研究者らはEGF受容体(EGFR)を阻害する多くの抗体を作成している。彼らはEGFRを阻害する多くの小分子のチロシンキナーゼで阻害剤をもまた作成している。すべてのこれらの薬剤は活性化されたEGFRのシグナル伝達を阻止することを目的としている。
これらの薬剤の1つが、Mendelsohn博士とその共同研究者により1983年に記述されているモノクローナル抗体225(C225)である。この薬剤の種々の特性の中で、C225はEGFRに結合し、そして受容体チロシンキナーゼの活性化を阻害する作用が知られている。これは1つの癌遺伝子産物に対してのtargeted
therapyとなる、たぶん最初の例であった。
FDAは、C225と他の抗EGFR阻害剤であるZD1839(Iressa®)とOSI-774(TarcevaTM)を現在審査中である。
EGFRの阻害は、癌細胞の多くの固有の能力を攻撃する。これらの能力とは、癌細胞自身の成長因子を産生する能力、アポトーシスの回避、血管新生の維持、そして転移を含んでいる。
多くの動物による研究は、EGFRの阻害で化学療法または放射線療法の抗腫瘍効果を増大することを示している。
以下のスライドで示すように、パクリタキセルとZD1839は単剤ではともに結腸癌の異種移植片において腫瘍量をある程度減少させるが、両剤の併用療法は腫瘍を著明に縮小した。

ある研究はC225とシスプラチンの併用療法が、耐性頭頚癌症例に対して、部分(PR)または完全寛解(CR)を得たことを示している。これらの有効例の中には、前治療でシスプラチンが無効であった症例が含まれていた。シスプラチンを含む化学療法に対して無効であった63例の頭頚癌症例での第II相試験で、C225とシスプラチンの併用療法は約25%のCRまたはPRを認めた。
非小細胞肺癌(NSCLC)に対して単剤でのZD1839の第II相試験は19%の奏効率を得た。有効例は種々の症状の改善を伴っていた。引き続いて、研究者らは、NSCLCに対しての第一選択の治療におけるZD1839とプラセボを比較する1,000例単位の無作為比較第III相試験を行った。この結果は近い将来に発表されるであろう。
前治療のあるNSCLC症例に対しての、OSI-774の単剤での第II相試験で、CR 2%、PR 11%と報告されている。生存期間(中央値)は37週間であり、1年生存率は48%であった。

C225は大腸癌で研究されている。この研究はイリノテカン治療で進行した120例の大腸癌症例が含まれた。これら症例はC225とイリノテカンの併用療法で治療され、PR
22.5%とstable diseaseが7%に認められた。

このASCOで発表されたある研究は、イリノテカン治療で進行した症例にC225を単剤で投与し、11%の奏効率を報告している。
813例を含むC225を投与した21の研究での、最も一般的なgrade3-4の毒性は、座瘡様の発疹(16%)と脱力感(9%)であった。

多くの重要な挑戦が将来に横たわっている。化学療法との至適な併用療法を確立するために、C225、ZD1839、そしてDSI-774を用いての多くの研究が進行中である。
ある研究は早期癌に対して、これら薬剤の使用の有用性を検討している。最後に研究者らは、どの癌がEGFR阻害剤に奏効するかを最終的に予め選別できる、または予知可能となることを希望している。
レポーター:
Andrew Bowser | 日本語翻訳・監修: | 愛知県健康づくり振興事業団副理事長 | | 愛知県がんセンター名誉総長 | | 小川一誠
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