ホルモン補充療法中の閉経後女性におけるスタチン療法は心疾患のリスクを有意に低下させる[2002-06-25]
Statin treatment significantly reduces risk for heart disease in postmenopausal women on hormone replacement therapy
ホルモン補充療法中の閉経後女性におけるスタチン療法は心疾患のリスクを有意に低下させ、死亡のリスクも軽減しうる、とCirculation オンライン速報6月4日号に掲載された。研究者らは冠疾患を有する女性2,763人に対するホルモン補充療法の効果を評価した大規模研究(HERS)のデータベースを再解析し、スタディ開始時にすでにスタチンを内服していた女性1,004人およびスタディ期間中にスタチン内服を開始した女性708人の予後を評価した。その結果、4年間の治療中にスタチンを内服していた女性においては無内服の女性と比較し、心筋梗塞および冠動脈疾患による死亡のリスクが21%軽減し、総死亡リスクは33%低下した。スタチン療法はさらに静脈血栓塞栓のリスクを55%軽減した。
脂肪代用食品の健康に対する効用はその使用者のほとんどが減量に成功せず証明されていない[2002-06-25]
Health benefit of fat substitutes unproven partly because few users lose weight
脂肪代用食品の健康に対する効用はその使用者のほとんどが減量に成功せず証明されていない、というAmerican Heart Associationの報告がCirculation 6月11日号に掲載された。脂肪代用食品13種が評価され、そのうち6種は炭水化物、2種は蛋白、そして5種は脂肪由来のものであった。脂肪由来のオレストラはおそらく最も問題となっているものであろう。オレストラは脂肪溶解ビタミンの吸収を阻害し便の成分に影響を与えるが、オレストラ40グラムを摂取することで吸収障害の誤診の原因となる。炭水化物または樹脂、蛋白あるいは一部の脂肪由来の代用食品は消化、吸収およびビタミンやミネラルの吸収にはほとんど影響を与えないようである。
うっ血性心不全やその合併症に対して悪影響を与えるとの認識が低い貧血[2002-06-18]
Anemia an under-recognized contributor to congestive heart failure and its complications
貧血はうっ血性心不全に関連した問題としてあまり認識されていないようであると、American Medical Associationの貧血に関する要約報告で発表された。Kirkwood Adams博士は、心不全患者のデータを登録し、その結果、中等度の貧血であっても予後不良因子となり、エリスロポエチン療法などでヘモグロビンを上昇させることにより運動耐容能を改善する可能性があると述べた。心不全患者における貧血の研究や治療をさらに進めることは、長期にわたりβブロッカーを内服できない患者にとって特に価値のあるものとなりうる。
ドップラー検査を行うことで肥大型心筋症の遺伝子型を有した患者を同定できる可能性がある[2002-06-18]
Doppler testing may identify patients with the genotype for hypertrophic cardiomyopathy
組織ドップラー心エコー検査を行うことにより肥大型心筋症の主要な遺伝子型を有する患者を同定できる可能性がある、とCirculation オンライン速報6月4日号に掲載された。Solomon博士らはβミオシンの突然変異を有した左室肥大の患者18人、突然変異を有するが肥大のない者18人、および健常人36人を評価した。対象者は全員24〜36歳であった。博士らは、左室駆出率が68%以上かつ拡張早期心筋速度が15cm/sec以下の場合、遺伝子異常の特異度は100%、感度は44%であることを示した。この検査によりいずれ肥大型心筋症および突然死のリスクのある若年成人を同定し、有効な治療へと結びつけることができるであろう。
新しい左心室補助人工心臓は心臓移植を待機している患者にとって安全で有効なようである[2002-06-11]
New left ventricular assist device appears to be safe and effective for patients awaiting heart transplantation
心臓移植待機中の患者の心機能を補助する新しい埋め込み型左心室補助人工心臓は信頼でき安全なようである、という報告がCirculation オンライン速報版5月28日号に掲載された。この研究では、他の補助人工心臓を使用するには身体的に小さすぎるためJarvik2000を埋め込まれた最初の患者10人(男性7人、女性3人)を追跡調査した。心拍出係数は人工心臓埋め込み48時間以内に43%改善し、10人中8人の患者においてはNYHA心機能分類のclass IVからclass Iへと改善した。心移植へのつなぎであるこの人工心臓の平均埋め込み期間は84日間であった。
血圧コントロール成功のための3つの目標[2002-06-11]
Three goals underlie successful efforts to control hypertension
予防、生活習慣の改善、および治療のゴールに焦点を当てることが高血圧のコントロールに成功するための基本である、という論文がHypertension 5月17日号に掲載された。Daniel W. Jones博士らは、米国においてはますます多くの患者が高血圧と診断され治療を受けている傾向にあるが、心血管疾患の発症を減少させるためには、血圧をゴールのレベル(全体で140/90 mmHg 未満、糖尿病患者では130/85未満)まで低下させるさらなる努力が必要である、と述べている。高血圧を有している米国人のうち31%以上が、自分は高血圧を有していると気付いていないと思われ、さらに高血圧患者の26.2%は、内服はしているが血圧コントロールがなされていない。
心筋梗塞後患者の多くは、彼らが心臓突然死のリスクが高いか否かを知らない[2002-06-04]
Most myocardial-infarction survivors do not know whether they are at high risk for sudden cardiac death
心筋梗塞後患者の多くは、彼らが心臓突然死のリスクが高いか否かを知らない、とNorth American Society of Pacing and Electrophysiology学会で発表された。学会によって施行されたオンラインの調査によると、急性心筋梗塞患者の55%(146人中80人)が彼らの左室駆出率(突然死の主な危険因子)を知らなかった。また、自分自身の左室駆出率を知っている者のうちほぼ半数が、正常な左室駆出率が55%以上であるのに対して彼ら自身のそれは35%以下であると答えた。多くの患者が心室細動について理解し、ハイリスクな患者においてはさらなる検査および埋め込み型除細動器を挿入することの必要性を理解することにより、毎年有意に多くの患者の命が救われる可能性がある。
バソペプチダーゼ阻害薬は高血圧および動脈硬化の治療薬としてアンジオテンシン変換酵素阻害薬より優れた薬剤となりうる[2002-06-04]
Vasopeptidase inhibitors may be superior to angiotensin converting enzyme inhibitors in treatment of hypertension and arterial stiffening
バソペプチダーゼ阻害薬と呼ばれる新系統薬剤の第一番目のものはアンジオテンシン変換酵素阻害薬より強力に降圧し、老化の一部として避けられないと思われていた動脈硬化に対しても一部の血管に関しては元に戻す効果がある、という報告がCirculation速報版に掲載された。Gary F. Mitchell博士らは、中等度高血圧患者167人をエナラプリルあるいは治験薬オマパトリラットを12週間投与する二重盲検試験に組み込んだ。オマパトリラットは末梢脈圧を8.2mmHg低下させたが、アンジオテンシン変換阻害薬は4mmHgしか低下させなかった。大動脈脈圧に関しては、オマパトリラットが10.2mmHg低下させたのに対しアンジオテンシン変換酵素阻害薬は3.2mmHgしか低下させなかった。脈圧の低下には中枢性の動脈硬化減少作用があった。
 
 

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