心筋梗塞後の予後は血栓溶解療法よりも経皮的カテーテルインターベンションを行なったほうが良好である[2002-04-30]
Outcome after myocardial infarction is better with percutaneous coronary intervention than with thrombolytic therapy
心臓外科のない病院において、心筋梗塞に対し経皮的カテーテルインターベンションを施行された患者は、血栓溶解療法を施行された患者よりも死亡、脳卒中発症、および心筋梗塞再発率が低い、という報告が The Journal of the American Medical Association 4月17日号に掲載された。 Thomas Aversano博士らは急性心筋梗塞患者226人を組織プラスミノーゲンアクチベーター (t-PA)投与群に、225人をカテーテルインターベンション群に無作為に割り付けた。心筋梗塞発症後6ヵ月以内の死亡 、再梗塞 、 あるいは脳卒中の全てをエンドポイントとした場合、およびこれらのエンドポイントそれぞれについて別々に解析した場合のいずれにおいても、カテーテルインターベンションの成績のほうが良好であった。同研究に関する論説は、他の研究結果も合わせ、カテーテルインターベンションは血栓溶解療法よりも優れており、循環器医は初期再潅流に対するアプローチ方法を考え直す必要があると述べている 。
心肺蘇生から機械的体外除細動器への迅速な転換により、心停止後の生存率が改善する可能性がある[2002-04-30]
Quicker transition from cardiopulmonary resuscitation to automated external defibrillation may improve survival after cardiac arrest
いわゆる古典的な心臓マッサージによる心肺蘇生法から機械的体外除細動器への迅速な"手離し" 転換により、心停止後の生存率が改善する可能性がある、という報告が Circulationオンライン速報 4月23日号に掲載された。ノルウェーの研究グループは体外除細動器を心室細動患者156人に使用し、のべ634の"手離し"のインターバルについて研究した。 インターバルは、心臓マッサージを停止し、除細動器が心拍を解析、チャージし、電気ショックを与えるまでの時間と定義された。その結果、全ての患者において、手離しのインターバル時間が短いほど心拍再開の可能性が高く、生存率も高まることが明らかとなった 。
糖尿病を合併していても大血管手術術後の死亡または心臓合併症のリスクは上昇しない[2002-04-23]
Diabetes mellitus does not increase risk for myocardial infarction or other cardiac complication after major vascular surgery
糖尿病を合併していても大血管手術術後の死亡または心臓合併症のリスクは上昇しない、という報告が Archives of Surgery 4月号に掲載された。Allen D. Hamdan博士らは頚動脈または大動脈の手術あるいは下肢への血行再建術を施行された患者6,565人 (うち62%は糖尿病を合併 )の記録を調査した。その結果、心筋梗塞、うっ血性心不全の合併、および死亡率は糖尿病を合併した患者群で高いということはなかった。 人工透析あるいはうっ血性心不全の既往を有する患者群においては死亡率の上昇が認められた。 術後心筋梗塞の発症予測因子となるのは心筋梗塞の既往のみであった。
ある治験薬はLDLコレステロールレベルを低下させHDLコレステロールレベルを上昇させる[2002-04-23]
An investigational drug raises high-density lipoprotein cholesterol levels while lowering low-density cholesterol levels
ある治験薬を4週間試験的に投与した結果、HDLコレステロールレベルが34%上昇し、LDLコレステロールレベルが7%低下した、 という報告がCirculationオンライン速報4月16日号に掲載された。198人のオランダ人に投与されたその治験薬は、HDLコレステロールの代謝に関わる ある酵素の阻害薬である。アジア人の一部においてHDLコレステロールレベルが高い原因としてこの酵素の遺伝的な欠損が原因と考えられている。
ある遺伝子型の高血圧患者は他の遺伝子型の患者と比較し、利尿薬を内服することにより心血管疾患のリスクがより低くなる[2002-04-16]
Hypertensive patients with one genotype have much lower cardiovascular risk with diuretic therapy than patients with the usual genotype
ある遺伝子型の高血圧患者は他の遺伝子型の患者と比較し、利尿薬を内服することにより心血管疾患のリスクがより低くなる、という報告がthe Journal of the American Medical Association 4月3日号に掲載された。Psaty 博士らは心筋梗塞あるいは脳卒中の既往のある患者323人と年齢および性別をマッチさせたそれらの既往のない高血圧患者群715人を比較検討した。患者は全員降圧薬を内服していた。患者の3分の1は細胞膜蛋白adducin遺伝子の通常の対立遺伝子と異なるものを有しており、これらの患者は利尿薬を内服することにより通常の対立遺伝子を有する患者と比較し、心血管疾患のリスクが50%軽減した。その遺伝子は利尿薬と逆の効果をもたらし、ネフロンのナトリウム貯留を増加させる。
心房細動の患者に、あるデバイスを植え込むことにより脳塞栓を予防できる可能性がある。[2002-04-16]
