APA2004特集 (5月18日)


長期作用型抗精神病薬の有効性 
非定型抗精神病薬の代謝に対する効果 
双極性障害に対する併用療法 
Atomoxetineと注意欠陥/多動性障害を有する小児の睡眠 
 

長期作用型リスペリドンは症状の安定した青年を含む統合失調症患者に有効である [2004-05-18]

Long-acting risperidone benefits patients with symptomatically stable schizophrenia including young adults
他の薬剤で症状の安定した青年を含む、症状の安定した統合失調症患者が長期作用型リスペリドンに切り換えたところ、症状コントロールがさらに改善した、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。119人の成人患者を治療した6ヵ月の研究によると、Clinical Global Impression-Severity (CGI-S)指標で症状を評価した結果、「無症状」と思われるものはベースラインで2%であったのがスタディの終了時点で14%であった。同指標に基づく評価によると、ベースラインで症状が軽度以下の者が34%であったのがスタディ終了時には52%となっていた。青年(平均年齢23歳)を対象とした2つ目の50週間にわたるスタディの結果では、CGI-S 指標で「無症状」、「非常に軽度」および「軽度」と評価されたものはベースラインで39%であったのが終了時には60%と有意に増加した。
 

Ziprasidoneはオランザピンやリスペリドンと比較し体重や血中脂質に対する副作用が少ないようである [2004-05-18]

Ziprasidone appears to have far fewer adverse effects on weight and blood lipids than olanzapine or risperidone
内服薬をオランザピンやリスペリドンからziprasidoneに切り換えた統合失調症患者は、血中コレステロールや中性脂肪レベルを改善することに加え実質的な体重も減少させることができる、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。3つのトライアル計270人の患者において体重の減少度は患者が内服を中止してから経過した時間に関連した。解析の結果、オランザピンからziprasidoneに切り換えた患者は1年後に平均22ポンド減量し、リスペリドンから切り換えた者は15ポンド減量した。脂質プロファイルの変化はトライアル開始後早期に現れ、1年間の追跡期間中継続した。オランザピンから切り換えた患者のコレステロールは平均18mg/dL低下し、中性脂肪は55mg/dL低下した。リスペリドンから切り換えた患者においても低下の度合いは少なかったが同様のパターンが認められた。

早期発症双極性障害はオランザピンとfluoxetineを併用することでより症状が改善するようである [2004-05-18]

Patients with early-onset bipolar disorder are more likely to have improvement in symptoms with combination olanzapine and fluoxetine
オランザピン/ fluoxetine合剤は双極性障害患者の自殺念慮を迅速に軽減させ、早期発症の患者においては3倍反応しやすい、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。合剤(73人)、オランザピン(299人)またはプラセボ(316人)を8週間内服した患者を解析したところ、内服開始から1週間以内のMontgomery-Asberg Depression Rating Scale item 10 (MADRS-10)で評価した自殺念慮は、合剤を内服した患者においてオランザピンまたはプラセボを内服した患者と比較し有意に軽減していた。合剤(86人)、オランザピン(370人)またはプラセボ(377人)を内服する群に無作為に割り付け、急性期を解析したところ、早期発症(20歳未満)の双極性障害患者においては、合剤を内服したものにおいて反応(MADRSスコアの合計点数が50%以上低下することにより定義した)する割合が3倍であった。

Atomoxetineは注意欠陥/多動性障害を有する小児の症状を改善し睡眠に対する副作用は最小限である [2004-05-18]

Atomoxetine improves symptoms of attention-deficit/hyperactivity disorder in children with minimal negative effects on sleep
注意欠陥/多動性障害を有する小児はメチルフェニデートを1日3回内服するよりもatomoxetineを1日2回内服したほうが10倍早く入眠する、とAmerican Psychiatric Association学会で発表された。朝の起床困難および日中のイライラに対してもatomoxetineはメチルフェニデートと比較し有効であった。メチルフェニデートは夜間覚醒回数を軽減させる(0.2対2.9、p=0.006)がatomoxetineは睡眠時間を延長させた(10.8分対2.6分、p=0.017)。このデータは85人の小児をatomoxetineまたはメチルフェニデートで7週間治療し薬物のウォッシュアウト期間を設けた、二重盲検クロスオーバー試験の結果を示している。
 



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