カテーテル冠動脈形成術後の緊急バイパス術施行率は10倍以上減少した。[2002-10-29]
Frequency of emergency bypass surgery following angioplasty has decreased more than ten-fold
術者の経験および技術の向上により、カテーテル冠動脈形成術後のバイパス術施行率は10倍以上減少した、とCirculation オンライン速報10月15日版に掲載された。Cleveland Clinicの研究者らは1992年から2000年にかけて血管形成術を施行された患者18,593人の医療記録を解析した。彼らはまた緊急バイパス術が必要な症例はより女性で多く、複雑病変を有し、急性心筋梗塞に伴い血管形成術を施行された例に多かったとも報告した。一方、過去に冠動脈バイパス術を施行されたことのある患者、ステントを挿入された患者、または血小板糖タンパク阻害薬を投与された患者は緊急手術を要する確率が低かった。
生理的左室肥大と肥大型心筋症を区別する新たな指標 [2002-10-29]
New findings help to distinguish between physiologic left ventricular thickness and hypertrophic cardiomyopathy
運動が成人の心臓に与える生理的効果と肥大型心筋症を区別する、循環器医に役立つ指標が発見された、という報告がJournal of the American College of Cardiology 10月16日号に掲載された。イギリスの研究者らは14歳から18歳のエリートアスリート720人および彼らと年齢の匹敵したアスリートではないコントロール群に心臓超音波検査を行い評価した。その結果、左室壁厚が12mm以上で左室腔の拡大を伴うものは正常の可能性が高かった。研究者らは、壁の肥厚があり左室内腔の縮小が認められるものは肥大型心筋症の可能性が高いと述べている。彼らは、今回の研究の被検者は98%がコーカシアンであり、この結果を他の人種にそのまま当てはめるのには注意を要すると述べている。
心不全の既往歴を有する患者に心筋梗塞が発症すると消極的に治療されやすい[2002-10-22]
Patients with myocardial infarction and preexisting heart failure are treated less aggressively despite high risk for complications
うっ血性心不全を基礎疾患として有する患者に急性心筋梗塞が発症した場合、心不全を有さない患者と比較して合併症を発症する確率が高いにもかかわらず、それらの患者に対する治療は消極的に行われがちである、という報告がJournal of the American College of Cardiology10月16 日号に掲載された。米国の研究者らはデータベースから急性心筋梗塞190,518例を解析した。そのうち36,303例 (19.1%)が心不全の既往歴を有していた。心不全の既往のある患者群は有意に合併症を有する率および死亡率が高かったが、血栓溶解術、アスピリン投与、または血行再建術を施行される確率が低かった。筆者らは急性心筋梗塞および心原性ショックを有する患者の治療が進歩したように、これらのハイリスクの患者を積極的に治療することにより治療法も進歩すると述べている。
磁気共鳴画像法(MRI) により心筋梗塞および心臓死が予測可能である [2002-10-22]
Magnetic resonance imaging can predict risk for myocardial infarction and cardiac death
I磁気共鳴画像法(MRI)により冠動脈疾患を有する患者の心筋梗塞および心臓死が予測可能である、とCirculationオンライン速報10月15日版に掲載された。研究者らは、心エコーによるスクリーニング検査で診断がつかずストレスMRI検査を施行された患者279人を評価した。その結果、MRIを用いて評価することにより左室駆出率66%以下の正常心機能の患者における致死的および非致死的心筋梗塞が予測できることが明らかになった。彼らはまた、ストレス中よりも安静時の壁運動の方が良好な場合や、心尖部の血流低下も心筋梗塞のリスクとなると述べている 。
シンバスタチンは家族性高コレステロール血症の小児において有意にコレステロールレベルを低下させる[2002-10-15]
Simvastatin significantly reduces cholesterol levels in children with inherited hypercholesterolemia
シンバスタチンは家族性高コレステロール血症の小児において有意にコレステロールレベルを低下させる、とCirculation オンライン速報10月1日版に掲載された。これまでで最も大規模な小児対象のこの研究では、異種接合体の家族性高コレステロール血症患者173人(年齢9〜18歳)をシンバスタチンまたはプラセボ群に無作為に割り付けた。48週後、シンバスタチン群においてはLDLコレステロール41%、総コレステロール31%の低下が認められた。特に重要な点として、スタチン系薬剤は成長や成熟に影響を与えないと思われた。追跡期間は1年未満と短期間であったが、この結果は、無治療であれば50歳までに心疾患を発症する率が50%と高率であるこの集団に対する有効な治療薬であることを示している。
ある種のII型糖尿病治験薬は動物実験において心拍数および血圧を上昇させた [2002-10-15]
