COPPA II試験 (Clinical Outcomes from the Prevention of Post-Operative Arrhythmia II;術後不整脈の防止による臨床的予後改善効果 II): プロパフェノンの検討
Clinical Outcomes from the Prevention of Post-Operative Arrhythmia II (COPPA II): Evaluation of Propafenone
Peter R. Kowey
Main Line Health Heart Center
Wynnewood, PA, USA

冠動脈手術を受けた患者の少なくとも40%で回復期に心房性不整脈が合併する。これらの不整脈は心事故、そしておそらくは死亡率をも増加させる。心房性不整脈を合併した患者は入院期間が延長し、心拍のコントロールや脳卒中と心筋梗塞の予防のためにより長期間の治療を必要とする。

このような病態に対する最も効果的な治療はβ遮断薬の使用である。多くの臨床試験でβ遮断薬は心房性不整脈の頻度を50%も減少させることが示されている。

強力な抗不整脈薬であるプロパフェノンは心房性不整脈の予防薬としてアメリカをはじめ他の多くの国で認可されている。

Late-breaking clinical trials〔最新の臨床試験〕のセッションで、Kowey博士はバイパス手術後に生じた心房細胞に対してプロパフェノンが臨床的に、あるいは医療経済的にどのような影響を与えるかを検討した新しい試験の結果を報告した。

7つの施設において293例の患者が低用量プロパフェノン(450mg/day)、中用量プロパフェノン(675mg/day)、およびプラセボ群に無作為に割り付けられた。ほとんどの患者でジゴキシン(93%)、とβ遮断薬(84%)が併用されていた。

この試験の結果、不整脈の発生頻度は低用量のプロパフェノン群で22.2%, プラセボ群で22.7%であったのに対し、中用量のプロパフェノン群では12.4%と明らかに減少がみられた。

この薬物は安全に使用出来た。試験に登録されたほぼ300例の患者のうち、死亡は中用量群でみられた唯1例のみであった。しかし、Kowey博士の言によると、この試験に登録された患者の数は十分ではなく、臨床的な差を論じることは出来ないという。

この安全性と有効性にもかかわらず、不整脈治療に於ける医療経済的に有意な違いは証明出来なかった。中用量のプロパフェノンは表の如く入院期間を減少させるものではなかった。

Kowey博士は各々の臨床家、診療機関が経済的軽減に力を入れることと、心房性不整脈の負担から患者を解放することのどちらが重要かを決めるべきであると語った。

 
プラセボ
プロパフェノン
(450 mg/day)
プロパフェノン
(675 mg/day)
心房性不整脈
22.7%
22.2%
12.4%*
不整脈発生までの日にち
3.7
3.4
4.8
入院期間
7.3
6.9
7.5

*プラセボに対してP<0.022

レポーター:Andrew Bowser
日本語監訳:浜松労災病院院長 篠山重威