◆糖尿病患者におけるチカグレロルの臨床的有用性(ESC 2019)
チカグレロルとアスピリンの併用は、アスピリン単剤との比較で、糖尿病を有する安定冠動脈疾患患者の虚血イベントを減少させる、とのTHEMIS試験のレイトブレイキングの結果がNew England Journal of Medicine に掲載され、ESC Congress 2019のHot Line Session で発表された。
THEMIS試験:チカグレロルとアスピリンの併用は糖尿病を有する安定冠動脈疾患患者の虚血イベントを減少させる [2019-09-10]
THEMIS: Ticagrelor plus aspirin reduce ischemic events in stable coronary patients with diabetes
チカグレロルとアスピリンの併用は、アスピリン単剤との比較で、糖尿病を有する安定冠動脈疾患患者の虚血イベントを減少させる、とのTHEMIS試験のレイトブレイキングの結果がNew England Journal of Medicine に掲載され、ESC Congress 2019のHot Line Session で発表された。有効性主要評価項目(心血管死、心筋梗塞または脳卒中の複合)発現率は、チカグレロル群においてプラセボ群よりも低かった(7.7% vs. 8.5%、p=0.038)。TIMI大出血発現率は、チカグレロル群で高かった(2.2% vs. 1.0%、p<0.001)。チカグレロルはまた、Lancet に掲載された事前に規定されたサブグループ解析(THEMIS-PCI)において、PCI歴を有する糖尿病患者における虚血性イベントを減少させた。
STEMI後の非責任病変におけるPCIで予後を改善(ESC 2019)
COMPLETE試験:STEMI後の完全血行再建は責任病変のみの血行再建よりも優れている [2019-09-10]
COMPLETE: Complete revascularization is superior to culprit-lesion only intervention following STEMI

ST上昇型心筋梗塞(STEMI)後患者において、完全血行再建は責任病変のみに対する経皮的冠動脈形成術(PCI)に比べ主要心血管イベントを減少させる。最初のコプライマリーエンドポイント(心血管死または心筋梗塞)は、完全血行再建術群の7.8% に発現したのに対し、責任病変のみの群では10.5% であった(p=0.004)。2番目のコプライマリーエンドポイント(心血管死、心筋梗塞、または虚血に対する血行再建術施行)は、完全血行再建術群で8.9% であったのに対し、責任病変のみの群では16.7% であった(p<0.001)。このCOMPLETE試験の結果はESC Congress 2019 のHot Line Session で発表され、New England Journal of Medicine に掲載された。

ダパグリフロジンは糖尿病だけでなく心不全も治療する(ESC 2019)
DAPA-HF試験:ダパグリフロジンは心不全患者の死亡および入院を減少させる [2019-09-10]
DAPA-HF: Dapagliflozin reduces death and hospitalization in patients with heart failure

ダパグリフロジンは、糖尿病の有無にかかわらず駆出率の低下した心不全患者の死亡および入院を減少させた、とのDAPA-HF試験のレイトブレイキングの結果がESC Congress 2019 のHot Line Session で発表された。追跡期間中央値18.2か月の間に、一次エンドポイントを発現したのはダパグリフロジン群で16.3% であり、プラセボ群では21.2% であった(p<0.00001)。一次エンドポイントの構成要素はさらに、個別に解析された。ダパグリフロジン投与群の10% およびプラセボ投与群の13.7% が初回の心不全増悪を経験した(p<0.00004)。心血管系が原因で死亡したのは、それぞれ9.6% および11.5% であった(p=0.029)。

ACSにおいてプラスグレルはチカグレロルに勝る(ESC 2019)
ISAR-REACT 5試験:プラスグレルはPCIが予定されている急性冠症候群患者の虚血性イベントを減少させる [2019-09-10]
ISAR-REACT 5: Prasugrel cuts ischemic events in acute coronary syndrome patients headed to PCI

急性冠症候群を有し侵襲的治療を予定されている患者の虚血イベントを低下させるにあたり、プラスグレルはチカグレロルよりも優れている、とのISAR-REACT 5試験の結果が ESC Congress 2019で発表され、New England Journal of Medicine に掲載された。一次複合エンドポイント(12か月以内の死亡、心筋梗塞、脳卒中)は、チカグレロル群で9.3% に発現したのに対し、プラスグレル群では6.9% であった(p=0.006)。一次エンドポイントそれぞれの発現は、チカグレロル群とプラスグレル群とで、死亡は4.5% vs. 3.7%、心筋梗塞は4.8% vs. 3.0%、脳卒中は1.1% vs. 1.0% であった。

駆出率の保たれた心不全は依然として治療が困難である(ESC 2019)
PARAGON-HF試験では駆出率の保たれた心不全におけるエンドポイントは達成できなかったが、一部の患者で有益性が認められた [2019-09-10]
PARAGON-HF misses endpoint in heart failure with preserved ejection fraction, but benefit noted in some patients

アンジオテンシン受容体‐ネプリライシン阻害薬sacubitril/バルサルタンは、駆出率の保たれた心不全患者(HFpEF)における全入院および心血管死減少からなる一次エンドポイントは達成できなかったが、データから一部の患者群において有益である可能性が示された。一次エンドポイント率比は0.87(95% 信頼区間 [CI] 0.75-1.01;p=0.059)であった。駆出率中央値57% 未満の患者において有益性が高く、一次エンドポイントが22% 低下し、さらに女性では28% 低下した。このPARAGON-HF試験の結果は、ESC Congress 2019のHot Line Session で発表され、New England Journal of Medicine に掲載された。

高感度トロポニンを用いた単回の検査でMIを除外する(ESC 2019)
HiSTORIC試験:心筋梗塞疑いに対する迅速検査により健康な患者を早期に帰宅させることが可能になる [2019-09-10]
HiSTORIC: Rapid pathway for suspected myocardial infarction enables healthy patients to go home earlier

心筋梗塞の早期除外診断は、心有害事象を増加させることなく病院滞在時間および入院を減少させる、とのHiSTORIC試験のレイトブレイキングの結果が ESC Congress 2019の Hot Line Session で発表され、Circulation に掲載された。この試験では高感度トロポニン検査を用いて、診察時の心筋梗塞を除外する迅速な方法の有効性および安全性を、標準的な方法と比較し調査した。この検査を実地臨床でルーチンに導入することにより、救急外来滞在時間が3時間以上短縮し、救急外来から帰宅する患者の割合は追加リスクなく50% 以上増加した。

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