◆16年経過してもPCIは未だ血栓溶解療法に勝る (ESC Congress 2019)
転院を含むプライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療により、血栓溶解療法に比べ死亡または再梗塞を1年以上遅らせることができる、とのDANAMI-2試験の結果が ESC Congress 2019の Hot Line Session で発表され、European Heart Journal に掲載された。
DANAMI-2試験:冠動脈ステント留置により死亡または再梗塞を1年以上遅らせることができる [2019-09-17]
DANAMI-2: Death or reinfarction delayed by more than one year with coronary stenting
転院を含むプライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療により、血栓溶解療法に比べ死亡または再梗塞を1年以上遅らせることができる、との DANAMI-2試験の結果が ESC Congress 2019 の Hot Line Session で発表され、European Heart Journal に掲載された。プライマリPCIを施行された患者は、16年間の総死亡または再梗塞からなる複合エンドポイント発現率が持続的かつ有意に低かった。これはコホート全体(PCI 58.7% vs. 血栓溶解療法 62.3%、ハザード比 [HR] 0.87)および紹介病院からPCI可能な高度医療センターに転送された患者(PCI 58.7% vs. 血栓溶解療法 64.1%、HR 0.84)、いずれにおいても明らかであった。
β遮断薬は腎機能障害を有する患者であっても死亡率を低下させる (ESC Congress 2019)
BB-meta HF試験:心不全および中等度腎機能障害を有する患者においてベータ遮断薬は死亡を減らす [2019-09-17]
BB-meta HF: Beta-blockers reduce death in patients with heart failure and moderate renal impairment

駆出率の低下した洞調律の心不全(HFrEF)において、β遮断薬はたとえ腎機能障害を有していても死亡を予防するために有効である、と ESC Congress 2019 の Hot Line Session で発表された。追跡期間中央値1.3年の間、腎機能障害は高死亡率と独立して関連があり、腎機能障害が重度であるほど心不全の進行が死亡原因である頻度が高かった。洞調律の患者13,861人において、中等度から中等度‐重度の腎障害を有する患者であっても、β遮断薬は死亡率を有意に低下させた。補正後、β遮断薬はプラセボと比較し、死亡リスクをそれぞれ27% および29% 低下させた。

PCIとCABGには10年後の死亡率に差はない (ESC Congress 2019)
SYNTAX試験:バイパス手術と冠動脈ステント留置術とでは10年後の予後は同等である [2019-09-17]
SYNTAX: Bypass surgery and coronary stenting yield comparable 10-year survival

新規発症3枝病変および左冠動脈主幹部病変を有する患者において、冠動脈バイパス術(CABG)と薬剤溶出性ステント留置術とでは10年生存率は同等である、とのSYNTAX Extended Survival 試験の結果が ESC Congress 2019 で発表され、Lancet に掲載された。10年間の追跡調査の結果、患者群全体における生存率は薬剤溶出性ステントを用いたPCI とCABG とで差がなかった(p=0.092)。事前に規定されたサブグループについてさらに解析した結果、3枝病変および進行した複雑な冠動脈病変を有する患者において、CABG は10年生存率において改善を認めた。糖尿病の有無で10年生存率に差はなかった。

2年後の時点で経皮的僧帽弁修復術の有益性は認められなかった (ESC Congress 2019)
MITRA-FR試験:心不全患者における二次性僧帽弁閉鎖不全症は2年後の転帰を改善しない [2019-09-17]
MITRA-FR: Reducing secondary mitral regurgitation in heart failure does not improve two-year outcomes

心不全患者における二次性僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的修復術は、標準的な医療と比較し、2年後の時点で死亡および入院を減少させない、との MITRA-FR 試験の結果が ESC Congress 2019 で発表され、European Journal of Heart Failure に掲載された。総死亡および心不全による予定外入院は、弁修復術を施行された患者の63.8% および弁修復術を施行されなかった患者の67.1% に発現し、2群間で有意差はなかった。これらの転帰を別々に解析しても、有意差は認められなかった。

コレステロールおよび血圧の穏やかな低下の効果 (ESC Congress 2019)
血圧およびコレステロールの穏やかな低下により多くの心血管イベントが回避できる [2019-09-17]
Most cardiovascular events avoidable with modest blood pressure and cholesterol reductions

心筋梗塞(MI)、脳卒中、および心疾患死の大部分が血圧およびコレステロールの穏やかで持続的な低下により予防可能である、と ESC Congress 2019 の Hot Line Session で発表され、Journal of the American Medical Association に掲載された。長期にわたり低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)がより低値で収縮期血圧(SBP)が低いことは、生涯における心血管疾患リスクの独立した更なる軽減と関連があった。健康な食事(DASH 食や類似の食事療法)により達成できるLDL-C およびSBP の軽度の低下であっても、将来の心血管疾患の可能性が低下した。

地域住民を対象とした塩分置換プログラムは血圧を低下させる (ESC Congress 2019)
地域レベルで高ナトリウム塩を置換することにより血圧が低下し新たな高血圧発現率が半減する [2019-09-17]
Replacing high-sodium salt at the community level lowers blood pressure and halves incidence of new hypertension

ペルーにおける地域住民を対象とした塩分置換プログラムは、血圧を低下させ新たな高血圧症例を減少させた、と ESC Congress 2019 の Hot Line Session で発表された。この試験では、ナトリウム75% およびカリウム25% を含み著しい味の違いのない食塩代用品を用いた。対象住民全体において、食塩代用品は収縮期血圧を平均1.23 mmHg、拡張期血圧を0.72 mmHg 低下させ、高血圧発症率を55% 低下させた(p<0.001)。ベースラインで高血圧を有さなかった者において、食塩代用品は高血圧発症率を51% 低下させた。

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ

Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.