エトポシドとプラチナ製剤の併用療法は、小細胞肺癌の標準的治療のひとつとして行われてきたが、奏効後も短期間のうちに再燃したり、初回から無効である症例も多く存在する。我々は、こうした症例に対しCPT-11とCDDPの分割投与法の第U相試験を行った。
既に我々は、CPT-11の下痢防止には、腸管内をアルカリ性に導き、その活性代謝物であるSN-38のラクトン体の再吸収を減少させればよいことを明らかにした(Int J Cancer 83:491,1999)。また臨床的には、腸管内のアルカリ化と薬剤の腸管内停滞時間の短縮からなるCPT-11の副作用対策により、遅延性の下剤は有意に減少した(Int J Cancer 92:269, 2001)。投与方法は、重曹2g、酸化マグネシウム2g、アルカリ水1リットルの内服をCPT-11/CDDP投与日より4日間行った。非小細胞肺癌を対象とした第T相試験の結果から、CPT-11 60mg/m2(1, 8, 15日)およびCDDP30mg/m2(1, 8, 15日)とした(Cancer Chemother Pharmaco 42:53,1998)。
この第U相試験は、CDDPまたはカルボプラチンとエトポシドの併用療法を施行された後に再燃もしくは無効であった小細胞肺癌症例23例を対象とした。無治療期間の中間値は4ヵ月であった。測定可能な22例中、18例に著効を示し、奏効率78%であった。中間生存期間は、CPT-11/CDDP投与日より233日であった。1年および2年生存率は、それぞれ39%と17%であった。
主な副作用は、骨髄抑制と下痢であったが、いずれも可逆性であった。Grade3以上の下痢は23例中2例(9%)に認めたが、副作用対策がなされなかった上記の、第T相試験より少ない傾向にあった。結果的にdose-intensityも上昇した。
本療法は、プラチナ製剤とエトポシドの併用療法後の再発もしくは難治性小細胞肺癌に対し、有用であると考えられる。
注)翻訳・監修者により一部内容補足