◆卵巣がんの無増悪生存期間の延長(ESMO Congress 2019, Abstract LBA2)
ESMO Congress 2019で発表された新たなデータから、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず全体集団において、ベバシズマブにPARP阻害薬オラパリブを併用する卵巣がんに対するより強化した維持療法の有益性が示された。
卵巣がんに対する維持療法としてベバシズマブにオラパリブを併用することにより無増悪生存期間が延長する [2019-10-08]
Prolonged progression free survival with olaparib added to bevacizumab as maintenance therapy for ovarian cancer
ESMO Congress 2019 で発表された新たなデータから、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず全体集団において、ベバシズマブにPARP 阻害薬オラパリブを併用する卵巣がんに対するより強化した維持療法の有益性が示された。PAOLA-1/ENGOT-ov25 試験のレイトブレイキング結果によると、無増悪生存期間中央値はオラパリブ群で22.1か月、プラセボ群で16.6か月であった(ハザード比0.59、p<0.0001)。事前に規定されたサブグループ解析において、プラセボに対するオラパリブの無増悪生存期間に関する有益性は、BRCA 遺伝子変異を有する患者、相同組み換え修復不全を有する患者でより顕著であり、ハザード比はそれぞれ0.31および0.33であった。
併用療法は膀胱がんの予後を改善する(ESMO Congress 2019, Abstract LBA14)
化学療法に免疫療法を併用することにより膀胱がんにおける無増悪生存期間が延長する [2019-10-08]
Adding immunotherapy to chemotherapy prolongs progression free survival in bladder cancer

転移性尿路上皮がん患者は、化学療法単独の代わりにファーストラインである免疫療法と化学療法で治療することにより無増悪生存期間が延長する、とのIMvigor130 試験のレイトブレイキング結果が ESMO Congress 2019 で発表された。化学療法単独に比べ、化学療法とatezolizumab の併用は、転移性腫瘍の無増悪期間中央値を2か月延長した。この併用療法を受けた患者は、増悪の確率が18% 低かった。全生存期間に関する中間解析は、併用療法による改善傾向を示したが、統計学的に有意ではなかった。PD-L1 過剰発現を有する患者において、atezolizumab 単独で治療された者は化学療法で治療された者に比べ生存期間が延長する傾向にあった。

経皮的僧帽弁形成術(MitraClip)の有益性は3年間持続する (31st annual Transcatheter Cardiovascular Therapeutics (TCT) scientific symposium, Late breaking trial 3)
COAPT試験:心不全および二次性僧帽弁閉鎖不全症を有する患者における経皮的僧帽弁形成術(MitraClip)の効果は持続性である [2019-10-08]
COAPT: Continued benefits of the MitraClip in patients with heart failure and secondary mitral regurgitation

経皮的僧帽弁形成術(MitraClip)を用いた重度の二次性僧帽弁閉鎖不全症の減少は、選択された心不全患者の3年後の予後を安全に改善する。最初はガイドラインによる治療(GDMT)に割り付けられ、2年後に形成術を施行された患者も、同様の効果を得た。心不全による全ての入院における36か月以内の一次有効性エンドポイントは、MitraClip とGDMT 併用群で220であり、GDMT 単独群で378であった(P=0.00000006)。クロスオーバーした患者を含む3年後の全患者の全死亡率はMitraClip とGDMT の併用群で42.8% であり、GDMT 単独群で55.5% であった(P=0.001)。このCOAPT試験結果は、31st annual Transcatheter Cardiovascular Therapeutics (TCT) scientific symposium で発表された。

PCI後の抗血小板療法としてのチカグレロル単剤治療 (31st annual Transcatheter Cardiovascular Therapeutics (TCT) scientific symposium, Late breaking trials 1)
TWILIGHT試験:PCI後のチカグレロル単剤療法およびDAPTは有害事象を増やすことなく出血を減少させる [2019-10-08]
TWILIGHT: Ticagrelor monotherapy after PCI and DAPT reduces bleeding without increasing adverse events

ランダム化プラセボコントロール TWILIGHT 試験の新たなデータから、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)に成功し3か月の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)が終了した高リスク患者において、チカグレロルとアスピリンの併用に比べ、チカグレロル単剤療法は死亡、心筋梗塞、または脳卒中のリスクを上昇させることなく出血イベントを減少させたことが明らかになった。1年後、大出血発現率は、チカグレロルとプラセボ併用患者で4.0% であり、チカグレロルとアスピリン併用患者で7.1% であった(P<0.001)。これらの結果は31st annual Transcatheter Cardiovascular Therapeutics (TCT) scientific symposium で発表され、New England Journal of Medicine に掲載された。

大気汚染は小児の精神の健康問題と関連がある
日常の屋外大気汚染レベルと精神疾患症状増悪との関係 [2019-10-08]
Link between daily outdoor air pollution levels and increased symptoms of psychiatric disorders

Environmental Health Perspectives に掲載された研究の結果、環境大気汚染への短期間の曝露が、小児における精神疾患の1〜2日後の増悪(精神的な問題による救急外来の利用増加によって示される)に関連することが明らかにされた。また、恵まれない環境に居住する小児で、特に不安や自殺傾向を有する小児は、大気汚染の影響をより受けやすいことも明らかにされた。今回の研究およびその他の研究は、幼少期および小児期の大気汚染への曝露が、青年期のうつ病、不安、さらにその他の精神の健康問題の原因となる可能性がある、とのエビデンスの増加に寄与するものである。

非侵襲治療が片頭痛の早期改善に有望であることを示した
非侵襲的神経刺激療法は前庭性片頭痛発作の治療に効果的である可能性がある [2019-10-08]
Non-invasive nerve stimulation may effectively treat vestibular migraine attacks

予備研究の結果、非侵襲的神経刺激療法は、現在承認された治療法のない前庭性片頭痛発作の治療として有望である可能性があることが示唆された。前庭性片頭痛発作が発現している際に、首に置いた手持ちの装置を通して電気刺激を与えた後、この発作を有する患者の14人中13人においてめまいが軽減した。2人はその後めまいが出現しなかった;5人はめまい症状が少なくとも50% 改善した。発作時に頭痛を有する5人全員において痛みが改善した。このスタディ結果はNeurology® オンライン版に掲載されている。

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