定量的脳波を使用して前頭葉皮質の活動性を評価することにより、抗うつ薬による治療効果の予測が治療開始後数日以内に可能である、という報告がNeuropsychopharmacology7月号に掲載された。Ian
A. Cook博士らは、急性うつ病の患者51人を抗うつ薬あるいはプラセボ群に無作為に割り付け評価した。患者はベースラインおよび治療開始後に検査を受けた。薬剤に反応を示した患者においては、治療開始後48時間および1週間の時点で特徴的なコーダンス(脳波の計測)の低下が認められた。コーダンスの変化が最も大きかったものについては、8週間後には薬剤に対する反応が最も良好であった。
2つの長期研究の解析結果によると、lamotrigineはうつ病エピソードの再発を遅延させるとAmerican
Psychiatric Association で報告された。この二重盲検、プラセボコントロール研究では、双極T型障害患者1,315人から638人を抽出し、lamotrigine(280人)、リチウム(167人)、およびプラセボ(191人)に無作為に割り付けた。18ヵ月後、lamotrigine群の患者57%は治療を必要としなかったが、リチウム群においてはその率が51%であり、プラセボ群では40%であった。
米国 Society for Personality Assessment国家賞を獲得した研究結果によると、ロールシャッハインクブロットテストは思考障害が疑われる小児の診断材料となる可能性がある。研究者らは精神病院に入院したことのある8歳から18歳の小児42人を検査した。ロールシャッハテストを知覚思考係数と呼ばれる新しく開発された係数で解析した結果は、従来の方法である分裂病係数よりも個人の報告および行動評価と高い相関が認められた。さらに、新たな係数は偽陽性が少なく、したがって思考障害や精神病をより正確に評価した。
機能的選択性と呼ばれる分子のメカニズムにより、古典的な薬物作用"鍵と錠"の過程に新たな識見がもたらされ、分裂病の新薬開発を前進させる可能性がある、とthe
Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics
6月号に掲載された。Richard Mailman博士らはドパミン受容体に結合するいくつかの新薬を考案した。正常なラットの脳およびin
vitroで行った実験により、彼らはその薬剤が脳の異なった部位でアゴニストとしてもアンタゴニストとしても働くことを発見した。博士らは、その薬剤が受容体ではなくG蛋白と呼ばれる補助シグナル伝達蛋白に結合し、実際にその補助蛋白を活性化させ、その蛋白の活動を通して異なった効果に転換されている、との仮説を立てている。
American
Psychiatric Associationの会議において発表されたある研究結果によると、精神的に健常な芸術家の気質は、一般の健常人よりも双極性障害患者のそれに近い。研究者らは健常人47人、双極性障害の治療に成功した患者48人、そしてうつ病の治療に成功した患者25人に対して、人間性、気質、そして創造力の試験を施行した。また彼らは、創作デザイン、創作文、芸術プログラムを終了した健常な学生32人に対しても試験を施行した。すべての対象は年齢、性別、教育、社会的経済的条件を一致させた。