末梢血管疾患患者は中等度の下肢痛をもたらすような運動を定期的に行うことにより利益がも たらされる [2002-12-24]
Patients with peripheral arterial disease benefit from regular exercise that induces moderate leg pain
間歇性跛行を有する患者に対する運動の効果についての研究を大規模に再評価した結果、定期的な歩行運動は、多少の痛みは伴うが、有益であるという報告がNew England Journal of Medicine12月12日号に掲載された。研究者らは、120以上の研究結果をもとに、心疾患を否定できた患者においては、中等度の下肢痛が起こってから数分歩行を持続しその後休憩しまた歩行を始めるといったことを繰り返しそれを50分間続けることにより利益が得られるとの結論に達した。そのような運動により、全身の心血管系機能が改善するのみならず、血管の拡張および収縮能が改善され、全身の炎症が軽減するようである。
高血圧および中等度高コレステロール血症の治療 [2002-12-24]
Studies suggest that thiazide diuretics should be first drug option for hypertension but that role of statin therapy for moderately high cholesterol is less clear-cut
二つの研究結果によると、サイアザイド系利尿薬は高血圧の第一選択薬として使用すべきであるが中等度の高コレステロール血症に対するスタチン系薬剤の使用に関してはその有効性が明らかではないという報告がThe Journal of The American Medical Association (JAMA)12月18日号に掲載された。55歳以上の北米高血圧患者33,000人以上を対象としたALLHAT trialによると、サイアザイド系利尿薬は降圧効果および冠動脈疾患予防の点においてアンジオテンシン変換酵素阻害薬およびカルシウム拮抗薬と同等またはより有効であることが示された。

ALLHAT-LLT trialはALLHAT trialに登録された者のうち10,000人を超える中等度高コレステロール血症の患者に関しプラバスタチンと通常の管理を比較したものであるが、その結果によるとこれらの2群間において臨床上の有意差は認められなかった。しかし2群間のLDLコレステロール値には少々差があり通常の管理を受けた群の大多数の患者は5年間の追跡調査期間内にコレステロール低下療法(多くがスタチン系薬剤)を開始されていた。
心臓移植後早期にスタチン系薬剤内服を開始することにより術後生存率が向上する [2002-12-17]
Early statin use is associated with improved survival after heart transplantation
心臓移植後早期にスタチン系薬剤内服を開始することにより長期生存率が有意に上昇したとCirculationオンライン速報 12月10日版に掲載された。この研究では心臓移植を受けた患者72人が術後低コレステロール食または低コレステロール食とシンバスタチン内服併用群に無作為に割り付けられた。4年後の結果に有意差があったため、その後患者は全てシンバスタチンの内服を開始することとなった。8年間の追跡調査の結果、早期からシンバスタチン内服を開始した群の生存率は88.6%であったのに対し、術後4年経過してから内服を開始した群のそれは59.5%であった。この予後の差はシンバスタチン早期開始群と後期開始群の患者間に認められた移植後閉塞性冠動脈病変の発症率(24.4%対54.7%)の有意な違いにより説明できるかもしれない。
心筋梗塞の既往のある患者はその後のフォローを循環器内科医と一般内科医両者が行うと最も死亡率が低い [2002-12-17]
Patients with myocardial infarction have lower risk of death when follow-up care involves a cardiologist and a primary care physician
心筋梗塞で入院した患者の退院後のフォローは一般内科医が行うよりも循環器内科医が行ったほうが予後は良好であり、さらに両者により併診を行うと最良である、という報告がNew England Journal of Medicine 11月21日号に掲載された。米国の研究者らは心筋梗塞で入院した高齢患者35,000人以上の医療記録を評価し、循環器内科医にフォローされた患者の2年後の死亡のリスクは14.6%であったのに対し一般内科医にフォローされた場合のそれは18.3%であるとの結果を得た。さらに、解析した結果、循環器内科医および一般内科医両者により併診を行った場合の死亡のリスクが最も低いことが明らかとなった。
男性における代謝症候群患者は心血管疾患および死亡の確率が高い [2002-12-10]
Metabolic syndrome in men is associated with increased risk for cardiovascular disease and death
インスリン抵抗性、高血糖、肥満、血中脂質異常、高血圧を特徴とする代謝症候群を有する中年男性は心血管疾患のリスクが高い、という報告がJournal of the American Medical Association 12月4日号に掲載された。試験開始時に、がんおよび糖尿病のないフィンランド人男性1,209人を約11.4年追跡調査した結果、109人が死亡し、そのうち73人が心血管系疾患、冠動脈疾患で死亡した。代謝症候群の患者は他のリスクファクターを調整した場合、心血管疾患で死亡する確率が2.6〜3.0倍高かった。同症候群の男性はさらに冠動脈疾患あるいは他の全ての原因による死亡率が高い、との結果が得られた。
糖尿病女性の心臓疾患に対してホルモン補充療法が与える効果はその患者の閉経前の心血管の状態による [2002-12-10]
Effect of hormone replacement therapy on cardiac risk for diabetic women may depend on premenopausal cardiovascular health
糖尿病女性の心臓疾患に対してホルモン補充療法が与える効果は患者の閉経前の心筋梗塞の既往の有無に左右される、とCirculation オンライン速報12月3日版に掲載された。研究者らは心筋梗塞の既往のない女性24,420人と最近心筋梗塞を発症した女性580人を追跡調査した。既往のない群では3年の追跡調査の結果ホルモン補充療法を受けている者はそうでない者と比較し心筋梗塞の発症率が22%低かった。その効果はエストロゲンの用量が多いほど減少し補充療法の期間が長いほど増加した。一方、心筋梗塞の既往のあった群では補充療法を受けている者はそうでないものと比較し心筋梗塞発症のリスクが78%高かった。
C反応性蛋白(CRP)はLDLコレステロールよりも強力な心血管系疾患の予測因子となる可能性がある [2002-12-02]
C-reactive protein may be a stronger predictor for cardiovascular disease than low-density lipoprotein cholesterol
C反応性蛋白(CRP)はLDLコレステロールよりも強力な心血管系疾患の予測因子となる可能性がある、という報告がNew England Journal of Medicine 11月14日号に掲載された。研究者らは米国人女性約28,000人を平均8年間にわたって追跡したデータを解析し、CRPの上昇は高LDLコレステロール血症よりも初回心血管系疾患発症のより強力な予測因子となることを見出した。CRPおよびLDLコレステロール両者が上昇している場合は、それぞれ片方のみの上昇よりも疾患の発症率は高かった。この結果から、男女両群における心血管系疾患のハイリスクな患者を同定する最適なスクリーニング法に関する研究が今後行われるのは間違いない。
ニューヨークにおける心疾患患者の心室性不整脈の発生が、昨年9月11日の同時多発テロ事件以後倍以上になった [2002-12-02]
Incidence of ventricular dysrhythmias more than doubled in New York heart patients after September 11th attacks
体内除細動器を埋め込まれているニューヨーク地域の心疾患患者において、不整脈が発生し除細動器が作動する回数が昨年9月11日の同時多発テロ事件以後倍以上になっていることが、AHA学会で報告された。200人の患者における除細動器の記録によると、同時多発テロ事件以前30日間には3.5%の患者において除細動器が作動されていたが、事件後30日間のそれは8%であった。さらに研究を進めることにより、心疾患患者をテロ事件後のような持続する強いストレスから保護するための治療ガイドラインが医師らにより作成されることであろう。
 
 

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