成人においては不安症を有する率は意外に高く有害な習慣と関連がある、という研究結果が Journal of the
American Academy of Child and Adolescent Psychiatry 6月号に掲載された。Carol
Whalen博士らは150人の高校生に各々小型のコンピュータを配布し、それにインストールされたプログラムに1日の感情や行動を記録させた。初期の解析結果によると、日記に記入された項目の約45%が不安を示す兆候であり、その割合は男女でほぼ同等であった。不安感があることにより会話やレクリエーション活動が減少し、喫煙や過食が増加していた。
うつを有する高齢者は完治しにくく年齢とともに予後が不良となる、という報告がThe
Archives of General Psychiatry 7月号に掲載された。研究者らは以下の4タイプのうつを有する者277人(平均年齢71.8歳、65%が女性)を追跡調査した。つまり、閾値下うつ病207人、気分変調症25人、大うつ病障害23人、そして気分変調症および大うつ病障害の合併、の4タイプであった。閾値下うつ病は予後が最も良好であり、気分変調症および大うつ病障害合併タイプの予後が最も不良であった。Aartjan
T. F. Beekman博士らは、集団生活における高齢者へのうつによる荷重が今まで考えられていたよりも重く、大規模な介入が必要であると述べている。
身体的に活発な高齢者ではアルツハイマーのリスクが減少すると思われることから、動物を使用した研究によってこの所見の基礎が説明できる可能性のあることがAnnals
of Neurology 5月22日号オンライン版に掲載された。ある国際的研究で、中年から高齢のマウスを、活動性を高く保てるような刺激的な環境で飼育したところ、通常の状態で飼育されたマウスの5倍も多く海馬神経が発達した。さらにその刺激的な環境で飼育されたマウスは対照マウスと比較し、行動課題に関する評価も有意に高かった。Gerd
Kemperman博士らはこの結果が、たとえ高齢患者が脳ニューロンの大量喪失を伴う損傷があったとしても、医師がその患者の身体的または精神的活動の計画をたてる動機付けになってほしい、と願っている。
C反応性蛋白(CRP)は痴呆の危険因子である、という報告が
Annals of Neurology オンライン版5月22日号に掲載された。研究者らは長期にわたる Honolulu
Asia Aging Studyの対象者から、痴呆を有する老年男性214人と痴呆を有しない老年男性838人を抽出した。血液検体は1960年代後半に採取され保存されていた。最近の研究者らが高感度CRPを測定したところ、中年の段階でCRPの上昇を認めた男性においては、老後にアルツハイマー病あるいは血管性痴呆を発症するリスクが3〜4倍高くなっていた。筆者らは、炎症のマーカーは将来的には、痴呆を発症するリスクが高く早期の治療開始により利益が得られる人々を同定するのに有用となるであろうと信じている。
うつ以外は健康である患者においては心疾患が発症する率が高い、という報告が American Journal
of Preventive Medicineに掲載された。筆者らはうつと心疾患に関する11の大規模研究を解析した。研究者らは全体で36,000人以上のうつ病の男女を評価し3〜37年にわたって追跡した。11のうち7つの研究において、うつ病患者は対照群と比較し1.5〜4倍、心疾患を発症しやすかった。他の4研究においても同様であったがその相関は弱かった。筆者らは、この結果は心療内科医が患者の健康におけるリスクを評価したり患者の包括的なヘルスケアプランを立てるのにさらなる情報を与えるであろう、と述べている。
体調不良や高度の疼痛または身体機能低下を訴えプライマリケア医を訪れる患者は、他の患者と比較し不安およびうつを有している、という報告がJournal
of the American Board of Family Practice 5/6月号に掲載された。この研究では大学病院の外来を訪れた患者1822人およびその担当医からの質問紙の回答を調査した。回答者の平均年齢は46.1歳、67%は女性であった。解析結果によると、自己申告および女性であることは、頭痛や関節炎と診断されていることと比べ、はるかに有意に気分障害の予測因子となった。