埋め込み型除細動器は患者が運動したり怒っている時に起動されやすい[2002-09-24]
Implantable cardioverter-defibrillators are more likely to be triggered when patients are exercising or are angry
埋め込み型除細動器を挿入されている患者においては、運動中あるいは怒っている時に心室性不整脈が発生しやすい、という報告がCirculation オンライン速報9月10日版に掲載された。240人の患者において、除細動直前の感情や運動に関する記録と1週間後の感情や運動に関する記録が解析された。42人の患者において計107の除細動を必要とする心室性不整脈が認められた。除細動が行われた時の怒りのレベルが5段階中3段階以上であったものが15%であったのに対し、コントロール期間中のそれは3%であった。また、身体活動のレベルが5段階中4段階以上であったものが除細動直前で53%であったのに対し、コントロール期間中のそれは32%であった。筆者らは、これらの患者群においては、怒りをコントロールしたり身体的ストレスの反応をブロックしたりするような技術が非常に有用である、と述べている。
モルモットにおいて遺伝子技術による生物学的心臓ペースメーカーが創られた [2002-09-24]
Genetic engineering creates a biologic cardiac pacemaker in guinea pigs
モルモットを使用している研究者らが世界初の生物学的心臓ペースメーカーを創りだした、とNature 9月12日号に掲載された。アメリカの研究グループは遺伝子技術を使用し、不完全なカリウムチャンネルの遺伝子をモルモットの心筋に挿入したところ、その数日後に心電図上ペースメーカーの働きをすることを発見した。心臓電気生理学的にモルモットと人間が類似していることに基づき、彼らは、電気ペースメーカーではなく生物学的ペースメーカー挿入への第一歩を踏み出したと確信している。
十分なコレステロール低下療法を施された心筋梗塞後の患者における脳卒中発症率は有意に低い[2002-09-17]
Myocardial infarction patients who receive intensive cholesterol-lowing therapy significantly decrease risk for stroke
心筋梗塞発症後速やかに十分なコレステロール低下療法を開始された患者は、プラセボを投与された者と比較し有意に脳卒中発症率が低い、と Circulation オンライン速報9月3日版に掲載された。米国における臨床研究において患者3,086人が入院後4日以内にアトロバスタチンまたはプラセボいずれかを投与される群に無作為に割り付けられた。4ヵ月間の研究期間内に36人(スタチン投与群12人、プラセボ投与群24人)において、延べ38例の脳卒中が認められた。脳出血は全体で3例認められたがいずれもプラセボ投与群であり、低コレステロール血症による脳出血発症率の上昇は認められなかった。論説の筆者らはこの論文の筆者らの結論にほぼ同意しているが、さらに患者数を増やした研究が必要であると述べている。
Framingham 研究の解析によると中等度の体重過剰であっても高血圧の危険性がある [2002-09-17]
Analysis of Framingham Study data shows link between even moderate excess weight and risk for hypertension
中等度の体重過剰であっても高血圧および心血管系疾患の危険 性 が増加するとのFramingham Heart Study の結果が、Archives of Internal Medicine 9月号に掲載された。筆者らは35〜75 歳の対象者に対 し、body mass index (BMI) により3群に分別し(正常 体重:BMI 18.5〜24.9 、過剰 体重:25〜29.9 、肥満:30 以上) 、44 年間追跡調査 した 。 体重過剰の者は高血圧発症のリスクが有意に高く、体重過剰および肥満の者は有意ではないが心血管系疾患のリスクが増加した。筆者らは体重を減少させることにより、個人レベルおよび集団レベルにおいて心臓の状態が有意に改善すると主張している 。
シンバスタチンはコレステロールおよび高感度C反応性蛋白を迅速かつ有意に低下させる [2002-09-10]
Simvastatin promptly and significantly reduces levels of cholesterol and highly sensitive C-reactive protein
シンバスタチンは内服開始後2週間以内にLDLコレステロールおよび高感度CRPレベルを低下させる、という報告がCirculation オンライン速報8月27日版に掲載された。血中LDLコレステロールレベルの高い男性および女性40人を、シンバスタチン14日間の後プラセボ14日間投与またはその逆の順で投与する群に無作為に割り付けた。両群の血清コレステロールレベルはベースラインで162mg/dlであったが、スタチン投与群では投与開始後7日までに56mg/dl低下し、14日後までにさらに8mg/dl低下した。平均CRPレベルは14日後までに2.55mg/Lから1.60mg/Lに低下した。筆者らは、CRPは心血管系リスクの管理に役立ち、スタチン系薬剤は冠疾患イベント急性期治療の一環となりうると述べている。
ホモシステインレベルの低下により冠動脈形成術後の主な合併症が減少する [2002-09-10]
Reduction of homocysteine level decreases risk for major adverse events after angioplasty
冠動脈形成術後の患者は、葉酸およびビタミンB12、B6を摂取し血中ホモシステインレベルを低下させることにより、術後死亡、心筋梗塞、血管形成術再施行のリスクを軽減することができる、という報告がJournal of the American Medical Association 8月28日号に掲載された。この二重盲検無作為試験では冠動脈狭窄病変50%以上に対する血行再建に成功した患者553人を、葉酸およびビタミンB投与群またはプラセボ群に割り付けた。平均追跡期間11ヵ月の後、全体のエンドポイントに達した割合は実薬群で有意に低値であった(15.4%対22.8%)。この一次治療は血管形成術の標的病変の最狭窄防止に有効なようである。
早期冠動脈疾患のリスクを上昇させる突然変異がオランダの研究で同定された [2002-09-03]
Mutation associated with increased risk for early coronary heart disease is identified in Dutch study
動脈の弾性に影響する突然変異により初期の冠動脈疾患のリスクが増加する、という報告がCirculation オンライン速報8月6日版に掲載された。その突然変異がホモ接合体の者は、弾性繊維を破壊し結合組織を石灰化する弾力繊維性仮性黄色腫を発症する。オランダの研究グループが1,498人を評価したところ、同遺伝子がヘテロ接合体である50歳未満の者における冠動脈疾患の発症率は3.2%(441人中14人)であった。一方、その突然変異を有しない集団における冠動脈疾患発症率は0.8%(1,057人中8人)であった。筆者らは、ヘテロ接合体の者を同定し、早期に診断治療をすることで心血管系事故を予防できる可能性がある、と述べている。
進行性の心不全に対し外科的に網目状の覆いをかぶせ心臓を補助する治療法の治験が開始される [2002-09-03]
Trial begins for surgically implanted mesh jackets that support hearts affected by progressive failure
重症心不全患者に対する心臓補助器具の無作為臨床試験が北米で開始された。現在のところ、合衆国の28施設およびカナダの施設においてCorCap?と呼ばれる心臓を覆う網目状の心臓補助器具の評価のために、144人の患者が登録されている。動物実験および人における初期の研究では、その器具を使用することにより心臓の拡大を抑制、僧帽弁逆流を減少あるいは消失し心機能を維持あるいは改善させることができた。その器具は特許権をもつファイバーメッシュからなり、心臓の正常なポンプ機能を阻害することなく、もとの形に戻るよう指示した方向に伸縮するようになっている。
 
 

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