細胞の代謝に重要な細菌である蛋白が副作用なくがん細胞を死滅させる、とProceedings
of the National Academy of Sciences10月29日号に掲載された動物実験で報告された。特別に飼育された免疫不全のマウスにヒトメラノーマを植え付け、1日0.5mgのアズリンを22日間投与した。その結果、アズリンを投与されたマウスの腫瘍の大きさは投与されなかったものと比較して60%小さかった。アズリンを投与されたマウスで、具合が悪かったり体重減少を示したものはいなかった。さらにアズリンは核においてp53蛋白(腫瘍抑制物質)に結合しその濃度および活動性を上昇させることにより抗がん作用を高めることも示された。予備結果を確認するためのさらなる研究が計画されている。
初発の多発性骨髄腫に対するサリドマイドとデキサメサゾンの経口投与は静脈内投与による化学療法と同様に有効であり忍容性の点において優れている、という報告がJournal
of Clinical Oncology11月号に掲載された。この結果は、初発でかつ活動性の高い多発性骨髄腫患者50人(年齢33〜78歳)を対象にした第U相臨床試験の結果をもとに報告されたものである。この二剤併用経口療法により50人の患者のうち32人(64%)において50%以上の腫瘍容積の縮小が認められた。奏効率は従来の静脈内投与による化学療法と同様かそれよりも良好であった。この併用療法とデキサメサゾン単独投与を比較するさらに大規模な前向き無作為化試験が現在進行中である。
直腸がんに対する術前放射線療法は全体の生存率を有意に改善し対費用効果にも優れている、という報告がInternational
Journal of Radiation Oncology, Biology and Physics11月号に掲載された。研究者らはSwedish
Rectal Cancer Trialに組み込まれた患者の中から無作為に98人を抽出し費用と臨床上の予後を解析した。術前に放射線照射を施行された患者は行われなかった患者と比較し平均で生存期間が21ヵ月長かった。手術のみを受けた患者と比較し余分にかかった医療費はたったの$5,188であった。筆者らは、術前放射線療法は確実な治療の選択法として考慮されるべきであると主張している。
化学療法および放射線療法の同時併用によって喉頭がん患者の喉頭が保存される確率が高くなる、とAmerican
Society for Therapeutic Radiology and Oncology年次学会で発表された。新たにstage
IIIまたはIVの扁平上皮がんと診断された患者517人における無作為試験において、化学療法(シスプラチン)と放射線治療の同時併用療法は化学療法のみあるいは放射線療法のみよりも喉頭の保護または局所がんのコントロールの点で優れていた。予後についてのデータは治療2年後に評価された。