安定冠動脈疾患患者における心筋梗塞および他の心事故の予防に、冠動脈インターベンションと至適薬物療法の併用は薬物療法のみと比較し有効性に差がない、とのLate-Breaking
Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。このCOURAGEトライアルは、1本以上の冠動脈に70%以上の狭窄を有する慢性冠動脈疾患患者2,287人を対象とした。薬物療法には、ガイドラインに規定されている積極的な薬物治療および禁煙、運動、体重コントロールなどのプログラムが含まれた。ほとんどの患者は男性であり(85%)、約2年間狭心症を有していた(平均で、1週間に狭心症発作が3回)。4.6年間の累積一次エンドポイント(死亡または非致死性心筋梗塞)率は、併用群および薬物療法群でそれぞれ19.0%および18.5%であった。併用療法の唯一の利点は狭心症関連のQOLの改善であった。
急性周術期高血圧のコントロールには、現在使用可能な3つの静注薬よりもclevidipineの方が優れているようであるとのLate-Breaking
Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。3つのトライアル(ニトログリセリン、ニトロプルシドナトリウム、またはニカルジピンとの比較)は、心臓手術を施行された患者1,964人をclevidipineまたは現在使用されている薬剤使用群に無作為に割り付けた。周術期の収縮期血圧の許容範囲を最大にした解析の結果、clevidipineは他の薬剤と比較し血圧の許容範囲からの逸脱の程度を半分にした。許容範囲を最小にした解析の結果もclevidipineの方が良好であった。ニカルジピンは
作用発現が遅いためその使用を術後期に制限されているが、clevidipineと同等の効果があった。ECLIPSE-SNPトライアルでは、clevidipine群の方がニトロプルシド群よりも死亡率が有意に低かった(1.7%対4.7%)。他の一次エンドポイント(死亡、脳卒中、心筋梗塞および腎機能障害)は、4剤全てにおいて同等であった。
Ranolazineは非ST上昇急性冠症候群患者の虚血の再発を有意かつ安全に軽減するが予後に関する計測値は軽減させないようである、とのLate-Breaking
Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。このトライアルには、薬物療法を含めた標準的な治療、および医師の裁量により冠動脈手術を施行された患者6,560人が登録された。Ranolazine群の患者は1時間の点滴の後、低用量の点滴を最高96時間受けた;その後1000mgのranolazineを1日2回、約12ヵ月間内服した。コントロール群はプラセボを同様の手順で投与された。その結果、ranolazineにより、心血管死、心筋梗塞、虚血の再発からなる複合エンドポイントは有意に軽減せず、虚血の再発のみを軽減した。Ranolazineは現在使用されている薬剤のように心拍数や血圧に影響を与えず、投与患者において死亡または不整脈などの有害事象を生じさせなかった。
VALIDDトライアルの結果、降圧により軽度高血圧患者の拡張障害が改善することが示された、とのLate-Breaking
Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。VALIDDトライアルでは、組織ドプラによる心筋リラクゼーション速度上拡張障害を有する軽度高血圧の45歳以上の患者384人を、レニン−アンジオテンシン−アルドステロン系阻害薬バルサルタンまたはプラセボ投与群に無作為に割り付けた。さらに、両群ともに必要に応じて血圧135/80mmHgを目標とし標準的な降圧薬を投与された。ベースライン時と38週後の拡張障害の変化を比較した。その結果、拡張障害は両群ともに同程度改善していた。両群ともにベースラインからスタディ終了までに血圧が10mmHg超低下していた。
軽度−中等度高血圧患者に対しaliskirenとバルサルタンを併用しレニン活性を阻害することにより、どちらか一方の薬剤のみを使用するよりもより大きな降圧効果が得られる、とのLate-Breaking
Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。計1,797人の患者がaliskiren150mgとバルサルタン160mgの併用、aliskiren150mg、バルサルタン160mg、またはプラセボのいずれかを4週間投与される群に無作為に割り付けられた。5〜8週目は用量を倍にした。全ての患者は安静時拡張期血圧が95
〜< 110mgであった。エンドポイントには収縮期および拡張期血圧および血圧コントロール率(目標値140/90mmHgに達した率)が含まれた。Aliskirenとバルサルタンの併用が血圧コントロール率が最も高く49.3%であった。Aliskiren単独のコントロール率は37.4%、バルサルタン単独のコントロール率は33.8%、プラセボのコントロール率は16.5%であった。
誘導性一酸化窒素合成阻害薬tilarginineは急性心筋梗塞に伴う心原性ショックの患者の死亡のリスクを軽減しないことが示された、とのLate-Breaking
Clinical Trialの結果がAmerican College of Cardiology学会で発表された。計398人の患者を1mg/kgのtilarginineを経静脈的に投与した後、点滴静注を5時間行う群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた。その結果、tilarginineを投与された患者とプラセボを投与された患者の30日間の死亡率(48%対42%)または再梗塞発症率および心不全と診断される率に差はなかった。6ヵ月後、tilarginine群患者の58%、プラセボ群患者の59%が死亡した。血圧の非常に低い患者においては、tilarginineを使用することにより血圧が非常にはやく上昇したが、ショックの改善および持続時間には差がなかった。