変性疾患に伴う精神症状の多くは治療が可能である、という報告がAmerican
Journal of Psychiatry 8月号に掲載された。研究者らは小脳変性疾患患者31人、ハンチントン舞踏病患者21人、および脳疾患の兆候の認められない29人(患者の介護者、多くは配偶者から選ばれた)に問診を行い、脳の画像を解析した。ハンチントン病または小脳変性疾患を有する患者の80%にうつがみられ、思考の障害や性格の変化が認められた。筆者らは、彼らの発見によってより多くの患者がその精神状態に対し適切な治療が受けられるようになることを望んでいる。
痴呆を有する配偶者や両親の介護をする者に対し簡単な運動が効果的である可能性がある、という報告がPsychosomatic
Medicine 5/6月号に掲載された。研究者らは、週に最低10時間は自宅で介護をしている女性51人を研究に組み入れた。対象者は全て50歳以上の女性であり、定期的に運動を行っていなかった。対象者は各々インストラクターから定期的な運動計画を供給された。約70%の女性が運動を1年間継続し、その結果、運動強度は増加し健康状態は改善した。筆者らは、今回の研究における対象者と研究のカウンセラーのように連絡を取り合ったり介護者を中心とした健康活動を維持したりすることにより、介護者らの身体的精神的健康が維持されるであろうと述べている。
非定型抗精神病薬リスペリドンは、小児自閉症に伴う深刻な行動障害の治療に有効であり忍容性の点においても優れている、という報告がNew
England Journal of Medicine 8月1日号に掲載された。5〜17歳の自閉症小児101人を対象に施行されたプラセボ比較試験において、リスペリドン群ではプラセボ群と比較し有意な行動の改善が認められた。8週間にわたる研究の後、学説的定義を用いて評価したところ、リスペリドン群に割り付けられた小児の69%に、よりよい、あるいは非常によい改善が認められたのに対し、プラセボ群におけるその割合はわずか12%であった。これは、小児自閉症に対するこれまでの薬物療法の中で最も優れた結果である。
猿において、報奨を期待する(つまり遅れた満足感)脳の回路が発見されたことによって動機や期待に関わる状況の解明が進む可能性がある、という報告がScience
5月30日号に掲載された。米国 National Institute of Mental Health の研究グループは、猿の脳において、ジュースを報奨としてもらえる課題が終了に近づいたときに帯状回前部におけるシグナルが強くなるのを同定した。強迫性障害の患者においては皮質の同部位の活性異常が認められている。