◆大気汚染は血管形成術の施行率を上昇させる (ESC Congress 2019, Abstract P3421)
寒い月の重度の大気汚染地域は空気の汚染されていない地域に比べ血管形成術施行率が高い、とESC Congress 2019 together with the World Congress of Cardiology で発表された。
大気汚染と冬は心筋梗塞治療率上昇と関連がある [2019-09-03]
Air pollution and winter linked with rise in treatment for myocardial infarction
寒い月の重度の大気汚染地域は空気の汚染されていない地域に比べ血管形成術施行率が高い、とESC Congress 2019 together with the World Congress of Cardiology で発表された。研究者らは、PM10 を用いて汚染されていない6都市および汚染された5都市を選択した。その結果、汚染地域および非汚染地域いずれにおいても、PM10 濃度の上昇は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の高い施行率と関連があった。空気のきれいな地域の患者は、汚染の悪化により敏感であった。PCI 施行は、1年で最も大気が汚染される冬に多くみられた。
左室心筋重量の増加は心不全リスクを上昇させる
左室肥大は著明な心血管イベントの独立した予測因子である [2019-09-03]
Left ventricular hypertrophy is an independent predictor of significant cardiovascular events

左室肥大は冠動脈石灰化スコアよりも冠動脈疾患関連死および心不全の独立した予測因子である、とRadiology に掲載された。解析によると、MRI で左室(LV)肥大が認められたスタディ参加者の22% が著明な冠動脈疾患(CHD)のイベントを来したのに対し、LV 肥大のない患者におけるその割合は6% であった。LV 肥大を有する患者はLV肥大を有さない者に比べ、冠動脈疾患関連死のリスクが4.3倍高かった。冠動脈関連死および冠動脈非関連死は、CT スキャンで判断された冠動脈石灰化スコアよりもLV 肥大とより強く関連があった。

遺伝子組み換えタンパク質は化学療法を向上させる
大腸がん細胞内のPD-L1タンパク質発現を増加させることは化学療法の奏効率を改善する [2019-09-03]
Increasing the expression of the PD-L1 protein in colorectal cancer cells improves effectiveness of chemotherapy

がん細胞内の免疫調節タンパク質を遺伝子組み換えし、細胞の化学療法への感受性を高めることにより大腸がんの予後が改善する可能性がある、とOncogene に掲載された。このスタディの結果、腫瘍細胞のPD-L1 発現が増加することは、ステージ3およびステージ4のがん患者の標準治療である化学療法を受けたと思われる患者の予後が良いことと関連があった。今後の研究で実証されれば、今回の結果は、PD-L1 ががん治療への奏効率を予測するバイオマーカーとなり得、より広範な役割を果たすことや、PD-L1 発現を増強させることによりこの悪性疾患の治療転帰が改善する可能性があることを示唆している。

治療抵抗性細胞内の新たな標的が膠芽腫の再発を止める可能性がある
膠芽腫幹細胞の体内時計を標的にすることによる活性化を抑制 [2019-09-03]
Targeting the biological clocks of glioblastoma stem cells to disrupt their activity

膠芽腫治療の新たな標的となる可能性のあるものが発見された、とCancer Discovery に掲載された。この標的は腫瘍幹細胞内で明らかになった概日"時計"で、腫瘍がどのように増殖、増大し、現在の治療に抵抗性を発現するかを決定する。研究者らは、幹細胞の概日時計内のタンパク質を標的とする低分子薬を用いて、細胞の活性化を抑制した。強化された代謝は弱められ、細胞は即座に死滅した。次に、膠芽腫の動物モデルに対し低分子薬を試し、その結果、動物モデルの生存期間は延長し腫瘍は退縮したことを明らかにした。今回の研究は、これを膠芽腫の新たな治療として探求する基礎となる。

生涯にわたる研究により早期の血圧変化と脳の不健康とが関連付けられた
若年期の血圧変化は脳の不健康と関連があるが記憶または認知機能の問題とは関連がない [2019-09-03]
Changes in blood pressure when young linked to poorer brain health but not to memory or cognition problems

36歳の若年者における血圧変化は人生後期の脳の不健康と関連がある、とLancet Neurology に掲載された。53歳時の血圧が高いほど、また43歳から53歳までの血圧上昇速度が速いほど、70代前半の血管損傷の徴候がより著明であった。43歳時に血圧が高いほど、また36歳から43歳までの血圧上昇度が大きいほど、脳容積が小さかった。血圧は脳内のアミロイドタンパク量とは関連がなく、加齢による記憶や思考の問題の予測にはならないようであった。

子宮内における高脂肪食は後年のアルツハイマー病を防ぐ
妊娠中の高脂肪摂取は仔の遅発性アルツハイマー病を防ぐ [2019-09-03]
High maternal fat consumption during gestation protects offspring against late-onset Alzheimer's disease

Molecular Psychiatry に掲載された動物実験において、妊娠中の高脂肪食が、遅発性アルツハイマー病に特徴的な脳の変化から仔を守ることが示された。観察された記憶および学習の改善は、良好なシナプス完全性の維持と関連があった。さらに、通常の食事を摂取した母親から生まれた動物に比べ、高脂肪食の母親から生まれた仔はアミロイドベータレベルが低かった。この有益な効果の原因となる可能性のあるメカニズムを探索した結果、高脂肪食を摂取した母親から生まれた仔は、アルツハイマー病に関連する3つの重要な遺伝子レベルが低いことが明らかになった。

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