Class of drugs under development for Type II diabetes causes increased heart rate and elevated blood pressure in animal studies
II型糖尿病に対する治験薬、クルカゴン様ペプチド受容体拮抗薬は動物実験において心拍数および血圧を上昇させた、という報告がJournal of Clinical Investigation 7月号に掲載された。筆者らは、生体からホルモンが自然に持続的に分泌される分には自律神経系に対する著明な影響は与えないとしている。しかしII型糖尿病治験薬のようなはるかに有効性の高い薬剤はげっし動物のいくつかの重要な自律神経調節に影響を与え、心拍数や血圧を上昇させてしまう。研究者らは、自律神経系に悪影響を与えずランゲルハンス島からインスリン分泌を刺激するような受容体拮抗薬の開発を試みている。
運動はII型糖尿病および高血圧患者の心血管予後を改善する[2002-10-08]
Exercise improves cardiovascular outcomes for patients with Type II diabetes and hypertension
運動による心血管系の変化によってII型糖尿病および高血圧患者の病状に様々な改善が認められる、という報告がJournal of the American Medical Associationのreviewに掲載された。筆者らは、専門家らにより選ばれた論文からなる雑誌(peer-reviewed journals)や専門家グループによるガイドラインおよび本から引用された235の文献を解析し、これらのハイリスク患者に推奨する運動の期間、強度を打ち出した。健康に対する利点のメカニズムはインスリン感受性の改善および血圧降下と考えられている。彼らは週3〜4回の有酸素運動および週2回のレジスタンストレーニングを推薦している。
スタチン系薬剤による集中的なコレステロール低下療法は蓄積した動脈硬化性プラークを減少させるようである [2002-10-08]
Intensive cholesterol reduction with statin therapy appears to reverse accumulation of atherosclerotic plaque
血清LDLコレステロールを100mg/dl未満に低下させることにより、蓄積した動脈硬化性プラークが減少した、という報告がCirculationオンライン速報9月24日号に掲載された。研究者らは161人の患者をプラバスタチン1日40mgおよびアトロバスタチン1日80mg投与群に無作為に割り付けた。そのうち約半数は心血管疾患を有することが判明していた。12ヵ月後のLDLコレステロール値は、プラバスタチン群では27.5%、アトロバスタチン群では48.5%低下していた。エコーで観察した頚動脈の壁厚は、アトロバスタチン群で54%、プラバスタチン群で39%の患者において減少が認められた。論評では、現在進行中のいくつかの大規模研究の結果から、コレステロールをどの程度強力に低下させる必要があるかの結果が得られるであろう、と述べている。
高血圧と左室肥大を合併した患者にはロサルタンがアテノロールよりも有効である [2002-10-01]
Losartan may be more effective than atenolol for patients with hypertension and left ventricular hypertrophy
収縮期のみの高血圧および左室肥大を合併した患者においてはロサルタンがアテノロールよりも利益をもたらす可能性がある、という報告がJournal of the American Medical Association 9月25日号に掲載された。研究者らはある大規模研究において、本研究に条件の合った男性および女性計1,326人を抽出し、ロサルタンまたはアテノロールに無作為に割り付け、約5年間追跡調査を行った。両薬剤とも血圧を低下させたが、心血管死、脳卒中、心筋梗塞などの予後に有意な差が認められた。つまり、ロサルタン群におけるそれらの発症率はアテノロール群と比較し25%低下した。筆者らは、収縮期高血圧の第一選択薬である利尿薬やカルシウム拮抗薬と比較してもロサルタンの方が優れているかについては不明である、と述べている。
オフポンプバイパス術は高齢患者における脳卒中および術後死亡率を低下させる [2002-10-01]
Off-pump bypass surgery reduces stroke and postoperative mortality among elderly patients
オフポンプバイパス術は80歳以上の高齢患者において脳卒中発症率低下、術後30日の生存率上昇をもたらし、これらの患者群においてより適している、という報告がCirculation special surgery版 9月17日号に掲載された。カナダの研究グループは、冠動脈バイパス術を受けた80歳以上の患者(オンポンプ 63人、オフポンプ 62人)をレトロスペクティブに調査した。これら2群間の術前の左室機能、年齢、性別などの患者背景は同様であった。術後30日の死亡率はオンポンプ群で15.9%であったのに対し、オフポンプ群では4.8%であった。術後発症した脳卒中4例は全てオンポンプ群であった。今回の結果を確認するためのプロスペクティブ研究が同施設において現在進行中である。
 
 

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