◆心不全における一次予防としてのICDは死亡リスクを低下させる (ESC Congress 2019)
一次予防としての植込み型除細動器(ICD)使用は最新の治療を受けている心不全患者の短期および長期死亡率を低下させる。
SwedeHF試験:植込み型除細動器は心不全の死亡率を低下させる [2019-09-24]
SwedeHF: Implantable cardioverter-defibrillator linked with lower mortality in heart failure
一次予防としての植込み型除細動器(ICD)使用は最新の治療を受けている心不全患者の短期および長期死亡率を低下させる、との late breaking の結果が ESC Congress 2019 で発表され、Circulation に掲載された。ICDの使用は1年全死亡の相対リスクを26% 低下させ(p<0.01)、5年全死亡の相対リスクを13% 低下させた(p=0.04)。短期および長期死亡率の低下は、サブグループいずれにおいても一貫して認められた。これらの結果は現在の推奨を支持し、実地臨床におけるより適切なICD植込みの実施を呼びかけるものである。
PCI後予防的ICDの長期の有益性(ESC 2019)
DAPA試験:早期除細動器植え込みは冠動脈ステント留置後の生存期間を延長する [2019-09-24]
DAPA: Early implantable cardioverter-defibrillator use prolongs survival after coronary stenting

プライマリ冠動脈インターベンション後の植込み型除細動器(ICD)早期使用は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)後の死亡リスクの高い患者の生存期間を延長する、との late breaking の結果が ESC Congress 2019 で発表された。DAPA 試験の9年追跡において、全死亡はICD 群の24.4%、コントロール群の35.5% に発現し、ハザード比(HR)は0.58であった(95% 信頼区間[CI]0.37-0.91)。心臓死はICD 群で11.4% であり、コントロール群では18.5% であった(HR 0.52;95% CI 0.28-0.99)。心臓突然死の割合は、両群間で有意差がなかった。

末梢動脈疾患に対してスタチンを開始するのに遅すぎることはない (ESC Congress 2019, Abstract 80087)
EUROASPIRE試験:研究の結果、PADに対する薬物療法の開始と生涯にわたり遵守することの重要性が示された [2019-09-24]
EUROASPIRE: Research shows importance of starting and adhering to lifelong medication for PAD

末梢動脈疾患(PAD)患者において、スタチン系薬剤は診断後に遅れて開始された場合でも死亡率を低下させた、と ESC Congress 2019 で発表された。EUROASPIRE 試験において、スタチン内服を中止した患者の死亡率(33%)は、一度も内服したことのない患者と同等(34%)であった。試験期間50か月にわたりスタチン内服を遵守することは、20% の死亡率と関連があった。試験期間中の高用量スタチンの内服は、最も低い死亡率(10%)と関連し、同じ期間中の用量減量は最も高い死亡率と関連した。

心不全および脳卒中患者において白質病変は一般的である (ESC Congress 2019, Abstract 89078)
LIFE-Adult試験:心不全患者は脳卒中患者と同様の認知症型脳病変の可能性がある[2019-09-24]
LIFE-Adult: Heart failure patients have similar odds of dementia-type brain lesions as stroke patients

認知症および認知機能障害と関連のある脳損傷の型は、心不全患者において脳卒中歴を有する患者同様に多く認められる、との LIFE-Adult-Study の結果が ESC Congress 2019 で発表された。心不全患者は、心不全を有さない患者よりも白質領域病変(WML)率が2.5倍高かった。同様に、脳卒中患者は、脳卒中歴を有さない者よりもWHL率が2倍高かった。WHL 率は心不全期間が長いほど増加した(診断から3年以内の1.3から、診断後6年以上2.9へ)。

うつ病は介護者の身体的健康と関連がある (ESC Congress 2019, Abstract 81211)
脳卒中既往患者の介護者におけるうつ症状は将来の健康問題を予測する [2019-09-24]
Symptoms of depression in caregivers of stroke survivors may predict future health problems

うつ徴候を示す脳卒中既往患者の介護者は、将来的に自身の健康面の課題を有するリスクが高い可能性がある、と ESC Congress 2019 で発表された。慢性的なうつ症状を有する人々の精神的健康状態は、身体的健康状態と密接に関連があった。試験に参加した介護者の3分の1は、1年後の身体の健康状態はまずまず、または不良であると報告し、43% は健康状態が悪化したと報告した。うつ徴候のない介護者に比べ、うつ状態が続いている介護者は、脳卒中既往患者の介護開始1年後の体調不良を訴える確率が7倍高かった。

MI後の内出血はがんを疑うきっかけとなる (ESC Congress 2019, Abstract 83231)
急性冠症候群患者において、退院後の出血とその後がんと診断されることには関連があることが明らかにされた [2019-09-24]
Link found between bleeding after hospital discharge and subsequent cancer diagnosis in patients with acute coronary syndrome

心筋梗塞後の退院から6か月以内の出血はその後にがんと診断されることと関連がある、と ESC Congress 2019 で発表された。研究者らは、退院後抗血小板薬2剤併用療法を施行された急性冠症候群患者3,644人のカルテを、後ろ向きにレビューした。退院後の出血は、新たにがんと診断されるリスクを3倍にした。明らかな原因のない自然出血は、がんと診断されるリスクが4倍高いことと関連があった。このがんとの関連は、出血重症度が高いほど増大した。出血とがんとの関連性は、2剤併用療法の継続の有無に関係なく認められた。

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ

Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.