スタチン系薬剤投与と大動脈弁狭窄の進行遅延の関係を観察した研究結果が確認されれば、多くの患者が弁置換術から免れることが可能になる、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 11月20日号に掲載された。Mayo
Clinicの研究者らは大動脈弁狭窄患者156人の弁狭窄の程度を超音波検査で計測し、平均3.7年追跡調査した。その結果、スタチン系薬剤を内服していた患者38人における狭窄進行の度合いは内服していなかった118人と比較し、その半分であった。筆者および論評執筆者らは、さらに大規模な臨床試験を行い、大動脈弁狭窄に対するスタチン系薬剤が安全かつ大動脈弁狭窄の進行を停止または遅延させることが可能であることを確認することが必要である、と述べている。
心不全患者の生存率は男女ともに改善しているが、発症率は女性では減少しているものの男性では減少していないとNew
England Journal of Medicine 10月号に掲載された。男性における発症率を比較するとここ最近(1990〜1999年)の発症率は基準とされた期間(1950〜1969年)と同様であった。一方、女性における心不全の発症率は同様の期間に31〜40%減少していた。心不全発症後の全体の生存率の改善は、男女ともに10年間で約12%であり、これはβブロッカーやアンジオテンシン変換酵素阻害薬、アルドステロン拮抗薬などが一般に使用されてることを反映している可能性がある。
24時間脈圧モニター法は従来のクリニックでの計測による管理よりも心血管イベントを予測するには優れている、という報告がAmerican
Journal of Hypertension 10月号に掲載された。研究者らはSystolic Hypertension
in Europe Trialに登録された患者808人のデータを評価した。対象者(男性311人女性497人)は60歳以上で座位での収縮期血圧160から219mmHg、拡張期血圧95mmHg未満であった。患者は薬物療法またはプラセボ群に割り付けられた。平均追跡期間は4.4年であった。筆者らは、24時間脈圧モニターが心臓死亡率のみではなく心血管イベントの予測に役立つことから、24時間脈圧モニター法は心臓と中心動脈との相互作用のよりよい評価法であると述べている。