分裂病は多くの薬物療法の有効性があるにもかかわらず、いまだに慢性かつ重篤な病気である。現存する治療方法には限界があり、かつ対症療法ばかりである。
分裂病の早期発見が重要なのは分裂病の兆候や症状が出現する1、2年前に脳においては神経生物学的な変化が進行しているからである。分裂病の症状が出現する頃には神経学的変化が既に生じている。分裂病の早期発見・早期治療により、長期的により良好な転帰が得られることが明らかになっている。精神病が治療されずにいる期間は平均で1〜3年に及ぶのでこの点は重要である。McGlashan博士が述べているように、逆もまた真なりで、(早期発見できず)治療が遅れれば転帰も悪くなる。今回の研究では早期―診断を受ける前後1〜3年と定義して―の病相に焦点をあて行った。
初発の精神病エピソードは、早期治療と予防に関する研究において調査がなされつつある。研究の目標は、Scandinaviaの1つのコミュニティであるRogaland(人口32万)において精神病が治療されずにいる期間を短縮することと、これにより対照グループであるOsloとRoskilde(合計の人口28.5万)と比べて分裂病の表れ方と経過がどう影響を受けるかを検討することである。対象者の年齢は15〜65歳であり、早期治療グループ(Rogaland)では個人対象の精神療法、家族集団精神療法、非定型抗精神病薬から始めるアルゴリズムに基づく薬物治療を受けた。患者は1、2、5年と経過を追跡されることになっており、研究の開始初年が終了した段階である。
コミュニティの教育キャンペーンは一般市民、学校、ヘルスケアワーカーに対して行われた。この情報提供キャンペーンはTVCM、新聞、ラジオ、映画広告、ビデオ、パンフレット、小冊子などを通じて市内の各々の家庭に送られた。加えて学校では教師とカウンセラーにトレーニングプログラムを受けさせた。プライマリーヘルスケアサービス業者も教育セミナーを受けた。全ての教育資源は「できるだけ早く援助を求め、よくなるチャンスを伸ばしなさい」というメッセージ付きの電話による情報提供を備えている。一度接触がなされると早期発見チームは活動し、24時間以内に評価が完成する。このチームは精神科医と臨床心理士、そして3人の精神科看護師と2人のソーシャルワーカーから成り立っている。