経皮的カテーテル血管形成術中の冠動脈内放射線照射は再狭窄の危険性を軽減する[2002-05-28]
Radiation during angioplasty reduces risk of restenosis
経皮的カテーテル血管形成術中に冠動脈内放射線照射を施行された患者は、施行されていない患者と比較し5年間の追跡期間中の再狭窄のリスクが少ない、という報告がCirculation 5月13日号に掲載された。研究の対象者55人のうち放射性元素イリジウムによる放射線照射を受けた患者26人とプラセボ治療を施された29人を5年間追跡調査したところ、これらの2グループ間には総死亡、非致死性心筋梗塞、および再血行再建術施行率において有意な差が認められた。一方、放射線照射による副作用は2グループ間で有意差はなかった。
北米に住むアジア人の高血圧のリスクは居住年数が増えるにつれ上昇する[2002-05-28]
Risk of hypertension among Asians living in North America increases with duration of stay
北米に住むアジア人の高血圧のリスクは居住年数が増えるにつれ上昇する、とのカナダの国家研究データがJournal of Epidemiology and Community Health6月号に掲載された。Mark S. Kaplan博士らは、約2000人の成人のデータを解析した。血圧に影響しうる因子を調整した結果、高血圧有病率は、北米滞在期間が4年以下の場合3%未満であるのに対し、5年〜9年の場合は7%を越えることがわかった。カナダ人成人全体の高血圧有病率は10%であった。医師らは、北米に居住している患者の高血圧リスクファクターのひとつとして、海外居住期間も考慮に入れるべきである。
アスピリンは炎症によりもたらされる冠動脈の機能不全を予防する可能性がある[2002-05-21]
Aspirin may protect coronary arteries from dysfunction caused by inflammation
アスピリンは、たとえ軽度の炎症でも、それによって引き起こされる冠動脈を含めた動脈の機能不全を予防する、という報告がCirculation オンライン速報5月14日版に掲載された。英国Patrick J. T. Vallance博士らは、17人の健常人のボランティアに炎症の引き金としてチフスのワクチンを投与し、血中インターロイキン1のレベルと前腕の血流(動脈内皮機能の評価のため)を計測した。そのうち12人は予防的(ワクチン投与前)アスピリンあるいはプラセボ投与群に無作為に振り分けられ、他の5人はワクチン投与後にアスピリンを投与された。プラセボ投与群におけるインターロイキン1レベルは、全く変化のなかったアスピリン予防的投与群と比較し30倍に上昇した。血流の計測においてもやはりアスピリンの予防的投与による動脈内皮機能の保護効果が認められた。
低容量のアスピリンを就寝時に内服することにより、最高の血圧降下作用が得られる[2002-05-21]
Maximum blood pressure reduction occurs when low-dose aspirin is taken at bedtime
軽度の高血圧を有する患者においては、低容量のアスピリンを就寝時に内服することにより、他のタイミングで内服している者よりも有意な降圧効果が得られる、という報告が American Society of Hypertensionの年次会議で発表された。スペインのHermida博士らは、軽度の高血圧を有する成人109人を、起床時、就寝時、あるいはその他のタイミングでアスピリンを内服する3群に振り分け、アスピリン投与前後3ヵ月の血圧および心拍数を計測した。研究終了時には就寝時にアスピリンを内服していた群において、他の群よりも有意な降圧効果が認められた。
何世紀にもわたって使用されてきたインドの樹液からとった治療薬は血清コレステロールを低下させる[2002-05-14]
Use of a centuries old Indian remedy from tree sap found to lower serum cholesterol
Baylor College of Medicineの研究者らは、インドのガグルという樹木の一種Commiphora mukulから得られた樹液より作製されたガグルステロンが血清コレステロールを低下させることを発見した。Science 5月3日号において、研究グループは、何世紀にもわたって使用されてきたこのハーブによる治療薬がコレステロールの代謝をコントロールするFXR受容体をブロックすることを示した。彼らは以前に、コレステロールを胆汁酸に転換する際のFXR受容体の役割について発表していた。この情報から、FXR受容体のコレステロール代謝阻害作用を防ぐガグルステロンの化学構造に基づいた化合物を作製することにより、新たな高コレステロール血症治療薬が開発される可能性がある。
冠動脈バイパス術前にβブロッカーを内服させたところ患者の予後が改善した[2002-05-14]
Patients Who Take Beta Blockers before Coronary Bypass Surgery have Improved Outcomes
冠動脈バイパス術前のβブロッカーの使用が術後の予後に与える影響について検討した初めての研究がthe Society of Thoracic Surgeons and the Duke Clinical Research Instituteの研究者らによって行われた。JAMA 5月1日号に掲載されたこの研究で彼らは Society of Thoracic Surgeons' National Adult Cardiac Surgery Databaseを調査し、1996年から1999年にかけて冠動脈バイパス術を施行された患者629,877人におけるβブロッカーの使用と健康上の結果について評価した。その結果、術前からβブロッカーを内服していた患者はそうでない患者と比較し30日以内の院内外での死亡率が低かった(2.8%対3.4%)。この冠動脈バイパス術におけるβブロッカーの効果は、過去に確認された非心臓手術およびカテーテルインターベンション施行前におけるβブロッカー使用の効果と一致した。
ごく軽度の腎障害を合併していても冠動脈形成術および冠動脈バイパス術後の死亡率は倍になる[2002-05-07]
Even mild renal compromise doubles risk of death after angioplasty or bypass
軽度の慢性腎障害を有する患者が虚血性心疾患に対し血行再建術を施行された場合、腎障害のない患者と比較するとその総死亡率は2倍、心血管疾患に伴う死亡率は3倍になる、という報告がCirculation 4月23日号に掲載された。軽度の腎障害による冠動脈形成術あるいは冠動脈バイパス術施行後の経過への影響を研究した初めてのこの無作為試験では、冠動脈血行再建術を施行された患者3,608人(うち76人は腎障害を有していた)を7年間追跡調査した。その結果、たとえごく軽度の腎障害であっても、術後7年間における術後合併症、再入院、および再血行再建術施行の確率が上昇することが明らかになった。
死後研究により、突然死は血中および冠動脈プラーク内のCRPレベルの上昇と関係があるとの結果が得られた。[2002-05-07]
Post-mortem study finds that sudden death is associated with higher C-reactive protein levels in blood and coronary plaques
死後研究により、心臓突然死を来した者は心疾患以外で死亡した者と比較し、血中および冠動脈プラーク内のCRPレベルが高い、という報告がCirculationオンライン速報 4月16日版に掲載された。米国の研究者らは動脈硬化以外に炎症性疾患を有さない男女302人の死亡解剖結果を検討した。そのうち73体においては冠動脈プラーク破裂あるいはびらんが認められ、71体においては安定化プラークを有し、158体は炎症性疾患を有さない心疾患以外で死亡したコントロール群であった。その結果、心臓突然死を来した者においては血中および冠動脈プラーク内のCRPレベルが有意に高いことがわかった。CRP以外の心臓突然死の予後因子は喫煙であった。Renu Virmani博士らは、血中のCRPレベルを計測することによりそれ以外では見逃されてしまうであろうハイリスクの患者を同定できる、と述べている。


 
 

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