スタチン系薬剤は大動脈弁狭窄の薬物治療の第一選択となる可能性がある [2002-11-26]
Statin agents may become the first medical treatment for aortic stenosis
スタチン系薬剤投与と大動脈弁狭窄の進行遅延の関係を観察した研究結果が確認されれば、多くの患者が弁置換術から免れることが可能になる、という報告がJournal of the American College of Cardiology 11月20日号に掲載された。Mayo Clinicの研究者らは大動脈弁狭窄患者156人の弁狭窄の程度を超音波検査で計測し、平均3.7年追跡調査した。その結果、スタチン系薬剤を内服していた患者38人における狭窄進行の度合いは内服していなかった118人と比較し、その半分であった。筆者および論評執筆者らは、さらに大規模な臨床試験を行い、大動脈弁狭窄に対するスタチン系薬剤が安全かつ大動脈弁狭窄の進行を停止または遅延させることが可能であることを確認することが必要である、と述べている。
 
Bタイプナトリウム利尿ホルモン(BNP)の上昇は急性冠症候群で入院した患者の死亡率を正確に予測できる [2002-11-26]
Elevated B-type natriuretic peptide is an accurate predictor of mortality in patients hospitalized with an acute coronary syndrome
Bタイプナトリウム利尿ホルモン(BNP) のN末端の断片を計測することにより、急性冠症候群患者の予後を正確に予測できるとCirculationオンライン速報11月12日版に掲載された。スウェーデンの研究者らは、急性心筋梗塞患者424人および不安定狭心症患者185人を評価した:患者らは全員血液検査を入院後約3日後に、心臓超音波検査を5日以内に施行され左室駆出率を計測された。平均51ヵ月間の追跡調査の結果、86人が死亡した。長期生存者におけるN末端のレベルは死亡した患者と比較し有意に低値であった(442対1306 pmol/L)。他の因子を調整してもN末端断片のレベルの上昇は、例え左心不全の臨床上の兆候が認められなくても有意に死亡率の上昇と関連があった。
 
心不全の発症は女性では減少しているが男性では減少していない [2002-11-19]
Incidence of heart failure has declined among women but not among men
心不全患者の生存率は男女ともに改善しているが、発症率は女性では減少しているものの男性では減少していないとNew England Journal of Medicine 10月号に掲載された。男性における発症率を比較するとここ最近(1990〜1999年)の発症率は基準とされた期間(1950〜1969年)と同様であった。一方、女性における心不全の発症率は同様の期間に31〜40%減少していた。心不全発症後の全体の生存率の改善は、男女ともに10年間で約12%であり、これはβブロッカーやアンジオテンシン変換酵素阻害薬、アルドステロン拮抗薬などが一般に使用されてることを反映している可能性がある。
 
心筋梗塞は男性においては心不全の主なリスクファクターであるが、高血圧は男女ともに主なリスクファクターである [2002-11-19]
Myocardial infarction is major risk factor for heart failure in men while hypertension is major factor for both sexes
40歳以上の米国人はうっ血性心不全の発症リスクが20%である、とCirculationオンライン速報11月5日版に掲載された。研究者らはFramingham Heart Studyのデータを検討した結果、心筋梗塞の既往のない男性は既往のある男性と比較し、一生における心不全発症のリスクが約半分(20% 対11%)に減少することを見出した。女性に関しては高血圧が心不全の大きなリスクファクターとなっていた。つまり、高血圧を有する40歳の女性の場合、一生涯における心不全発症率は28.9%であったが、一方正常血圧の場合のそれは12%であった。研究者らは、今回のFramingham Studyは白人に偏った人種集団であったためそれ以外の集団について検討する必要があると述べている。また患者に対し高血圧のようなコントロール可能なリスクファクターをなくすようカウンセリングを行うことを薦めている。
 
βブロッカーは心臓突然死のリスクの高い患者の生存率を改善する可能性がある [2002-11-12]
Beta-blocking agents may improve survival in people at risk for sudden cardiac death
βブロッカーは心臓突然死のリスクの高い患者の生存率を改善する可能性がある、とCirculationオンライン速報10月29日版に掲載された。研究者らは陳旧性心筋梗塞患者2,096人(そのうち電気生理学的検査で持続性心室頻拍が認められたのは702人であり、抗不整脈薬群または無治療群に無作為に割り付けられ、持続性心室頻拍の認められなかった1,394人には抗不整脈薬は投与されなかった)を評価した。全体で799人の患者にβブロッカーが投与され、そのうち314人が持続性心室頻拍を有する群であり、485人が有さない群であった。その結果、βブロッカー投与患者群の2年後の総死亡率が16%、5年後のそれが34%であったのに対し、βブロッカー非投与群においてはそれぞれ27%、50%であった
 
冠動脈バイパス術後にうつを有することにより術後狭心症その他の心臓に関する予後が不良となる [2002-11-12]
Depression after bypass surgery is linked with increased rates of angina and other negative cardiac outcomes
冠動脈バイパス術後にうつを有する患者は5年後の狭心症やその他の心臓に関する問題を有する確率がうつでない患者と比較して高いとPsychosomatics 11-12月号に掲載された。研究者らは冠動脈バイパス術を試行された患者の術前、術後1ヵ月、1年、そして5年後を追跡調査した。そのうち32%が術前にうつであり、その率は術後1ヵ月では28%、1年後には21%、5年後には16%であった。それぞれの時期でのうつの状態は5年後の問題と関連していたが、術後1ヵ月にうつを有することが最も有力な予後予測因子であった。興味深いことに、うつと予後の相関は男性では認められたが女性では認められなかった。筆者らは術後1ヵ月の心理学的評価および必要性に応じてはその治療を行うことを薦めている。
 
24時間脈圧モニター法は従来のクリニックでの計測による管理よりも心血管イベントのよりよい予後予測因子である[2002-11-05]
Ambulatory pulse pressure monitoring is a better predictor of adverse events than conventional office monitoring
24時間脈圧モニター法は従来のクリニックでの計測による管理よりも心血管イベントを予測するには優れている、という報告がAmerican Journal of Hypertension 10月号に掲載された。研究者らはSystolic Hypertension in Europe Trialに登録された患者808人のデータを評価した。対象者(男性311人女性497人)は60歳以上で座位での収縮期血圧160から219mmHg、拡張期血圧95mmHg未満であった。患者は薬物療法またはプラセボ群に割り付けられた。平均追跡期間は4.4年であった。筆者らは、24時間脈圧モニターが心臓死亡率のみではなく心血管イベントの予測に役立つことから、24時間脈圧モニター法は心臓と中心動脈との相互作用のよりよい評価法であると述べている。
 
HDL以外のコレステロールは心疾患患者の価値ある予後予測因子となる [2002-11-05]
Non-high density lipoprotein cholesterol may be a valuable predictor of outcome for patients with heart disease
HDL以外のコレステロールは心疾患患者の心疾患イベントの価値ある予後予測因子となる、という報告がCirculation 10月22日号に掲載された。米国の研究者らは心疾患患者1514人(男性73%、平均年齢61歳)のデータを評価した。その結果、他のリスクファクターで補正してもHDL以外のコレステロールが5年後の非致死性心筋梗塞、狭心症の独立した予後予測因子であった。HDL以外のコレステロールがもっとも強力な予後予測因子であったが、論評の筆者は、対象の患者がすでにLDLコレステロールを減少させる薬剤を内服しており、それによりLDLコレステロールの予後予測因子としての価値を過小評価している可能性があることを指摘した。
 
 
 

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