初発精神病における早期発見と早期治療は、公衆衛生上重要視されつつある。多くの患者は精神病状態の前駆期に、長期にわたり何らかの不調を経験し、精神病性障害に認められる能力障害はこの時期に確立されることが多い。
McGorry博士は、低用量リスペリドンと認知行動療法を用いた治療法を、抗精神病薬を用いない非特異的心理社会療法と比較した、無作為対照試験の結果について報告した。
59名の患者が2群に無作為に割り付けられた。再評価は6〜9ヵ月間の治療の後と、研究開始の1年以上後に行われた。
非特異的治療群28名のうち、10名が1回目の追跡調査において精神病の症状を示した。特異的治療群のうち3名のみが、1回目の追跡調査において精神病の症状を呈し、後の追跡調査ではさらに3名が精神病症状を示していた。
McGorry博士は、精神病の発症前における介入に関する、4つの有益な点について概説した。長期の精神病前駆期に、患者に対して何かを施すことができれば、能力障害が生じたり、スティグマを引き起こす行動あるいは出来事が起きる可能性は低くなる。精神病が発症した場合にも、症状が未治療で過ぎる期間は短く、入院の可能性も低くなる。
McGorry博士の研究において、治療は精神病への移行に対して有意に影響を与えた。非特異的治療群の35%以上が、研究期間中精神病に移行したのに対して、低用量リスペリドン投与と認知行動療法を受けた患者群では9.7%であった。McGorry博士は、介入は精神病の発症を遅らせることができ、結果が希望的であると結論付けた。彼は、さらなる調査の必要性があると感じている。さらに情報が入手可能となるまで、リスクの高い患者を注意深く追跡することが推奨される。抗精神病薬の投与は、精神病性障害の症状が明らかに認められるまで、差し控えるべきである。