選択的エストロゲン受容体調節薬は安全かつ有効でありホルモン補充療法に取って代わりうる薬剤である [2002-12-24]
Selective estrogen receptor modulators may become a safe and effective alternative to hormone replacement therapy
選択的エストロゲン受容体変調薬は、乳がんのリスクは軽減するがホルモンの効果は維持でき、閉経前後の治療薬として第一選択薬となりうるとの結果が、CANCERオンライン版では12月中旬から掲載されプリント版では1月1日号に掲載される。最近の論文をもとに筆者らは、エストロゲンの骨、脂質そして中枢神経系に対する有益な効果は維持し、乳房や子宮内膜組織においてはエストロゲン拮抗薬として働く調節薬系統の新たな薬剤の開発が研究の大きなゴールであると考えた。新たな薬剤はさらに、Women’s Health Initiative trialにおいてホルモン補充療法を中止せざるを得なくなった原因である冠動脈疾患や脳卒中の発症率の増加も回避できる可能性がある。
 
遺伝子操作された神経幹細胞は多形性膠芽腫の遊走細胞を追跡攻撃する [2002-12-24]
Genetically engineered neural stem cells can track and attack migrating cells of glioblastome multiforme
腫瘍壊死因子(TNF) 関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)と呼ばれるアポトーシス誘導蛋白を発現する遺伝子操作された神経幹細胞は、多形性膠芽腫の有効な治療手段となるという報告がCancer Research12月15日号に掲載された。In vitroで膠芽腫細胞を追跡しまたそれに対し毒性を有する遺伝子操作された幹細胞を、ヒト膠芽腫腫瘍を移植されたマウスに投与した。早期研究の結果では、実験上の治療により、正常脳細胞に毒性を及ぼすことなくがん細胞の有意な細胞死を誘発することが示された。
悪性黒色腫に対する新たな分子マーカーにより術後の予後の良好な患者を同定できる可能性がある [2002-12-17]
New molecular marker for malignant melanoma may identify patients with better post-surgical prognosis
悪性黒色腫に対する新たなマーカーにより術後予後の良好な患者を同定できる可能性がある、という後ろ向き研究結果がJournal of the National Cancer Institute 12月4日号に掲載された。研究者らはstage I、II、およびIIIの黒色腫患者の検体のHDM2分子をアッセイした:10年間の追跡調査を行ったところ、同分子が低レベルであった患者の53%に再発が認められたのに対し、高レベルの患者ではその率が28%であった。さらに低レベルであった患者の55%、高レベルであった患者の38%が死亡した。このマーカーによる予後評価は腫瘍の厚さなど他の因子とは独立したものであった。このマーカーを使った前向き臨床試験が開始された。
 
急性骨髄性白血病患者に対してペプチドワクチンを接種することにより寛解に導くことが可能である [2002-12-17]
Peptide vaccination in patients with acute myelogenous leukemia can induce remission
急性骨髄性白血病患者に対してペプチドワクチンを接種することにより、白血病細胞に対し特別な高活性の免疫性を産生し、寛解に導くことが可能であるとの報告が第44回American Society of Hematology学会で報告された。パイロット研究において、9人の患者に対し3種類の用量(0.25 mg、 0.5 mg、または1.0 mg)のPR1ペプチドワクチンの週1 回3週間の接種が行われた。それぞれの群において3人中0人、3人中1人、3人中3人が寛解に導かれた。T細胞の解析の結果PR1を標的とした免疫反応が観察された。筆者らは、この骨髄性白血病における有効な免疫療法に対するさらに大規模な研究を行う必要があると述べている。
複合ホルモン補充療法に伴う乳がんのリスクは同療法を中止すると減少する [2002-12-10]
Breast cancer risk associated with combined hormone replacement therapy decreases after therapy stops
複合ホルモン補充療法により上昇した乳がんのリスクは同療法を中止すると減少し始め約6ヵ月でベースラインに戻る、という報告がObstetrics & Gynecology12月号に掲載された。研究者らは、1994年7月1日から1998年4月30日までに乳がんと診断された閉経後女性1,870人とコントロール1,953人を研究に組みこんだ。その結果、複合ホルモン補充療法を5年以上継続している者は同療法を受けていない者と比較し、乳がんを発症する確率が1.54倍高かった。乳がん発症のリスクは補充療法の期間とともに上昇した。しかし、乳がんのリスクは補充療法中止とともに減少し始め、補充療法を受けていた期間にかかわらず約6ヵ月後には補充療法を受けていない者と同等になった。
 
ヒトポリオーマウイルスへの感染と大腸がん発症との間に相関が認められた [2002-12-10]
Correlation found between human polyomavirus infection and development of colon cancer
一般的なヒトポリオーマウイルスJCVと大腸がん発症のリスクとの間に相関が認められ、これにより腫瘍の病因の理解、新たな治療のターゲットの同定に役立つであろう、という報告がCancer Research12月1日号に掲載された。研究者らは切除された大腸がんにレーザーマイクロダイセクションを使用し悪性細胞および正常細胞を得た。その結果腫瘍27のうち22例にウイルスの早期ゲノムが認められた。ウイルスプロテインT抗原は検体の50%以上に見られた。T抗原は発がん性を有する可能性があることや、重要な制御蛋白ベータカテニンと関連し細胞を不安定化させ腫瘍を発生させる可能性があることで知られている。さらに、このウイルスが腫瘍を発生させるのか、コファクターとして働くのか、あるいは偶然によるものなのかを明らかにするよう研究がなされるであろう。
以前から知られている肥満と乳がんの関係は、レプチンにより乳がん細胞が増殖することで説明できる可能性がある [2002-12-02]
Leptin-induced proliferation of breast cancer cells may explain the previously known association of obesity and breast cancer
レプチンはヒト乳がん細胞の成長を促すが、これが肥満と乳がんの関係の基本になっている可能性があるというin vitroの実験結果がJournal of the National Cancer Institute 11月20日号に掲載された。研究者らは、レプチンにより培養された正常および悪性のヒト乳房上皮細胞の接着依存性増殖が増強されることを示した。一方、レプチンはさらにがん細胞の接着非依存性増殖も非常に(81%)増強したが、ヒト正常細胞に対しては接着非依存性増殖に対して影響を与えなかった。後者の結果から、肥満と肥満女性においては早期にがん転移が起こりやすいことの関係を説明できる可能性がある。
 
高速らせんCTは胸部X線撮影よりも肺がんの同定に優れ、stage Iの肺がんを発見できる [2002-12-02]
Spiral computed tomography identifies more lung cancers than chest X-ray and catches Stage I disease
中年の喫煙者に対し胸部高速らせんCT撮影を施行したところ、通常のX線撮影の2〜4倍多く肺がんを発見できた、という報告がAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicine 11月1日号に掲載された。さらにこのCTで診断された腫瘍の70%以上がまだstage Iのものであった。筆者らはさらなる前向き試験を行い、この早期発見が特に切除可能な非小細胞肺がんまたは限局型小細胞肺がんの患者の予後改善に結びつくか否かを確認する必要がある、と述べている。そして現段階ではやはり禁煙が肺がんを予防する唯一の最良の手段であると強調している。
 


 
 

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