間歇性跛行を有する患者に対する運動の効果についての研究を大規模に再評価した結果、定期的な歩行運動は、多少の痛みは伴うが、有益であるという報告がNew
England Journal of Medicine12月12日号に掲載された。研究者らは、120以上の研究結果をもとに、心疾患を否定できた患者においては、中等度の下肢痛が起こってから数分歩行を持続しその後休憩しまた歩行を始めるといったことを繰り返しそれを50分間続けることにより利益が得られるとの結論に達した。そのような運動により、全身の心血管系機能が改善するのみならず、血管の拡張および収縮能が改善され、全身の炎症が軽減するようである。
二つの研究結果によると、サイアザイド系利尿薬は高血圧の第一選択薬として使用すべきであるが中等度の高コレステロール血症に対するスタチン系薬剤の使用に関してはその有効性が明らかではないという報告がThe
Journal of The American Medical Association (JAMA)12月18日号に掲載された。55歳以上の北米高血圧患者33,000人以上を対象としたALLHAT
trialによると、サイアザイド系利尿薬は降圧効果および冠動脈疾患予防の点においてアンジオテンシン変換酵素阻害薬およびカルシウム拮抗薬と同等またはより有効であることが示された。
心筋梗塞で入院した患者の退院後のフォローは一般内科医が行うよりも循環器内科医が行ったほうが予後は良好であり、さらに両者により併診を行うと最良である、という報告がNew
England Journal of Medicine 11月21日号に掲載された。米国の研究者らは心筋梗塞で入院した高齢患者35,000人以上の医療記録を評価し、循環器内科医にフォローされた患者の2年後の死亡のリスクは14.6%であったのに対し一般内科医にフォローされた場合のそれは18.3%であるとの結果を得た。さらに、解析した結果、循環器内科医および一般内科医両者により併診を行った場合の死亡のリスクが最も低いことが明らかとなった。
インスリン抵抗性、高血糖、肥満、血中脂質異常、高血圧を特徴とする代謝症候群を有する中年男性は心血管疾患のリスクが高い、という報告がJournal
of the American Medical Association 12月4日号に掲載された。試験開始時に、がんおよび糖尿病のないフィンランド人男性1,209人を約11.4年追跡調査した結果、109人が死亡し、そのうち73人が心血管系疾患、冠動脈疾患で死亡した。代謝症候群の患者は他のリスクファクターを調整した場合、心血管疾患で死亡する確率が2.6〜3.0倍高かった。同症候群の男性はさらに冠動脈疾患あるいは他の全ての原因による死亡率が高い、との結果が得られた。
C反応性蛋白(CRP)はLDLコレステロールよりも強力な心血管系疾患の予測因子となる可能性がある、という報告がNew
England Journal of Medicine 11月14日号に掲載された。研究者らは米国人女性約28,000人を平均8年間にわたって追跡したデータを解析し、CRPの上昇は高LDLコレステロール血症よりも初回心血管系疾患発症のより強力な予測因子となることを見出した。CRPおよびLDLコレステロール両者が上昇している場合は、それぞれ片方のみの上昇よりも疾患の発症率は高かった。この結果から、男女両群における心血管系疾患のハイリスクな患者を同定する最適なスクリーニング法に関する研究が今後行われるのは間違いない。