近年、多くのinterventional cardiologistが、ステント留置後の抗血小板療法としてチクロピジンの代わりに、clopidogrelを用いるようになってきた。彼らは、clopidogrelが、副作用面において(特に皮疹や胃腸障害などの有害な副作用において)チクロピジンより優れていることを示す研究報告があるため、この新しいthienopyridine系薬剤の使用に切り換えた。
しかし、clopidogrelが、チクロピジンよりステント血栓症の予防に優れているかどうかについての答えはまだ出ていなかった。今までのどの研究も、この仮説を証明するのに十分な統計上の検出力を持っていなかった。実際、いくつかの研究では反対の結論が示唆されていた。
Rinaldi博士と共同研究者は、ステント血栓症を予防する能力を、この2つの抗血小板剤間で比較する、多施設ケースコントロールスタディを行った。

この研究に参加した施設はVanderbilt大学メディカル・センター、Mayoクリニック、およびDuke大学メディカル・センターなどであった。合計14の臨床施設が参加した。
研究者らは、197例のステント血栓症を血管造影により確認し、さらに個々の症例を同じ施設からの単一の対照と比較した。彼らは、臨床上の特徴を決定するために、病歴を検討し、定量的冠状動脈造影のため中央研究施設にすべての血管造影写真を送った。
ステント血栓症を認めた患者は、対照に比べてclopidogrelを処方されていることが有意に多かった(47%対34%)。


ステント血栓症の独立した予測因子は、急性心筋梗塞に対するprimary stenting、手技前の血小板数の多さ、ステント長、および高血圧であった。これらの因子およびその他の潜在的に影響を及ぼす因子を調整したところ、研究者らは、clopidogrelの使用とステント血栓症の危険性の増大との間に相関関係を認めた。
このAHAの口演の終わりに、博士は、clopidogrelを含んだ抗血小板療法は、チクロピジンを含んだ抗血小板療法ほどステント血栓症を予防できるわけではないと結論づけた。彼は、この問題に最終的に答えるために、無作為比較試験を始めることを提案した。
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