日本化薬


PELF療法は転移性胃癌においてFAMTX療法よりも有効である
PELF is More Active than FAMTX in Metastatic Gastric Carcinoma
G. Cocconi, M.D.
Italian Oncology Group for Clinical Research,
Parma, Italy
State University of New York Downstate Medical Center,
Brooklyn, NY, USA

いままでにふたつの無作為化臨床試験により、PELF療法とFAMTX療法は、転移性胃癌に対してFAM療法よりも優れることが示されている (JCO 12:2687, 1994. JCO 9:827, 1991)。

Dr. Cocconiらのグループは、PELF療法とFAMTX療法の効果を比較検討した。76歳未満の転移性胃癌の適格例195症例に対し、各々6サイクル施行した。PELF療法では、シスプラチン40mg/m3を第1日目と第5日目に、エピルビシン30mg/m3を第1日目、第5日目に投与し、l-ロイコボリン100mg/m3を第1日目から第4日目までボーラス投与、5-フルオロウラシル300mg/m3を第1日目から第4日目までボーラスで投与し、以上を3週毎に反復した。

FAMTX療法では、メトトレキサート1500mg/m3を第1日目にshort iv infusion、5-フルオロウラシル1500mg/m3を第1日目にボーラス投与、アドリアマイシン30mg/m3を第15日目に投与し、以上を4週毎に反復した。適格195例は全例、抗腫瘍効果の面で評価可能であった。著効(CR)率と奏効率(CR+PR)は、PELF療法とFAMTX療法でそれぞれ、13%対2%(P=0.003)と39%対22%(P=0.009)であり、PELF療法が有意に優れた。しかし、進行までの期間(TTP)、奏効期間、生存期間の中央値は、PELF療法とFAMTX療法でそれぞれ5.9ヵ月対3.5ヵ月(P=0.34)、8.8ヵ月対8.1ヵ月(P=0.94)、7.7ヵ月対6.9ヵ月(P=0.19)であり、両群間に有意差は認められなかった。12ヵ月生存率、24ヵ月生存率は、PELF療法で良好であった(30.8%対22.4%、15.7%対9.5%)。

副作用の多くのものは両群間で同様であったが、嘔気、嘔吐(P=0.004)、下痢(P=0.02)はPELF療法群で有意に高度であり、粘膜炎(P=0.04)はFAMTX療法群で有意に高度であった。治療関連死は、PELF療法群で4.2%、FAMTX療法群で3.2%であった。

Cocconig博士によれば、PELF療法はFAMTX療法と比較するとCR率、奏効率の点でより有効な治療法であり、また有意差はないものの1年およびび2年生存率の点でも良好である。一方、副作用は受容し得る範囲内で基本的に2療法間で同等であると述べた。PELF療法やこれと同様の抗癌剤を用いたFLEP療法、ECF療法は、転移性胃癌に対して現在最も進歩した新世代のレジメンと考えられる。一方、FAMTX療法は、最早この範疇の疾患に対して使用されるべきではない。今後は術後補助化学療法におけるPELF療法の有用性が試されるべきである、とCocconi博士は述べた。

注)翻訳・監修者により一部内容補足


レポーター:Aaron Levin
日本語翻訳・監修:財団法人癌研究会附属病院化学療法科 相羽惠介
 


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