第一製薬



転移性子宮頚部扁平上皮癌患者初回治療におけるイリノテカン単剤、シスプラチン併用、シスプラチン単剤の治療効果についての無作為第U相試験
Randomized Phase II Study of Irinotecan or Irinotecan in Combination with Cisplatinum or Cisplatinum in First Line in Patients with Metastatic Squamous Cell Carcinoma of the Cervix
Avguste Garin, M.D.
All-Union Cancer Research Center,
Moscow, Russia

転移性子宮頚部扁平上皮癌には現在まで適切な治療がなかった。過去25年間に使われた50種以上の単剤のうち最も有効なもので15〜35%の奏効率で、生存率の改善には無効であった。 Avguste Garin博士と他の欧州の施設の共同研究者たちは、イリノテカンとシスプラチンの新しい併用療法がこの癌の予後を改善することを期待している。

このグループの第U相臨床試験では、前治療が無い転移性子宮頚部扁平上皮癌患者106人が無作為に抽出され、イリノテカン単剤、イリノテカンとシスプラチンの併用、シスプラチン単剤の投与が行なわれた。シスプラチン単剤投与群が対照群とされた。

イリノテカンとシスプラチン併用群の全奏効率は53%であったのに対し、イリノテカン単剤群は17%、シスプラチン単剤は21%であった。この併用療法群では2人の患者が完全緩解に至った。単剤投与群のいずれでも完全緩解は得られなかった。

生存期間の中央値はイリノテカンとシスプラチン併用群で14.3ヵ月で、イリノテカン単剤群の8.0ヵ月、シスプラチン単剤群の9.6ヵ月より良好であった。

好中球減少は最も多く共通してみられた副作用であり、イリノテカン単剤群で32%、シスプラチン単剤群で10%であったのに対し、イリノテカンとシスプラチン併用群では81%と高率であった。薬剤毒性での死亡例はなかった。

「この種の癌では奏効が得られないのが普通であるが、イリノテカンとシスプラチン併用群で2例の完全緩解が得られたことと、生存率が向上したことには驚いている。現在転移性子宮扁平上皮癌を治療しない国もあるくらいだから。」とGarin博士は述べている。

さらに彼は、好中球減少が併用療法で非常に多かったが、対処可能な副作用であることも述べていた。

この第U相試験の結果を踏まえ、転移性子宮扁平上皮癌に対しイリノテカンとシスプラチン併用療法とシスプラチン単独療法の比較を行なう第V相臨床試験が予定されている。


レポーター:Jill Waalen, M.D.
日本語翻訳・監修:
九州大学生体防御医学研究所生殖内分泌婦人科講師 加藤秀則
 


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