Topiramateによる難治性双極性うつ病の治療
Topiramate in the Treatment of Refractory Bipolar Depression

Mohammad Z. Hussain, MD
Prince Albert Health District, Mental Health Centre
Prince Albert, Canada


Lamotrigineやgabapentin、topiramateといった新しい抗てんかん薬は、双極性障害に対する治療薬として選択肢の一つとなっており、これまで優れた気分安定薬として臨床で用いられている。これらの薬剤では薬物動態や耐用性に関する問題点が改善されており、そのことが安全性や有効性、コンプライアンスの向上をもたらしている。

Hussain博士は、topiramateに関する長期間の安全性と有効性を評価するために行われた単一施設の非盲検化臨床試験について発表した。135名の双極性障害患者(双極性I型障害62名、双極性II型障害73名)に対してtopiramateが追加投与された。投与期間は36ヵ月間である。対象患者は、男性46名、女性89名であり、平均年齢は34歳であった。双極性障害の平均発症年齢は21歳であり、最近のエピソードの平均持続期間は11週間であった。すべての患者は以前に気分安定薬や抗うつ薬の投与を受けたことがあるが、十分な効果は得られていなかった。患者は全員抑うつ状態を呈しており、本研究ではハミルトン抑うつ尺度を用いて評価を行った。評価は1、2、3、6、12、18、24、30、36ヵ月後に行われた。Topiramateは、就寝前25mg/hrの投与から開始し、2日毎に200mg/hrまで、その後最大600mg/dayまで増量された。

結果として、topiramateの忍容性は高く、治療開始後2〜4週以内に臨床上の効果が認められることが示された。また、36ヵ月間で、topiramateの追加によって併用されていた薬剤の量が減少していることが報告された。Topiramateを用いた患者では、抗うつ薬やベンゾジアゼンピン類、気分安定薬の使用量は減少していた。しかし、新しい抗精神病薬の使用量には影響を与えてはいなかった。

体重に対する副作用については、topiramateを使用したすべての患者の体重は減少し、またその平均減少量は8〜9kgという結果であった。これらのデータは、topiramateが有効な気分安定薬であるという証拠を示した。Hussain博士は、他の薬剤を併用する必要性が減ったということは、より少ない薬剤によってより少ない副作用で有効性の高い治療が可能であることを示唆していると述べた。そしてHussain博士は、双極性障害の治療において、topiramateは、抗うつ薬と併用した時の気分安定薬と同様の有効性をもつ薬剤であると結論付けた。


レポーター: Andrea R. Gwosdow, PhD
日本語翻訳・監修:昭和大学医学部精神医学教室 田中克俊