DOL ACC 2001 学会速報


 
ニュース 目次
 
 多枝病変の治療はステントか外科手術か―意見は未だ一致をみない
 Stent or surgery in multivessel disease - opinion still divided
  今回、冠動脈多枝病変患者において冠動脈バイパス手術(CABG)と血管形成術/ステントとを比較した2つの新しい研究の予備的な結果が報告されたが、これらの患者の治療には何がベストかという論争に更に拍車をかけることになった。
 RIBS: 繰り返しステント治療を行うことは大きな血管には有効であっても小血管には効果がない
 RIBS: Repeat stenting shows benefits in large but not small vessels
  Restenosis Intrastent Balloon versus Stent (RIBS) 試験の結果では、ステント内再狭窄を有する患者において、別のステントの新たな挿入は大きな血管では長期の臨床的および血管造影上の所見を改善するが、小血管には効果がないことが示された。
 CURE試験の結果から急性冠症候群におけるclopidogrelの有意な有効性が示された
 CURE results show significant benefits of clopidogrel in acute coronary syndromes
  Clopidogrel in Unstable angina to prevent Recurrent Events(CURE)試験の結果から、経口的抗血小板薬clopidogrelはaspirinと併用した場合、急性冠症候群〔不安定狭心症またはnon-Q-wave心筋梗塞〕の慢性治療において極めて有意で、臨床的に重要な改善をもたらすことが示された。
 ガンマ放射は伏在静脈グラフトのステント内再狭窄を著明に改善する
 Gamma radiation successfully tackles in-stent restenosis in SVGs
  ガンマ照射は以前にネイティヴな冠動脈で示されたと同様に、伏在静脈のステント内再狭窄の発生を効率よく阻止する。
 無縫合機械的吻合装置のヒトにおける最初の使用
 First human use of sutureless mechanical anastomosis device
  機械的吻合のために設計されたSt Jude装置がヒトで三重バイパスを行う際に初めて使用され成功をおさめた。 (Eckstein et al.Lancet 2001; 357: 933-4.)
 Acorn装置は心不全で安全に使用出来る:初期有効性の提示
 Acorn device safe in CHF: early hints of efficacy
  Acorn心臓補助装置は、心不全患者で装着後6ヵ月間は安全に使用できると思われ、まだ初期の段階ではあるが症状の改善がみられたとドイツの研究者グループが報告した。
 ISHに対する新しい作用機序を有する新薬か?
 New agent for ISH with novel mechanism of action?
  ALT-711は血管のスティフネスをもたらす交叉結合を切断するという新しい作用機序を有する薬剤で、高齢者における安全性と薬理に関する検討で期待できる結果が示された。この薬剤は孤立性収縮期高血圧で検討される必要があり、拡張機能障害における作用も期待される。
 COPERNICUS,CAPRICORN: Carvedilolは心不全、左室機能障害を有する患者に幅広い改善をもたらす
 COPERNICUS, CAPRICORN: Carvedilol benefits broad range of CHF, LV dysfunction patients
  CAPRICORNとCOPERNICUSの二次的評価項目の結果を示した2つの臨床試験の成績によって、carvedilolによるベータ遮断効果は心筋梗塞後の左室機能障害を有する患者から重症心不全患者に至るまで、広い範囲にわたって有効であることが確認された。
 新しいプログラムではTIMIリスクスコアを用いて胸痛の診断を行っている
 Program for handheld organizers uses TIMI Risk Score to help diagnose chest pain
  医師によって今広く用いられている新しいプログラム(program for handled organizers)では、胸痛を訴える患者において、TIMIリスクスコアを取り入れてその診断の一助としている。このプログラムでは医師が患者のベッドサイドで直接ガイドラインや臨床試験の情報を検索することが出来る。
 心不全患者では肥満のほうが良い
 Fatter is better in CHF patients
  ELITE II試験のサブスタディーによると、BMIが正常から低値を示す心不全患者では肥満患者に比して死亡のリスクが高いという。発表者は肥満心不全患者における国際減量プログラムを破棄することを勧めているが、これに同意出来ない批判意見もある。
 ACCの食餌論争は出席者にはっきりした回答を与えることなく苦い後味を残した
 ACC food-fight leaves delegates with no clear answers and a bitter aftertaste
  高脂肪?高炭水化物?低炭水化物?高脂肪?これら全てのつかみ所のない質問に対してACCの“最善のダイエット”論争は興味(スパイス)を添えることにはなったが、満足のいく答えは得られなかった。
 ENCOR慢性心不全試験においてエンドセリン拮抗薬の有効性は示されなかった
 Endothelin antagonists fail in ENCOR chronic heart failure study
  新しい臨床試験において、経口エンドセリン拮抗薬enrasentanの心不全に対する有効性は何ら示されず、むしろ悪影響を与える可能性すら示唆された。この研究者の言によると、彼自身現在進行中の他のエンドセリン拮抗薬の臨床試験を中止せねばならぬとは考えていないが、今回の結果からは心不全に於ける全てのエンドセリン拮抗薬の意義を見直さざるを得ないという。
 CADの治療にchelationは何ら有効性を示さない:PATCH試験の結果
 Chelation therapy shows no benefits in CAD: PATCH trial results
  CAD患者で運動耐容能と生活の質を検討した無作為プラセボ対照試験において、6ヵ月にわたるchelation治療は何ら有効性が示されなかった。
 更なるデータ:Raloxifene治療を受けている女性でCVDが初期に増加することも全体として減少することも無かった
 MORE: No early increase, no overall decrease in CVD events among women on raloxifene
  SERM試験のデータの更なる解析で、骨粗しょう症の予防のために投与されたraloxifeneは心血管系のイベントを初期に増加させることは無かったが、3年にわたる治療でイベントを全体として減少させることも無かった。
 AFにおいてリズムのコントロールが長期の有効性を示すことは疑わしい:STAFパイロット試験の結果
 Long-term benefit of rhythm control for AF questioned: STAF pilot results
  心房細動の治療でリズムや心拍数をコントロールする効果を比較したパイロット試験で死亡、脳卒中、全身的な塞栓症の発生率には有意な差異が認められなかった。しかし、リズムのコントロールは長期的には有効かも?
 AstraZenecaのスーパースタチンに関する最新の結果
 Latest results with AstraZeneca's "superstatin"
  AstraZenecaの新しいスタチンrosuvastatin(Crestor)は、astrvastatin(Lipitor)などの他のスタチンに比してLDLコレステロールをより効率よく低下させることが本薬の第・相試験のデータで示された。


Copyright 2000-2013 by HESCO International, Ltd. All rights reserved.