An implanted device may prevent embolic stroke in patients with atrial fibrillation
心房細動を有する患者に、左心耳内に形成された血栓の血流内流出を予防するデバイスを植え込むことにより、 脳卒中のリスクを有意に低下させる、という報告がCirculation4月9日号に掲載された。 ドイツの研究グループは経皮的カテーテル左心耳閉塞と呼ばれる新しい手法を用いて、慢性心房細動患者15人の左心耳を封鎖することに成功した。 彼らはカテーテルを用いて、左心耳の出口にあたる部分を封鎖するデバイスを留置した。デバイスは体内で温まると自然に膨張する金属網でできている。 6ヵ月後、脳卒中および後期副作用を発症した患者は1人もいなかった。
閉経後女性がエストロゲン療法に反応して高密度リポ蛋白 (HDL) コレステロール値が増加するか否かはある遺伝子によって決められている[2002-04-09]
A gene may determine whether a postmenopausal woman responds to estrogen therapy with an increase in high-density lipoprotein cholesterol
HDLコレステロール値がエストロゲン療法に反応して増加するか否かは、ある特定の対立遺伝子によって決定されている、という報告がNew England Journal of Medicine 誌3月28日号に掲載された。David Herrington博士らは心疾患を有する閉経後女性309人を対象に、エストロゲン補充療法と プラセボ投与を行い、血中コレステロール値と遺伝子プロフィールを調査した。その結果、ある特定の対立遺伝子を有する女性においては、 その他の女性と比較してエストロゲン療法によるHDLコレステロール値の増加が2倍以上であった。 今回の研究結果は、エストロゲン補充療法の最適の候補者を見つけるために遺伝子検査を行うきっかけになる、と博士らは期待を寄せている。
肥満患者において血中レプチン値が高いと、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなる[2002-04-09]
Elevated leptin levels in obese patients may increase their risk for myocardial infarction and ischemic stroke
肥満患者において心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高いことが知られているが、その理由のひとつとして血中レプチン値が高いことが関係している、 という報告がJournalof the American Medical Association 誌4月3日号に掲載された。 Daniel T. Eitzman博士らはマウスを使った実験で、レプチンと血小板受容体の相互作用により血液凝固が惹起されることを発見した。 レプチンや血小板レプチン受容体の欠損したマウスは、血中レプチン値が正常のマウスと比較して血液凝固時間が有意に延長していた。 血中レプチン濃度の高値と病的な血液凝固の関係は、West of Scotland Coronary Prevention Study (レプチンが血栓性イベントの独立した予測因子であることが示された)等の臨床試験の結果を支持していると考えられる。
砒素暴露は動脈硬化と心血管系疾患を増加させる可能性がある[2002-04-01]
Arsenic exposure may accelerate development of atherosclerosis and cardiovascular disease
Circulationオンライン速報(rapid access publications)3月26日版に掲載された論文によると、砒素暴露と頸動脈の動脈硬化の進行には用量依存性の相関が認められ、 砒素暴露が心血管系疾患のリスクファクターである可能性がある。台湾のChih-Hao Wang博士らは、慢性砒素中毒が多くみられる地域の被験者(男性199名、女性264名)に対し、頸動脈エコー検査と水源に関するアンケート調査を実施した。 3個の因子、すなわち、(1)砒素汚染された源泉水を消費した期間、(2)源泉水の砒素濃度、(3)砒素に対する累計暴露量が、頸動脈硬化に相関した。 著者らは、慢性砒素中毒症はアジアに広く蔓延している可能性があるとしている。
インスリンは、心筋梗塞のリスクのある患者において血液凝固の阻止に役立つ可能性がある[2002-04-01]
  Insulin may help to prevent clot formation in patients at risk for myocardial infarction
  Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism3月号に掲載された論文によると、インスリンは血液凝固と血小板凝集を引き起こす連鎖反応を阻害して、 ハイリスク患者において心筋梗塞や脳卒中のリスクを低下させる可能性がある。Paresh Dandona博士らは、肥満のため2種の前炎症性タンパク(前炎症性転写因子であるearly growth response gene-1により発現調節される、tissue factor と plasminogen activator inhibitor-1)が増加している10名の被験者に対し、インスリンとブドウ糖を静注すると、 これらのタンパクの産生が抑制されることを見出した。著者らは、この研究結果は、Swedish Diabetes and Insulin-Glucose Infusion in Acute Myocardial Infarction (DIGAMI)試験などの臨床試験で得られた知見を説明しうるものであるとしている。
 
 

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