心房細動は非常に広く認められる不整脈で、症例数はさらに増加することが予想されている。この増加は、主に既に心房細動を持つ患者の高齢化による。
心房細動は、現在様々な抗不整脈薬で治療されている。単剤では心房細動を持つ全ての患者に十分に安全で効果的であるものはない。心房細動は、次の4つのパターンに分類されている:1)
一時的に認められた不整脈、2) 発作性心房細動、3) 持続性心房細動、4) 慢性心房細動。
それぞれのパターンでは、異なる治療方針が必要である。発作性心房細動は、心房細動の再発を予防することによって治療されている。持続性心房細動は、心房細動を予防するか、停止させるか、あるいは心拍数をコントロールすることによって治療されている。
心房細動の再発予防にとって望ましい薬剤はアミオダロンである。心房細動は、プロパフェノンの単回経口投与や、フレカイニドやアミオダロンの静注投与により効果的に停止させることができる。フレカイニドは、短時間で効果的である(30分以内)。心拍数は、その有効性の順に列挙された以下の治療によってコントロールすることができる。1)
βブロッカーあるいはカルシウム拮抗剤の単独療法、2) ジギタリス製剤と、カルシウム拮抗剤あるいはβブロッカーとの併用療法、3)
ジゴキシン単独治療。Camm博士は、心拍数はジギタリス製剤単独療法でコントロールされうるが、それは安静時のみで効果的である、と言及した。ジギタリス製剤は、運動時には効果的ではない。
再発性心房細動の治療に対して、その他の点で心臓疾患を持たない患者においては、フレカイニドとプロパフェノンが推奨されている。心臓疾患をほとんどあるいは全く経験のない患者に対しては、ジソピラミド、キニジン、プロカインアミドによる治療によりその再発を予防することができる。心不全を持つ患者に対しては、アミオダロンやdifeltilideが推奨されている。高血圧のみを持つ患者に対しては、フレカイニドとプロパフェノンが推奨されるが、より強力な抗不整脈薬も次に使用されうる。もし、左心肥大が存在するならば、アミオダロンが選択される。再発性心房細動の治療に対して、その他の点で心臓疾患を持たない患者においては、フレカイニドとプロパフェノンが推奨されている。
急性期の心房細動に対しては(7日以内)、推奨される薬剤は、フレカイニド、プロパフェノン、difeltilide、ibutilideである。慢性心房細動(7日以上)に対して選択される治療は、difeltilideであるが、この場合ジギタリス製剤は禁忌である。
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