脳波を定量的に評価することにより、抗うつ薬による治療が成功するか否かを予測できる可能性がある [2002-06-25]

Quantitative electroencephalograms may predict success of antidepressant therapy
定量的脳波を使用して前頭葉皮質の活動性を評価することにより、抗うつ薬による治療効果の予測が治療開始後数日以内に可能である、という報告がNeuropsychopharmacology7月号に掲載された。Ian A. Cook博士らは、急性うつ病の患者51人を抗うつ薬あるいはプラセボ群に無作為に割り付け評価した。患者はベースラインおよび治療開始後に検査を受けた。薬剤に反応を示した患者においては、治療開始後48時間および1週間の時点で特徴的なコーダンス(脳波の計測)の低下が認められた。コーダンスの変化が最も大きかったものについては、8週間後には薬剤に対する反応が最も良好であった。
 

肺移植待機中の患者にとって、うつはQOL低下の有意な予測因子である[2002-06-25]

Depression is a significant predictor for patient perception of poor quality of life waiting for lung transplantation
肺移植待機中の患者にとって、うつはQOLの低下および息切れの自覚の有意な予測因子になるとAmerican Thoracic Society年次会議で報告された。うつによる陰性効果は肺機能や原疾患による影響よりもはるかに大きく、臓器移植待機中の患者に対する心理学的な評価と治療が重要である、と発表者は述べた。研究チームは、うつや不安を評価する一連の検査やQOLに関する質問票を用いて患者99人を評価した。さらに研究者らは、うつを治療することにより肺移植後の予後も改善できると考えている。

新しいデータによるとlamotrigineは双極性うつ病に対し長期的な効果がある[2002-06-18]

New data suggest lamotrigine may have long-term efficacy for bipolar depression
2つの長期研究の解析結果によると、lamotrigineはうつ病エピソードの再発を遅延させるとAmerican Psychiatric Association で報告された。この二重盲検、プラセボコントロール研究では、双極T型障害患者1,315人から638人を抽出し、lamotrigine(280人)、リチウム(167人)、およびプラセボ(191人)に無作為に割り付けた。18ヵ月後、lamotrigine群の患者57%は治療を必要としなかったが、リチウム群においてはその率が51%であり、プラセボ群では40%であった。
 

救急外来の研究では多くの小児患者が精神疾患の検査で陽性である[2002-06-18]

Many children screen positively for mental illness in Emergency Department study
米国の研究チームの研究結果によると、緊急性がないにもかかわらず母親が救急外来に運び込んだ小児の75%が精神疾患の検査で陽性である、とPediatric Academic Societiesの年次会議で報告された。さらにその母親の18%が不安症やうつの検査で陽性であり、彼女らの子供の92%が検査で陽性であった。Jacqueline Grupp-Phelan博士らは医師に、母親が精神疾患を有しているとその子供のリスクが高くなり、一般に救急外来に来る小児患者の多くが精神疾患の可能性があることを銘記するよう述べた。

ロールシャッハテストの新たな解析法は思考障害が疑われる小児の診断に情報を与える[2002-06-11]

New use of Rorschach testing provides diagnostic information about pediatric patients with possible thought disorders
米国 Society for Personality Assessment国家賞を獲得した研究結果によると、ロールシャッハインクブロットテストは思考障害が疑われる小児の診断材料となる可能性がある。研究者らは精神病院に入院したことのある8歳から18歳の小児42人を検査した。ロールシャッハテストを知覚思考係数と呼ばれる新しく開発された係数で解析した結果は、従来の方法である分裂病係数よりも個人の報告および行動評価と高い相関が認められた。さらに、新たな係数は偽陽性が少なく、したがって思考障害や精神病をより正確に評価した。

分子学的な研究により分裂病の新薬開発の基礎が供給される可能性がある[2002-06-11]

Molecular research may provide basis for development of new drugs for schizophrenia
機能的選択性と呼ばれる分子のメカニズムにより、古典的な薬物作用"鍵と錠"の過程に新たな識見がもたらされ、分裂病の新薬開発を前進させる可能性がある、とthe Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 6月号に掲載された。Richard Mailman博士らはドパミン受容体に結合するいくつかの新薬を考案した。正常なラットの脳およびin vitroで行った実験により、彼らはその薬剤が脳の異なった部位でアゴニストとしてもアンタゴニストとしても働くことを発見した。博士らは、その薬剤が受容体ではなくG蛋白と呼ばれる補助シグナル伝達蛋白に結合し、実際にその補助蛋白を活性化させ、その蛋白の活動を通して異なった効果に転換されている、との仮説を立てている。

気質検査の結果によると、健常で創造的な芸術家は一般の健常人よりも双極性障害患者に近い[2002-06-04]

Temperament testing indicates healthy creative artists are more like people with bipolar disorder than other healthy people
American Psychiatric Associationの会議において発表されたある研究結果によると、精神的に健常な芸術家の気質は、一般の健常人よりも双極性障害患者のそれに近い。研究者らは健常人47人、双極性障害の治療に成功した患者48人、そしてうつ病の治療に成功した患者25人に対して、人間性、気質、そして創造力の試験を施行した。また彼らは、創作デザイン、創作文、芸術プログラムを終了した健常な学生32人に対しても試験を施行した。すべての対象は年齢、性別、教育、社会的経済的条件を一致させた。

うつ病の既往のある患者は中枢神経系セロトニンの異常の持続を示す[2002-06-04]

People with a history of depression continue to show abnormalities in central nervous system serotonin
うつ病の既往のある患者は、たとえ無投薬の寛解時期であっても、中枢神経系セロトニンの異常の持続を示す、とNeuropsychopharmacology5月号に掲載された。Robert Golden博士らは、臨床的にうつ状態にある人はセロトニンブースティングテストに対する反応が鈍い、という発見を10年ごとに追跡している。最近の研究は20人のうつ病患者と20人の対照者において行われた。研究者らは、現在、彼らの結果を説明するセロトニン系の特異的遺伝性構成部分の同定を試みている。
 


 
 

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