不安症の成人は喫煙と過食のリスクが高い[2002-07-30]

Anxious adolescents are at increased risk to smoke and to overeat
成人においては不安症を有する率は意外に高く有害な習慣と関連がある、という研究結果が Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry 6月号に掲載された。Carol Whalen博士らは150人の高校生に各々小型のコンピュータを配布し、それにインストールされたプログラムに1日の感情や行動を記録させた。初期の解析結果によると、日記に記入された項目の約45%が不安を示す兆候であり、その割合は男女でほぼ同等であった。不安感があることにより会話やレクリエーション活動が減少し、喫煙や過食が増加していた。
 
血中ホモシステインレベルが上昇することによりアルツハイマー病のような痴呆の発症率が上昇する[2002-07-30]
Elevated homocysteine levels are associated with increased risk for dementias such as Alzheimer's disease
血中ホモシステインレベルの上昇している人には脳萎縮が認められやすくアルツハイマー病を含む痴呆のリスクが上昇する、という報告がNeurology 5月28日号に掲載された。オーストラリアのPerminder Sachdev博士らは、健常高齢者36人に血液検査およびMRIを施行し評価した。脳萎縮がより進行している者(上位50%)は萎縮の程度が低い者と比較し血中ホモシステインレベルが2倍高い傾向にあった。この両者の関連についてはまだ予備試験の段階であるが、ビタミンB6、B12、および葉酸の供給によりホモシステインレベルを低下させることが可能であることから、博士らはそれらの摂取を奨励している。
 
高齢者のうつ病患者は完治しにくい[2002-07-23]
Elderly patients are less likely to recover fully from depression
うつを有する高齢者は完治しにくく年齢とともに予後が不良となる、という報告がThe Archives of General Psychiatry 7月号に掲載された。研究者らは以下の4タイプのうつを有する者277人(平均年齢71.8歳、65%が女性)を追跡調査した。つまり、閾値下うつ病207人、気分変調症25人、大うつ病障害23人、そして気分変調症および大うつ病障害の合併、の4タイプであった。閾値下うつ病は予後が最も良好であり、気分変調症および大うつ病障害合併タイプの予後が最も不良であった。Aartjan T. F. Beekman博士らは、集団生活における高齢者へのうつによる荷重が今まで考えられていたよりも重く、大規模な介入が必要であると述べている。
 
