今まで注意欠陥/多動性障害(ADHD)におけるメチルフェニデートによる短期治療の効果および安全性については確立している一方、長期治療に関してのデータは十分ではない。2年間にわたる本研究は、学童児を対象に塩酸メチルフェニデート1日1回投与による長期データを収集するためにデザインされた。
研究デザインおよび対象者背景
・ | 多施設、オープン試験 | ・ | 1日1回投与で24ヵ月追跡 | ・ | はじめの1年目は1ヵ月に1回、2年目では3ヵ月に1回、両親および教師によって効果を評価 | ・ | 有害事象、チック、睡眠状態について両親が報告 | ・ | 調査期間中、バイタルサインを調査者が測定 | ・ | 先行するメチルフェニデートの短期比較試験に参加していた6〜7歳の407名の児童が対象 |
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同一対象小児において、メチルフェニデート1日1回投与による長期治療により短期治療の時と同様の効果を得た。臨床家および両親の多大な興味を引いたと思われることに、健康と成長発育において、長期間メチルフェニデートを用いても有害事象が生じなかった。
長期治療期間中、正常範囲内であった健康成長発育測定
・ | 血圧、脈拍 | ・ | 赤血球数、白血球数 | ・ | 肝機能 | ・ |
成長(身長、体重) |
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さらに、メチルフェニデートによる長期治療によって、チックや例外的・予想外の有害事象を誘発もしくは悪化させることはなかった。
Wilens博士らは、これらの所見から、メチルフェニデートの1日1回投与の長期投与は注意欠陥/多動性障害の児童に有効でかつ安全であると結論付けた。
レポーター:
Elizabeth Coolidge-Stolz, MD
日本語翻訳・監修:昭和大学医学部精神科 尾鷲登志美
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