軽度認知障害およびアルツハイマー病早期における神経画像診断について
Neuroimaging in mild cognitive impairment and early Alzheimer's disease
Dr. Ronald C. Petersen
Rochester, MN, USA, Presenter

MCI群中約12%の症例がアルツハイマー病へと進行する。一方、健常対照群からは1〜2%が発症する。MCIの臨床的診断基準や神経心理学的検査は有用であるが、神経画像はさらに症状進行の予見を可能にしている。Petersen博士らは、早期診断によって早い段階からの症状のケアおよび予防的な試行を行うことの重要性について説明した。

博士らはMCI群において定量的MRIを用いて、海馬、側脳室下角、扁桃核の各部位を定量し、側頭葉の萎縮を評価した。MCI群における海馬の萎縮の程度は健常対照群とアルツハイマー病群の中間と評価された。さらに海馬の萎縮と生存曲線との間にも相関関係が確認された。

MRスペクト(1H MRS)による代謝の観点からは、アルツハイマー病群の帯状回において神経細胞脱落を示唆するN-acetylasparate/creatinine比(NAA/Cr)の低下が確認された。また星状細胞の出現と関連するmyoinositol/creatinine比(M/Cr)の上昇がMCI群、アルツハイマー病群の同部位で確認された。これらの帯状回における生物学的マーカーの所見からは、病期の進行がモデルとして呈示された。つまり海馬の萎縮および病態生理に基づく代謝の変化は病期、予後の評価において非常に重要なマーカーであると博士らは示した。

さらに病歴、神経心理学的検査、今回示した神経画像診断を組み合わせ、評価することが意義深いと示した。これらの検討から、MCI群における病期の進行などの予測が可能になると思われた。


レポーター:順天堂越谷病院精神科 柴田展人

 

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