Dobmeier博士は、まずレプチンが1995年に発見されたホルモンであることを指摘した。レプチンは脂肪細胞からなり、このホルモンに関連する遺伝子異常は肥満を伴う。レプチンの摂取は食欲減退を引き起こす。また、レプチンは中枢神経系において認められる。ある研究は、オランザピンとclozapineはともに投与開始後4週間以内に血中レプチン濃度の上昇を誘発することを示している。
博士は以下の疑問を提示した:オランザピンの血漿中濃度と血中レプチン濃度との間に相関はあるか?もしそうだとしたら、レプチン濃度の上昇が体重増加を生じるのか?これらの疑問に答えるため、博士のグループはオランザピン服用中の188名の分裂病患者を対象に研究を行った。対象の半数は男性であった。血中オランザピン濃度、血中レプチン濃度および肥満度指数の変化(カルテによって評価された、ベースラインのレベルから最近の値までの変化分)を計測した。
本研究におけるオランザピンの平均濃度は16mg/mlであった。平均レプチン濃度は15.9mg/mlであり、この値は正常値に比して高かった。しかし、博士は肥満度指数とレプチン濃度との間に有意な相関を見出せなかった。また、肥満度指数とオランザピン血中濃度との間にも有意な相関は認められなかった。一方、レプチンとオランザピンの血中濃度の間には有意な相関が認められた。特に女性でその傾向は顕著であった。継時的に検討すると、体重増加が顕著であった患者については、レプチン濃度の上昇が体重増加に先行して認められた。
Dobmeier博士は結論としていくつかの点を挙げた。まず第一に、オランザピンによって血中レプチン濃度と体重は増加する。第二に、レプチンの血中濃度はオランザピンの血中濃度と相関する。第三に、レプチン濃度は体重増加に先行して上昇する。最後に、レプチン濃度の上昇は体重増加の予測因子として有用である可能性がある。