運動が成人の心臓に与える生理的効果と肥大型心筋症を区別する、循環器医に役立つ指標が発見された、という報告がJournal
of the American College of Cardiology 10月16日号に掲載された。イギリスの研究者らは14歳から18歳のエリートアスリート720人および彼らと年齢の匹敵したアスリートではないコントロール群に心臓超音波検査を行い評価した。その結果、左室壁厚が12mm以上で左室腔の拡大を伴うものは正常の可能性が高かった。研究者らは、壁の肥厚があり左室内腔の縮小が認められるものは肥大型心筋症の可能性が高いと述べている。彼らは、今回の研究の被検者は98%がコーカシアンであり、この結果を他の人種にそのまま当てはめるのには注意を要すると述べている。
うっ血性心不全を基礎疾患として有する患者に急性心筋梗塞が発症した場合、心不全を有さない患者と比較して合併症を発症する確率が高いにもかかわらず、それらの患者に対する治療は消極的に行われがちである、という報告がJournal
of the American College of Cardiology10月16 日号に掲載された。米国の研究者らはデータベースから急性心筋梗塞190,518例を解析した。そのうち36,303例
(19.1%)が心不全の既往歴を有していた。心不全の既往のある患者群は有意に合併症を有する率および死亡率が高かったが、血栓溶解術、アスピリン投与、または血行再建術を施行される確率が低かった。筆者らは急性心筋梗塞および心原性ショックを有する患者の治療が進歩したように、これらのハイリスクの患者を積極的に治療することにより治療法も進歩すると述べている。
II型糖尿病に対する治験薬、クルカゴン様ペプチド受容体拮抗薬は動物実験において心拍数および血圧を上昇させた、という報告がJournal
of Clinical Investigation 7月号に掲載された。筆者らは、生体からホルモンが自然に持続的に分泌される分には自律神経系に対する著明な影響は与えないとしている。しかしII型糖尿病治験薬のようなはるかに有効性の高い薬剤はげっし動物のいくつかの重要な自律神経調節に影響を与え、心拍数や血圧を上昇させてしまう。研究者らは、自律神経系に悪影響を与えずランゲルハンス島からインスリン分泌を刺激するような受容体拮抗薬の開発を試みている。
運動による心血管系の変化によってII型糖尿病および高血圧患者の病状に様々な改善が認められる、という報告がJournal
of the American Medical Associationのreviewに掲載された。筆者らは、専門家らにより選ばれた論文からなる雑誌(peer-reviewed
journals)や専門家グループによるガイドラインおよび本から引用された235の文献を解析し、これらのハイリスク患者に推奨する運動の期間、強度を打ち出した。健康に対する利点のメカニズムはインスリン感受性の改善および血圧降下と考えられている。彼らは週3〜4回の有酸素運動および週2回のレジスタンストレーニングを推薦している。
収縮期のみの高血圧および左室肥大を合併した患者においてはロサルタンがアテノロールよりも利益をもたらす可能性がある、という報告がJournal
of the American Medical Association 9月25日号に掲載された。研究者らはある大規模研究において、本研究に条件の合った男性および女性計1,326人を抽出し、ロサルタンまたはアテノロールに無作為に割り付け、約5年間追跡調査を行った。両薬剤とも血圧を低下させたが、心血管死、脳卒中、心筋梗塞などの予後に有意な差が認められた。つまり、ロサルタン群におけるそれらの発症率はアテノロール群と比較し25%低下した。筆者らは、収縮期高血圧の第一選択薬である利尿薬やカルシウム拮抗薬と比較してもロサルタンの方が優れているかについては不明である、と述べている。