Galantamine、ドネペジル、rivastigmineのようなアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、初期から中等度のアルツハイマー病(AD)に対する有効な治療薬として広く受け入れられている。ドネペジル、galantamine、rivastigmineは効果と忍容性において多くの類似性を有している。これら3剤は、アセチルコリンエステラーゼを阻害し、それゆえアセチルコリンのシナプスの有効性を高める。Galantamineは、認知、問題行動、日常生活機能、介護者の負担を改善目標とする大規模な臨床試験において、一貫して効果と忍容性を示している。Galantamineは、注意、記憶、学習能力の改善のために重要な役割を演じると思われる。
先行研究では、ADに対する異なる治療薬を比較検討した研究があるが、短期にすぎない。Wilkinsonらは、ドネペジルとrivastigmineとを3ヵ月間比較検討した。しかしながら、有害事象による中断は各治療群により異なってしまった。ドネペジルでは、10.8%、rivastigmineでは21.8%であった。
5%以上発生の有害事象
ドネペジル vs rivastigmine
|
ドネペジル(n=56)
n(%) |
rivastigmine
(n=55)
n(%) |
吐気 |
6(10.7) |
23 (41.8) |
嘔吐 |
4(7.1)
|
13(23.6) |
頭痛 |
4(7.1) |
10(18.2) |
食欲不振 |
1(1.8) |
5(9.1) |
悪夢 |
4(7.1) |
1(1.8) |
背部痛 |
4(7.1) |
0 |
眠気 |
1(1.8) |
3(5.5) |
尿路系障害 |
3(5.4) |
0 |
|
今回初めて、長期的にAD治療のための2剤直接比較研究を行った。ドネペジルとgalantamineを1年以上にわたり、臨床の場で、等価に比較検討した。本研究では、AD患者182例(MMSE:9〜18点)が登録され、94例(平均年齢:74.1歳、56.4%が女性)にはgalantamine
16mgあるいは24mgが投与された。88例(平均年齢:72.8歳、68.2%が女性)にはドネペジル5mgあるいは10mgが投与された。認知テストはMMSEとADAS-Cogを使用した。

Galantamineは、ドネペジルと比較して認知機能(13、26、52週:MMSEによる測定)において有意に治療効果が優れていた。それゆえ、galantamineを投与された患者は、認知機能が、より改善あるいは維持されたと考えられた。改善効果の割合は、galantamineがドネペジルに比べMMSE(全体:55.3%
vs 34.5%、MMSEの中等度群:58.0% vs 30.7%)において有意に高かった。また安全性、忍容性では、両者は同様であった。
レポーター:東京慈恵会医科大学附属柏病院精神神経科 橋爪敏彦 |
|