冠動脈内ステント留置後におけるチクロピジンとシロスタゾールの二重盲検比較
A Randomized Comparison of Cilostazol versus Ticlopidine after Coronary-Stent Implantation

Hiroshi Hoshizaki
Department of Cardiology
Gunma Pref. Cardiovascular Center
Gunma, Japan


Hitoshi Adachi
Department of Cardiology
Gunma Pref. Cardiovascular Center
Gunma, Japan


ステント留置後の亜急性血栓閉塞は、重大な問題である。この問題を予防するためにチクロピジンがよく使用されているが、最近ではキノロン誘導体であるシロスタゾールも使用されている。

両薬剤とも強力な抗血小板薬であるが、ステント内血栓の予防や血管造影上の結果に関して、どちらの薬剤がより効果的であるかの報告は少ない。

演者らは連続286名の患者を対象に、冠動脈内ステント留置2日前より6ヵ月間、アスピリン(81mg/日)とチクロピジン(200mg/日)、またはアスピリン(81mg/日)とシロスタゾール(200mg/日)を投与して、両薬剤の効果を評価した。

冠動脈造影上の再狭窄率、再血管形成術施行率(それぞれ、チクロピジン群で26.5%、18.4%、シロスタゾール群で30.3%、20.2%)については、両薬剤間で有意差はなかった。

しかし、亜急性血栓閉塞がチクロピジン投与群では一例も生じなかったのに対して、シロスタゾール投与群では4.2%に生じ、有意に多かった。

患者背景については、シロスタゾール投与群で急性心筋梗塞が多かったが(チクロピジン群:27%、シロスタゾール群:43%)、その他については同様だった。

以上の結果より演者らは、冠動脈内ステント留置をうける患者は、特に亜急性血栓閉塞予防に関して、術前からチクロピジンが投薬されるべきであると結論した。


レポーター:Andrew Bowser
日本語監訳:群馬県立心臓血管センター循環器内科第一部長 星崎 洋