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進行性卵巣癌の初回治療におけるドセタキセル・シスプラチンとサイクロフォスファマイド・シスプラチンの薬理経済学的比較
A Pharmacoeconomic Comparison of Docetaxel and Cisplatin vs Cyclophosphamide and Cisplatin as First-Line Chemotherapy for Advanced Ovarian Cancer
  Vera Gorbonouva, M.D.
Cancer Research Center,
Russian Academy of Medical Sciences,
Moscow, Russia

ドセタキセルはシスプラチンとの組み合わせにおいては進行性卵巣癌のよい治療薬である。しかしながらドセタキセルのようなタキサン系化合物は、他の治療薬に比べると非常に高価である。ロシア医科学アカデミーの研究者達が、進行性卵巣癌の初回治療におけるドセタキセル・シスプラチン療法に要する全費用を、これより薬価の低いサイクロフォスファマイド・シスプラチン療法と対費用効果という点で比較した。

1996年から1998年までサイクロフォスファマイド・シスプラチンで初回治療を行った進行性卵巣癌26例の治療に要した費用を、1998年から現在までドセタキセル・シスプラチンを用いた26例のそれと比較した。

予想されたとうり、初回治療でドセタキセル・シスプラチンを用いた群における直接的費用(7,275,000ルーブル)は、サイクロフォスファマイド・シスプラチン群(1,152,000ルーブル)より高かった。

しかしサイクロフォスファマイド・シスプラチン療法を受けた患者には、より頻回の2次およびそれ以降の化学療法が必要であった。これら2次以降の化学療法にはしばしばドセタキセルやパクリタキセルが用いられた。結果として、治療に要した総額は2群間で差がなく、ドセタキセル・シスプラチン群で8,409,000ルーブル、サイクロフォスファマイド・シスプラチン群で7,742,000ルーブルであった。

ドセタキセル・シスプラチン群の奏効率は76%で、サイクロフォスファマイド・シスプラチン群の60%より良好であった。従って対費用効果は、ドセタキセル・シスプラチン群で奏効率1%あたり111,000ルーブル、サイクロフォスファマイド・シスプラチン群で120,000ルーブルと、2群間で同様であった。

研究者たちは、ドセタキセルのような高価ではあるが有用な薬剤の対費用効果を検討する場合には、初回治療に要する費用のみでなく、その後の化学療法に必要な費用も考慮に入れるべきであると強調した。


レポーター:Jill Waalen, M.D.
日本語翻訳・監修:
九州大学生体防御医学研究所生殖内分泌婦人科講師 加藤秀則
 


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