ASCO 2007特集


アンドロゲン除去療法に伴う症状の治療 (Abstract #9005)
乳がんに対する術前トラスツズマブ投与の価値(Abstract #532)
進行胃がんに対するシスプラチンの価値(Abstract #4514)
転移性メラノーマ治療の進歩(Abstract #8504)
非ホジキンリンパ腫に対する放射線免疫療法(Abstract #8033)
進行腎がんに対するtemsirolimus(Abstract #5033)

 6月12日のASCO特集は、こちらをご覧下さい。

ガバペンチンは前立腺がんに対しアンドロゲン除去療法を受けている男性のホットフラッシュの頻度および強度を有意に軽減する [2007-06-19]

Gabapentin significantly reduces the frequency and intensity of hot flashes in men who take androgen deprivation therapy for prostate cancer
ガバペンチンは前立腺がんに対しアンドロゲン除去療法を受けている男性のホットフラッシュの頻度および強度を有意に軽減する、とのphase IIIスタディの結果がAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。223人の男性患者(平均年齢70歳;ホットフラッシュが週14回以上)を4群(プラセボ、ガバペンチン1日300mg、ガバペンチン1日投与量を600mgまで増量、ガバペンチン1日投与量を900mgまで増量)に無作為に割り付け28日間投与した。患者らは、1日に発生した、軽度、中等度、重度、および非常に重度のホットフラッシュの回数を記録した。頻度およびスコアの中央値はプラセボ群で22〜27%低下し、ガバペンチン300mg群で23〜30%、ガバペンチン600mg群で32〜34%、ガバペンチン900mg群で44〜46%低下した。今回使用した最大用量はてんかんに使用されうる用量の3分の1未満であり、さらに高用量により有効性が増大するかを評価する余地が残されている。ガバペンチンによる副作用はプラセボに比べ少なかった。

局所進行乳がん患者に対する術前化学療法にトラスツズマブを追加することにより治療の奏効率が有意に増大する [2007-06-19]

Addition of trastuzumab to preoperative chemotherapy significantly increases response to therapy among patients with locally advanced breast cancer
局所進行HER2陽性乳がん患者に対する術前化学療法にトラスツズマブを追加することにより治療の奏効率が有意に増大する、とのphase IIIスタディの第一段階の結果がAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。NeOAdjuvant Herceptin (NOAH)スタディでは228人の患者を標準的な術前化学療法とトラスツズマブ1年間投与の併用群または術前化学療法単独群に無作為に割り分けた。それと並行し、HER-2陰性の乳がん患者99人は化学療法のみで治療された。トラスツズマブと化学療法併用群における病理学的完全奏効率は43%であったのに対し、化学療法単独群では23%であった。トラスツズマブ併用群の総合的な病理学的完全奏効率(リンパ節病変消失を含む)は38%であったのに対し、化学療法単独群では20%であった。このスタディは現在進行中であり、無事故生存期間のデータが完成しつつある。

シスプラチンと新しい経口fluoropyrimidine製剤S-1の併用はS-1単独と比較し進行胃がん患者の生存期間を有意に改善する [2007-06-19]

Cisplatin plus the novel oral fluoropyrimidine S-1 significantly improves survival of patients with advanced gastric cancer compared with S-1 alone
シスプラチンと新しい経口fluoropyrimidine製剤S-1の併用はS-1単独と比較し進行胃がん患者の生存期間を有意に改善する、とのphase IIIスタディの結果がAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。このSPIRITSスタディでは、化学療法歴のない切除不能または再発性の進行胃がん患者305人を、S-1を1日2回28日間内服後14日間休薬する群、またはS-1を1日2回21日間内服し内服8日目にシスプラチンを静脈内投与し、内服後14日間休薬する群に無作為に割り付けた。2年間の追跡期間の結果、併用療法によりS-1単独と比較し死亡のリスクが22.6%低下した。全生存期間中央値はS-1/シスプラチン併用群で13ヵ月であったのに対しS-1単独群では11ヵ月であった。全奏効率も同様に、S-1とシスプラチン併用群において有意に高かった(54%対31.1%)。

ペグインターフェロンα2bを用いた長期のアジュバント療法により経過観察のみと比較しステージIIIメラノーマ患者の無再発生存期間が改善する [2007-06-19]

Long-term adjuvant therapy with pegylated interferon-alpha2b improves relapse-free survival in patients with stage III melanoma compared with observation alone
ペグインターフェロンα2bを用いた長期のアジュバント療法により経過観察のみと比較しステージIIIメラノーマ患者の無再発生存期間が改善するとのphase IIIスタディの結果がAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。このトライアルは1,256人の患者を最長5年間のインターフェロン皮下投与群または経過観察群に無作為に割り付けた。治療群では23%の患者が治療を4または5年間受けた。両群間の無再発生存期間の差は有意でありその中央値は治療群で34.8ヵ月、観察群では25.5ヵ月であった。患者全体で見ると無遠隔転移生存期間または全生存期間には両群間で差がなかった。しかし、顕微鏡的リンパ節転移(センチネルリンパ節陽性)のみの患者においては、無再発および無遠隔転移生存期間に関する予後がより良好なようであった。全体の43%を占めていたこのサブグループが、このトライアルの主な結果に寄与していた。

放射線免疫療法による単独治療は濾胞性非ホジキンリンパ腫のファーストライン治療として非常に有望である [2007-06-19]

Simple radioimmunotherapy treatment shows great promise as first-line treatment for follicular non-Hodgkin’s lymphoma
短期間の放射線免疫療法による単独治療は濾胞性非ホジキンリンパ腫のファーストライン治療として非常に有望である、とAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。計76人の患者が初回の試験用量のtositumomabおよびヨウ素-131 tositumomabの注射投与を受けた。1〜2週後に患者らは個々の治療用量の投与を受け、治療は終了した。治療後95%の患者において腫瘍の縮小が認められ、4分の3の患者が完全寛解した。患者の追跡期間中央値は8年間であった。8年後、86%が生存しており半分は無再発であった。米国では抗体が開発されており、免疫療法は再発患者に対して用いられている。今回のトライアルはファーストライン療法への使用拡大を示したものである。

Temsirolimusはインターフェロンα療法と比較し進行腎細胞がん患者の全生存期間および無増悪生存期間を改善する [2007-06-19]

Temsirolimus improves overall survival and progression-free survival of patients with advanced renal cell carcinoma compared with interferon-alpha therapy
Temsirolimusはインターフェロンα療法と比較し進行腎細胞がん患者の全生存期間および無増悪生存期間を改善する、とのphase IIIの結果がAmerican Society of Clinical Oncology学会で発表された。このトライアルは、予後不良の進行腎細胞がん患者626人のファーストライン療法として、temsirolimusおよびtemsirolimusとインターフェロンα併用とインターフェロンα単独療法を比較した。その結果、temsirolimusはインターフェロンαと比較し、組織型に関係なく全生存期間および無増悪生存期間を改善した。明細胞がんの生存期間中央値はtemsirolimus群で10.6ヵ月、インターフェロンα群で8.2ヵ月であり、無増悪生存期間中央値はtemsirolimus群で5.5ヵ月、インターフェロンα群で3.8ヵ月であった。他の組織型の腫瘍では、全生存期間および無増悪期間の中央値は両群間での差がさらに大きかった。Temsirolimusは65歳未満の患者においては有益であったが、65歳以上の患者の予後においては有意差が無かった。



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