第一製薬



進行結腸直腸癌におけるOxaliplatin(OXAL)またはCPT-11併用5-FU/Leucovorin (LV)療 法:NCCTG/CALGB Study
Oxaliplatin (OXAL) or CPT-11 Combined with 5FU/Leucovorin (LV) in Advanced Colorectal Cancer: An NCCTG/CALGB Study
R. F. Morton, M.D.
NCCTG/CALGB,
Des Moines IA, USA

本来、この無作為化臨床第III相試験は、それまで標準治療といわれてきた2剤併用療 法である5-FU/LV療法と、色々なスケジュールのOXAL/5-FU/LV療法またはCPT-11/5-FU/LV療法における効果、すなわちTTP (time to progression)を相互に比較検討するようにデザインされた。対象は、切除不能の進行結腸直腸癌であった。

上記6つのarmのうち、ここに報告されている3つのレジメンの投与量・投与スケジュー ルを以下に示す。
1) CPT-11 275mg/m2 第1日目、LV 20mg/m2投与後に5-FU 400mg/m2の投与
    これを第2〜第5日目まで。
2)OXAL 130mg/m2 第1日目、LV 20mg/m2投与後に5-FU 320mg/m2の投与、
   これを第1〜第5日目まで。
3)LV 20mg/m2投与後に5-FU 425mg/m2の投与、これを第1〜第5日目まで。
CPT-11のarmはMayo Clinicの臨床第I相試験(Proc ASCO 18:202a,#778, 1999)に基 づいた。OXALのレジメンは欧州で行われた臨床第II相試験 (JNCI 92:1011,2000)に基 づいた。

Saltzのレジメン(CPT-11+5-FU/LV)は5-FU/LV療法よりも生存利益 (survival advantage)があることが示され (NEJM 343:905, 2000)、FDAもこれを承認したことか ら、その後5-FU/LV armは中止となった。このSaltzのレジメンは、その後、広く北米、 欧州などにおいて大きな臨床比較試験における対照armとなっている。他の2つのarm は、過度の副作用が出現したため、中止された。

「この種の試験においては、1%という治療関連死はよく見られる典型的な数字であり、我々にとってこの数字は、治療による副作用の程度を示す重要な目安として有用である。」と演者のMorton博士は述べた。この試験では、リアルタイムで副作用がモニターされた (JNCI 92:1011, 2000)。参加施設は、副作用に起因するいかなる入院、あるいはグレードV/Wの副作用発現を24時間以内に報告するように要求されていた。

CPT-11+5-FU/LV armは、最初の61症例において5例(8%)の治療関連死が認められた 後に中止された。死因はそれぞれ、低循環血漿量ショック3例、嚥下性肺炎1例、呼吸 不全1例、不明1例であった。

OXAL+5-FU/LV armでは、最初の16例のうち、3例(19%)の死亡が報告された。最初の15例にこの療法が施行された後に、OXALの投与量は130mg/m2から100mg/m2へ、また5-FUも320mg/m2から240mg/m2へと減量された。しかしその後の31症例において更に1例死亡が発生したため、このarmは中止された。このarmでの死因は、嘔気・嘔吐・脱水3例、衰弱と好中球減少1例であった。

以上のごとくこれらのarmを中止したばかりではなく、研究者達は他のarmにおいて もCPT-11を100mg/m2へ、また5-FUも400mg/m2へと減量した。

致死的副作用は治療の初回サイクル中に発現したことが判明した。このため、数人の 質問者がMorton博士に対し、どのような患者がそのような致死的副作用を被り易いの かを予知する何か良い方法はないのかとたずねた。彼は、「これらの副作用は予期し 得ないものだった。しかし、我々はリアルタイムで副作用のモニターをしていたので、 必要に応じて直ちに治療を中止することが可能だった。」と答えた。

Intergroup N9741は、この試験を継続するか否かについて効果安全性委員会の決定を待ちながら、現在症例登録を中断している。


レポーター:Aaron Levin
日本語翻訳・監修:財団法人癌研究会附属病院化学療法科 相羽惠介
 


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