Davidson博士はデータ変更に伴って発表の一部を変更しなければならないことになり、精神病初回エピソードを定義する困難さについて発表した。
精神病初回エピソードに対する質問の仕方は実際には様々である。例えば、「最初に精神病症状が現れたのはいつですか? 手助けが必要となったのはいつですか? 精神病と診断されたのはいつですか?」という具合である。
各質問は全く異なるものであるので、それぞれに対する返答に混乱しないことが重要である。最初の質問に対して返答することは他の2つの質問に比較してかなり困難であろう。初回エピソードは、まぎれもない生物学的変化を反映したものであるのかもしれないし、環境的社会的要因が蓄積されて健康状態変化をもたらす引き金となったのかもしれない。後者は、痴呆や他の遅発性機能障害で見られる状態に類似している。非精神病か精神病であるかの区別は明確ではないのかもしれない。これらの相違を心にとめ、見地を明らかにしていく必要性をDavidson博士は強調した。
Davidson博士は、精神病初回エピソードの診断がつく時機は環境的因子により異なることを見出した。環境的因子には、(表面化を遅延させる)家庭内看護、医療機関へのつながり、診断基準の使用、逸脱行為に対する社会の忍容性、患者や家族が診断されることに対する影響、家族に対する恩恵などが含まれる。これらの要因によって、精神病が発病して治療にかかるまでの期間には、各国の間で大きな違いがある。
Davidson博士によると、一般人口における青年の3〜5%、研究対象者の約7%が精神疾患を罹患している。Davidson博士の研究対象者は軍隊の健常徴兵者で、精神疾患には精神分裂病圏人格障害、適応障害、反社会性人格障害、精神発達遅滞、薬物・アルコール乱用、他の人格障害、神経症が含まれる。精神分裂病が発病する危険性は精神分裂病圏人格障害において最も高く、次に適応障害において高かった。
研究の結果、精神分裂病患者の約25%は精神分裂病と診断される以前に他の精神疾患の診断がなされていた。対照的に、非精神病性の精神疾患と診断された青年の99%は、後になって精神分裂病と診断されないという。
最後にDavidson博士は、ハロペリドール2.5mgの用量で線条体のドーパミン受容体が飽和されることを強調した。用量を増やしても効果が増大するわけではなく、錐体外路の副作用が増大するという結果をもたらす。