Texas Medication Algorithm Projectは、主要な精神疾患治療に用いられる治療アルゴリズムを評価するために、最初に行われた大規模な有効性研究のひとつである。Trivedi博士は、まずTexas Medication Algorithm Projectの2つの主要な目標として、1)大うつ病性障害から回復する患者数を増やすこと、2)より早期に寛解状態をもたらすための治療ガイドラインを提供することをあげている。
Texas Medication Algorithm Projectは、7つのステップからなるアルゴリズムであり、単純なモノセラピーから始まり、次第により複雑な介入となってゆく。患者は治療に対する反応性に応じてひとつのステージから別のステージに移ってゆく。アルゴリズムは、医師に多数の治療オプションを提供し、患者の好みにフレキシブルに対応し、一定の転帰を明らかにするようにデザインされている。
Trivedi博士は、大うつ病性障害の外来患者548名を次の3つの治療グループに分類して、Texas Medication Algorithmを用いた研究を行った。すなわち患者/家族教育パッケージ(182名)、アルゴリズムを用いない通常の治療(154名)、他の疾患のアルゴリズムを用いた通常の治療(212名)である。全対象者のうち73%について12ヵ月間の経過データが得られた。基本的な転帰は四半期ごとの患者と医師の症状ならびに機能評価によっている。症状評価は30アイテムのInventory of Depressive Symptomatology を用いて行われた。機能評価は、Medical Outcomes Study 12-item Short-Form を用いた。この研究に参加した医師は、様々なサポートを受けており、アルゴリズムに関する教育を受け、アルゴリズムを実践するために臨床面での援助も受けている。
Trivedi博士は、次のように報告している。対象者すべてが研究期間中に有意な改善を示したが、患者/家族教育パッケージを受けた群はマッチした通常の治療群よりも症状が2倍軽減した。通常の治療群に比べて、患者/家族教育パッケージを受けた群は自己評価の抑うつ症状が有意に減少し、Medical Outcomes Study 12-item Short-Formによる評価も有意に改善していた。これらの結果は最初の3ヵ月の時点で明らかであり、その後9ヵ月間同様の結果が持続した。
Trivedi博士は、結論として臨床医はこのアルゴリズムを使うべきであり、このアルゴリズムについてTexas Medication Algorithmのウェブサイト ("http://www.mhmr.state.tx.us/centraloffice/medicaldirector/tmap.html")でさらに理解を深めるべきだと述べている。