第一製薬


転移性大腸癌に対するFOLFIRI-FOLFOX療法とFOLFOX - FOLFIRI療法の比較試験:第III相試験の最終報告
FOLFIRI Followed by FOLFOX versus FOLFOX Followed by FOLFIRI in Metastatic Colorectal Cancer: Final Results of a Phase III Study
Christophe Tournigand, M.D.
Hospital Saint Antoine,
Paris, France

この臨床試験のプライマリーエンドポイントは、second-line therapy後に、病気が進行(PD)となるまでの期間であった。過去の第III相試験では、5-FU-ロイコボリン併用療法よりも、irinotecan や oxaliplatinをこの併用療法に加えた3剤併用化学療法の方が 優れた治療成績を示した。今回の臨床試験は、irinotecan と oxaliplatinのどちらを先に加える方がより効果的であるのかを決定するために施行された。

対象患者は、組織学的に転移性大腸癌と診断され、前治療がないか、術後補助化学療法を6ヵ月前までに終了した患者である。無作為抽出化を行って、arm A では109人が中央値で13サイクルのFOLFIRIに続いて、81人が8サイクルのFOLFOXを受けた。Arm B では111人の患者がFOLFOXを中央値 で12 サイクル受けた後に、69 人が中央値で6 サイクルのFOLFIRIを病気が進行するまで受けた。

FOLFIRI療法の治療スケジュールでは、 第1日目にirinotecan 180 mg/m2; L-folinic acid 200 mg/m2; 5-FU bolus 400 mg/m2; の3剤を投与した後、5FU を46 時間持続点滴で 2.4 〜 3 g/m2 (LV5FU2 療法)投与し、これを2週間毎に繰り返した。FOLFOX療法の治療スケジュールでは、第1日目にoxaliplatinと、同様な LV5FU2療法を2週毎に繰り返した。8人には、外科的に転移巣を完全に取り除きFOLFIRI療法を行ったが、20 人には最初から FOLFOX 療法が施行された。

奏効率は、FOLFIRI療法が最初に施行された群では57.5%であり、ついで行われたFOLFOX療法では21%であった。一方、FOLFOX療法が最初に施行された群における奏効率は56%で、ついで施行されたFOLFIRI療法では7%であった。無進行生存期間は、初回治療としては、FOLFIRI療法では8.6ヵ月で、FOLFOX療法では8.9ヵ月であり、ついで行われた治療ではそれぞれ2.5ヵ月と4.1ヵ月であった。

好中球減少はFOLFOX療法の初回療法で頻度が高く、grade 3の末梢神経障害はFOLFIRI療法で頻度が高く、初期にこの副作用のために治療の中止を余儀なくされた患者もあった。

FOLFOX療法とFOLFIRI療法では初回治療における奏効率には有意差はないが、Tournigand博士は、長期生存についてはさらに経過を観察することが必要であると述べた。


レポーター:Aaron Levin
日本語翻訳・監修:東京慈恵会医科大学内科学血液・腫瘍内科講師 薄井紀子

 
Photo courtesy of ASCO


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