動物を使用した研究から、身体的に活発な高齢者にアルツハイマー病のリスクが低いと思われる理由が示唆された[2002-07-23]
Animal research suggests reason why physically active older people appear to have decreased risk for Alzheimer's disease
身体的に活発な高齢者ではアルツハイマーのリスクが減少すると思われることから、動物を使用した研究によってこの所見の基礎が説明できる可能性のあることがAnnals of Neurology 5月22日号オンライン版に掲載された。ある国際的研究で、中年から高齢のマウスを、活動性を高く保てるような刺激的な環境で飼育したところ、通常の状態で飼育されたマウスの5倍も多く海馬神経が発達した。さらにその刺激的な環境で飼育されたマウスは対照マウスと比較し、行動課題に関する評価も有意に高かった。Gerd Kemperman博士らはこの結果が、たとえ高齢患者が脳ニューロンの大量喪失を伴う損傷があったとしても、医師がその患者の身体的または精神的活動の計画をたてる動機付けになってほしい、と願っている。
オランザピンは糖尿病のリスクを増加させる可能性がある[2002-07-16]
Olanzapine may place patients at increased risk for diabetes
論文のレビューや学会での症例報告によると少なくとも一種類の非定型抗精神病薬と糖尿病の発症との間に関連がある、という報告がPharmacotherapy 7月号に掲載された。米国の研究者らがオランザピンの内服と関連のある糖尿病289症例を同定したところ、そのうち225例は糖尿病を新たに発症していた。100人の患者においてケトーシスが報告され22人において膵炎が認められ、23人が死亡した。70%以上はオランザピン内服開始後6ヵ月以内に発症した。筆者らは過去にクロザピンと糖尿病との関連の可能性を同定している。彼らは、この種類の薬剤による内分泌系に対する悪影響を大幅に再調査する必要性を唱えている。
中年者におけるC反応性蛋白と老後の痴呆の発症には関連がある[2002-07-16]
Elevated levels of C-reactive protein in middle age correlate with increased risk for dementia in later life
C反応性蛋白(CRP)は痴呆の危険因子である、という報告が Annals of Neurology オンライン版5月22日号に掲載された。研究者らは長期にわたる Honolulu Asia Aging Studyの対象者から、痴呆を有する老年男性214人と痴呆を有しない老年男性838人を抽出した。血液検体は1960年代後半に採取され保存されていた。最近の研究者らが高感度CRPを測定したところ、中年の段階でCRPの上昇を認めた男性においては、老後にアルツハイマー病あるいは血管性痴呆を発症するリスクが3〜4倍高くなっていた。筆者らは、炎症のマーカーは将来的には、痴呆を発症するリスクが高く早期の治療開始により利益が得られる人々を同定するのに有用となるであろうと信じている。
うつ以外には健康である患者においては心疾患が発症するリスクが高い[2002-07-09]
Depression in otherwise healthy adults is associated with higher risk for development of heart disease
うつ以外は健康である患者においては心疾患が発症する率が高い、という報告が American Journal of Preventive Medicineに掲載された。筆者らはうつと心疾患に関する11の大規模研究を解析した。研究者らは全体で36,000人以上のうつ病の男女を評価し3〜37年にわたって追跡した。11のうち7つの研究において、うつ病患者は対照群と比較し1.5〜4倍、心疾患を発症しやすかった。他の4研究においても同様であったがその相関は弱かった。筆者らは、この結果は心療内科医が患者の健康におけるリスクを評価したり患者の包括的なヘルスケアプランを立てるのにさらなる情報を与えるであろう、と述べている。
記憶向上薬の働きの分子上のメカニズムに対するさらなる見識[2002-07-09]
Insight gained into the molecular mechanisms underlying activity of memory-enhancing drugs
神経伝達物質グルタミン酸に対する脳受容体の感受性を調整させることに伴う組織上の変化を同定することによって、記憶向上薬の働きに対する分子レベルのメカニズムの理解に研究者らはまた一歩近づいた、という報告がNature5月16日号に掲載された。アロステリック調整薬として知られるこれらの薬剤は、グルタミン酸とは異なる、受容体の他の部位に結合することによって感度を調整する。その薬剤の分子と結合した受容体はグルタミン酸ともさらに結合しやすくなる。このようにアロステリック調整薬の効果は、受容体の自然の神経伝達物質グルタミン酸に対する感受性を機能的に増強させる。
不安およびうつの新たな指標によりプライマリケア医がそれらの患者をさらに同定し易くなる可能性がある [2002-07-02]
New indicators of anxiety and depression may enable primary-care clinicians to identify affected patients more effectively
体調不良や高度の疼痛または身体機能低下を訴えプライマリケア医を訪れる患者は、他の患者と比較し不安およびうつを有している、という報告がJournal of the American Board of Family Practice 5/6月号に掲載された。この研究では大学病院の外来を訪れた患者1822人およびその担当医からの質問紙の回答を調査した。回答者の平均年齢は46.1歳、67%は女性であった。解析結果によると、自己申告および女性であることは、頭痛や関節炎と診断されていることと比べ、はるかに有意に気分障害の予測因子となった。
高血圧の家族歴は生理機能のみならずストレスに対する非機能的行動反応をも反映する可能性がある[2002-07-02]
Family history of hypertension may reflect dysfunctional behavioral responses to stress as well as shared physiology
高血圧の家族歴を有する者の高血圧のリスクは、ストレスに対して非機能的な反応を示すことに影響されうる、という報告がHealth Psychology 5月号に掲載された。研究者らは大学生64人(高血圧の家族歴を有する学生およびコントロール)に対して、ストレスの多い精神活動施行中の行動上の反応、心拍数、および血圧を調査した。その結果、親に高血圧を有する学生はストレスに対する心血管反応が最も大きく、ストレスの多い活動中に言語上および非言語上のネガティブな行動をとったことから、生理機能および身についた行動はその本人のリスクによるものである可能性がある。
 


 
 

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