前立腺癌でホルモン療法を受けている症例でのBone Lossの予防に対するパミドロネートのRandomized Prospective Study
Randomized Prospective Study of Pamidronate for Prevention of Bone Loss in Men Undergoing Hormonal therapy for Prostate Cancer
Matthew R. Smith, M.D., PhD,
Harvard Medical School, Cambridge,
MA, USA
Smith博士は、男性の骨粗しょう症は「orphan disease(稀な疾患)」と呼ばれるが、それは女性の場合と比較してあまりにも知られていないからである、と言った。しかし股関節骨折の全人口のうち1/3は男性で起こっており、これは医療費に換算すると40億ドルとなる。
前立腺癌でホルモン療法を受けている男性の骨密度は減少する。その程度は閉経後の女性の場合より高度である。ホルモン療法はこれら症例での骨折の割合を増加させる。しかしこの問題について薬剤の有効性をテストした臨床研究は今まで行なわれなかった。
Smith博士とその共同研究者らは、進行したリンパ節転移陽性又は再発した前立腺癌43例を対象として、Randomized, open-labeled研究を行った。骨転移のある症例と骨粗しょう症の二次的要因のある症例は除外した。患者の平均年齢は67歳(±10歳)。治療前の両群の患者特徴は、カルシウムとビタミンD摂取の多少の不足はあったが、同じであった。
1群はデポ型のリュープロレリン(Gn-RH阻害剤)22.5mgを筋注で12週毎に投与され、次の群は同じ投与法のリュープロレリンにパミドロネートの標準投与量である60mgを週1回静注した。両群ともにカルシウムとビタミンDが補充された。
1年後に、骨密度をdual energy x-ray absorptiometry(2エネルギーX線吸収装置)により計測した。リュープロレリンのみを投与された男性は平均して腰椎(absorptiometryにより)で3.3%、骨盤全体(absorptiometryにより)で1.8%、そして腰椎(CTにより)で7.8%の骨密度の減少を認めた。これに対して、リュープロレリンとパミドロネート双方を投与された男性では、この期間中の有意な骨密度の減少は認められなかった。
Smith博士は、前立腺癌でホルモン療法を処方された男性は骨密度を検査し、もし治療前の骨密度が低い場合は、パミドロネートによる治療を直ちにはじめるか、さもなければホルモン療法中に骨密度の減少が明らかになった時点からパミドロネートをはじめても良いことを示唆した。
レポーター:Aaron Levin
日本語翻訳・監修:愛知県健康づくり振興事業団副理事長 小川一誠
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