このグループの第U相臨床試験では、前治療が無い転移性子宮頚部扁平上皮癌患者106人が無作為に抽出され、イリノテカン単剤、イリノテカンとシスプラチンの併用、シスプラチン単剤の投与が行なわれた。シスプラチン単剤投与群が対照群とされた。
イリノテカンとシスプラチン併用群の全奏効率は53%であったのに対し、イリノテカン単剤群は17%、シスプラチン単剤は21%であった。この併用療法群では2人の患者が完全緩解に至った。単剤投与群のいずれでも完全緩解は得られなかった。
生存期間の中央値はイリノテカンとシスプラチン併用群で14.3ヵ月で、イリノテカン単剤群の8.0ヵ月、シスプラチン単剤群の9.6ヵ月より良好であった。
好中球減少は最も多く共通してみられた副作用であり、イリノテカン単剤群で32%、シスプラチン単剤群で10%であったのに対し、イリノテカンとシスプラチン併用群では81%と高率であった。薬剤毒性での死亡例はなかった。
「この種の癌では奏効が得られないのが普通であるが、イリノテカンとシスプラチン併用群で2例の完全緩解が得られたことと、生存率が向上したことには驚いている。現在転移性子宮扁平上皮癌を治療しない国もあるくらいだから。」とGarin博士は述べている。
さらに彼は、好中球減少が併用療法で非常に多かったが、対処可能な副作用であることも述べていた。
この第U相試験の結果を踏まえ、転移性子宮扁平上皮癌に対しイリノテカンとシスプラチン併用療法とシスプラチン単独療法の比較を行なう第V相臨床試験が予定されている。