最初の成功治療から80年以上にわたる僧帽弁狭窄症の治療の発展を振り返りつつ、Turi博士は治療戦略は元の場所に戻っていると述べた。初期の非直視下交連切開術から直視下交連切開術を経て、そして1980年代のバルーンを用いた経皮的手技の到来と共に再度非直視下での修復へと。
博士は50%以上の圧較差減少と2倍以上の弁口面積増加を求める初期の熱意は高いものであったと指摘した。また、多くの研究が、バルーンを用いた手技による良好な血行動態値は、当初の血行動態上得られる改善は徐々に失われるものの、3年そして10年ですら保持されることを示している。
しかしながら、最近のガイドラインはバルーンを用いた交連切開術をクラスV〜Wの症状を持つ重症僧帽弁狭窄症のみの適応としている。博士はその様な治療閾値の低下を提案する因子群を概説した。
バルーンを用いる経皮的手技は比較的安全であり美観を損なわず、そして潜在的には外来にて行える手技である。それは解剖学的に良好な形態を持つ僧帽弁狭窄症患者の有効な第一線の治療である。また、不釣り合いに重い症状を持ちうる軽症患者も有効治療のメリットを受ける。一方、軽症僧帽弁狭窄症(クラスII)の初期の拡張は2.9%の死亡率、6.7%の僧帽弁逆流の出現、1.1%の脳卒中を生じる。バルーン治療を遅らせ内服治療に頼ることはその様な危険性を避けるが、他の危険性へのドアを開く。それらは、進行性肺高血圧症、全身塞栓症、肺浮腫、喀血、右室不全、そして心臓性肝硬変を含んでいる。
経皮的治療の閾値を下げることを力説しつつも、博士はバルーンを用いた戦略による初期の良好な血行動態値が、実際に肺高血圧症への進行を遅らせ、心房細動への進行を遅らせ、脳血管事故の発生率を下げ、そして左室機能に長期の良い影響を与えるのかどうかを示すために、無作為試験が必要であると述べた。
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