双極性障害の画像所見
Imaging Findings in Bipolar Disorder
Dr. Godfrey Pearlson
Baltimore, MD, USA, Presenter

Pearlson博士は、気分障害が多様な臨床所見を特徴とする異なる疾患の集まりであるかもしれないと指摘し、これらの臨床的特徴が病因の手がかりとなる生物学的マーカーに関与している可能性があると推測した。

博士らは双極性障害のなかでも精神病の特徴を伴うタイプに注目して研究したが、その理由としては以下のことを挙げている。精神病性の双極性障害の徴候は精神分裂病にオーバーラップする面があること、また精神分裂病と同様に遺伝素因を持つこと、遺伝子および染色体についても精神分裂病との関連がみられることなどである。そして、精神病性の双極性障害はリチウム治療にも抗精神病薬による治療にも反応を示すが、それはPET検査にて示されるドーパミン2受容体結合性の増加が関与している。

またPearlson博士らは精神病性の双極性障害と精神分裂病の間の遺伝的類似性は、精神病性の双極性障害と非精神病性の双極性障害の間の類似性よりも強いのではないかと考え、この仮説を検証するために家族調査を行った。双極性障害患者50名のうち、1名以上の家族構成員を有する患者(42名)の家族を調査したところ6名が分裂感情障害に罹患していたが、精神分裂病に罹患している者はいなかった。

MRIは36名の精神病性の双極性障害患者、34名の非精神病性の双極性患者、および8名の診断基準を満たさないが気分障害の症状を有する患者、および15名の健康な家族に対して施行された。また、対照群として40名の精神分裂病患者に対してもMRIを施行して結果を比較した。

MRI検査により、脳室および海馬の異常が精神病性の双極性障害患者にも精神分裂症患者においても認められた。非精神病性の双極性障害患者は対照群や健康な家族と同様の所見であった。Pearlson博士は、本研究結果が、精神病性の双極性障害と精神分裂病の病因や病態に共通点があることを意味しているのではないかと考えている。


レポーター:Elizabeth A Osuch, M.D.
日本語翻訳・監修:昭和大学医学部精神科 宍倉久里江

 

Copyright 2000-2013 by HESCO International, Ltd. All rights reserved.