高血圧を有するやせた男性患者においては、体重を少々増加させることで予後を改善できる可能性がある、という報告がAmerican
Journal of Hypertension 6月号に掲載された。ある後ろ向き研究において、Michael
A. Weber博士らは収縮期高血圧を有する高齢患者1,192人のデータを検討した。85歳以上の123人を除いては、どの年齢層においても体重過剰な者が大半を占めていた。博士らは脈圧によって予後が予測でき、また特に最高齢患者群ではやや体重が多い者において脈圧が低めであることを見出した。筆者らは、さらに幅広い範囲のBMS(body
mass index)の高齢患者集団における前向き試験が必要であると主張している。
僧帽弁閉鎖不全を有する患者は心房細動を発症する確率が高く、そのような患者には弁置換術を積極的に考慮するべきである、という報告がthe
Journal of the American College of Cardiology 7月号に掲載された。ベースラインでは洞調律の弁膜症患者449人を10年間追跡したところ、そのうちの約半数に心房細動が発症した。心房細動を発症した患者は心不全や心臓死のリスクが増加した。Maurice
Sarano博士らは高齢および左心房のサイズが大きいことが心房細動発症の予測因子と述べている。
アロプリノールは心不全患者の血管機能を改善するという報告が、Circulation
オンライン速報6月18日号に掲載された。Allan D. Struthers博士らは軽度から中等度の心不全を有する患者11人をアロプリノール群またはプラセボ群に無作為に割り付け1ヵ月間投与し、その後アセチルコリン投与により血管の拡張を計測した。次にアロプリノールとプラセボを交代させて投与し、同様の検査を再び施行した(cross-over試験)。アロプリノールは前腕の平均血流を約50%増加させた。そのメカニズムが活性酸素の産生を抑制することによるものなのか、それとも、たとえ血中尿酸値が正常範囲内であってもそれを低下させることによるものなのかは、大規模研究を行うことにより解明されるかもしれない。
初回冠動脈形成術後にフルバスタチンの内服を開始することにより、術後の心疾患イベントが22%減少したという報告がJournal
of the American Medical Association 6月26日号に掲載された。この国際的規模の研究では1,600人以上の患者を退院前にフルバスタチンまたはプラセボ群に無作為に割り付けた。4年間の追跡調査の結果、糖尿病または多枝病変を有する患者においてリスク軽減の度合いがより高いことがわかった(糖尿病患者で47%、多枝病変患者で34%のリスク軽減率)。血中コレステロール値が正常であっても高値であってもリスク軽減のレベルは同様であった。従って、Patrick
Serruys博士らは冠動脈形成術後患者におけるスタチン系薬剤療法は、単にコレステロール値よりも患者のリスク全体を考慮することが基本であると述べている。